これについてきちんと理解して利用している保護者はどれほどいるのでしょう。

スポーツジムやサブスクなど、何かのサービスを利用する際、必ずそのサービスがどこから提供されていて、どのような内容や質かある程度知った上で利用しますよね。

放課後児童クラブについてはいかがでしょうか?

幼稚園や保育園の年長で利用についての案内や申込書などもらうと思いますが、こういった大事なところの説明ってありましたか?

筆者の子どもが幼稚園生だった時の手紙では、放課後児童クラブが何たるものかについてそれほど詳しい説明は無かったと記憶しています。もちろん説明会もありませんでした。結果私自身、放課後児童クラブは共働き家庭が子どもを預ける場という認識しか当時無かったわけです。

そして現在働く自治体からの放課後児童クラブの案内も、

[設置目的]

・学童保育所は、家庭において保護者の保護を受けられないことを状態とする小学生1年生から6年生までの児童を保育するために設置しています。

とだけあります。


では、放課後児童支援員が学ぶ設置目的はどうでしょう。

[児童福祉法 第6条の3第2項]

この法律で、放課後児童育成事業とは、小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。


[放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準 第5条]

放課後児童健全育成事業における支援は、小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものにつき、家庭、地域等との連携の下、発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるよう、当該児童の自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確率等を図り、もって当該児童の健全な育成を図ることを目的として行わなければならない。


省きすぎではありませんか?

この目的を読んだだけでも、放課後児童支援員へ求められるスキルや責任の重さ、役割の大きさについてわかっていただけるのではないかと思います。

このような案内の仕方は、保護者や地域社会からの放課後児童クラブへの正しい理解が得られず、支援員が利用者や設置者との間で苦労したり、学問としての理想と現実のギャップに悩まされる原因になるのではないでしょうか。

制度の正しい理解を啓蒙するのは、公立の放課後児童クラブであれば特に、国あるいは都道府県、市町村の責務であるはずですから、ある意味ミスリードと同じことではないかと思うのです。

放課後児童支援員だけが正しい理解をして、理想の学童保育を行おうとしても、これでは不可能であることは容易に想像できると思います。


では、なぜこんなにも省かれることとなるのか。

それは放課後児童クラブや学童保育所の設置者が、その制度の概要や法律、基準については知っている。しかし、その役割の本質を知らないからではないでしょうか。

この設置基準でこの人数配置で、この申込書方法で、といったことは国の指示等に従って決められるし実行できる。

しかし、放課後児童支援員にどのような役割があって、学童保育がどうあるべきものなのかについて学ばないため、真意が伝わるように通達、啓蒙出来ない。

そしてこの設置者の無知は、至る方面で放課後児童支援員の努力の妨げとなるのです。