当たり前ですが、発達障がいやグレーゾーンの子どもの親にも様々なタイプがいます。

子どもの発達の凸凹を一生懸命理解しようと頑張って学んだり、愛している親。

親自身にも何らかの同じような特性があり、自身や子どもが困っているのに、それにすら気付くことができない親。

そして今もなお、個性だからと一蹴したり、うちの子が発達障がいなわけがないという拒絶を示して、受容が全く進まない親。

どんなタイプの親でも、その親なりに子どもを大事に思っています。



そして保護者がどういうタイプかを、支援する側はよく観察してアセスメントする必要があります。

場当たりな対応で信頼関係は築けませんし、どんな人かによってアプローチの仕方を様々に模索する必要があります。

何に困っているのかな?どう助けてほしいのかな?どんな言葉なら有効かな?

これを考えるためには、それ相応の時間を要します。

健診や診察、面談のたった数分で、どんな子どもでどんな親かの検討はつきますが、その先のことを考えるなら、きちんと親子に向き合わなければなりません。

向き合う時間が不十分だから、自治体の乳幼児健診や医療機関で相談したのに、大丈夫とか気にしすぎとか、他の子もそんな感じとか、浅いアドバイスしかされずに保護者にモヤモヤを残すのではないでしょうか。

客観的視点での評価はもちろん大事ですが、本人達の訴えを傾聴してアセスメントしなければ、一緒に考えなければ、支援にはならないです。

また実際に子育ての経験があるのと無いのとでは、選ぶ言葉も言葉の重みも、寄り添う力も、保健師のスキルとして全然違うと思います。これは保健師に関わらず、日常生活の中の様々な物事で双方が感じていると思います。


行政保健師の正規雇用は新卒採用と受験可能年齢制限までの歳、筆者の自治体は30代半ばまでです。

でも子育ての楽しさや苦労の経験をしたと言えて、他人にアドバイスできるのは、今の世の中それ以降の年代ですよね。

逆に知識が新しいとは言えない年代では、今の子育てで欲しいアドバイスをもらえないということも考えられます。

まぁ、若かろうがそうでなかろうが、専門職として常に学んでいれば良いだけですが。

つまり、保健師のスキルはなかなか高いものが求められているということです。

個人的には30代からこそ保健師になれば、児童支援もそうですが、老人保健だって、他人事ではない世代に入ってきて深みのある支援ができるのではないかなと思っています。



と、支援前提に語ったのは、子どもと深く向き合うことができる保護者のタイプを想定してです。

困っていることや気になることを話してくれる親への介入は比較的しやすいです。

難しいのは、一番最初に書いた2つ目3つ目のタイプの親です。

親自身にも子どもと同じような特性があることは、ままあります。

耳から情報を聞くのが苦手、手紙の文字を読むのが苦手、聞いたことを理解するのが苦手、様々です。

そして親の方が、発達障がいなどという概念で子育てされてきていませんから、その困難感は強く感じます。

ところが、その困難感を本人がわかっていない、困ってないことも少なくないです。周りの人は困ってたりもします。


支援する側は、親の理解力やどんな手段でアプローチすれば理解に近づけるかをアセスメントし検討しなければ、適切な介入ができません。

これをしたとしても、支援者だけが困ってるなんてことが多々起きます。こうなると手詰まりのようになってしまって、非常に難しいです。



放課後児童クラブで様々な発達の子ども達と接していると、放課後児童支援員が連携する職種の中に、当然保健師も入るだろうと思っています。

発達は乳幼児期、学童期とバラバラに見るものではありませんから、どのような過程を経て学童期に至っているかを放課後児童支援員は知る必要があります。

幼児期健診の発達相談から発達支援センターへの促しや通所があるか、それがどのタイミングなのか、親の受け止めはどうかなどについて共有しておいてもよいのではないかと思います。

また、子ども達はいずれ大人になり、老人になります。

老人保健、地域保健という観点でも、その人がどのような乳幼児期、学童期、青年期、壮年期を経たのか、どのような支援を受けてきたかは必要な情報のはずです。

せめて必要だと判断された時に情報共有がスムーズにできるようにしてほしいと思います。