広島県民と共に歩んだ広島カープの球団史 | Kunstmarkt von Heinrich Gustav  

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ドイツの首都Berlin、Brandenburg州及び比叡山延暦寺、徳島県鳴門市の公認の芸術家(画家) Heinrich Gustav(奥山実秋)の書き記した論文、随筆、格言集。

2016年9月10日、広島カープは巨人に対し6-4で見事逆転勝ちして、シーズン82勝を挙げ、遂に悲願の1991年以来の25年ぶり通算7度目のリーグ優勝を果たした!
先ずは余からも選手一同、及び広島県内と全国にいるカープファンの方々に心よりの祝辞を申したい!

この年の試合を振り返って見ると、カープにとって8月24日のマジック点灯は歴代の優勝の年よりずっと早く、最速の1980年に並び、117試合目での70勝は80年の119試合よりも速い。
奇しくもこの年のカープの優勝は、丁度球団創設から25年を経過した1975年の初優勝の時と良く似ているのである。
この事に関しては当時の「黄金期」の内11年(1975~85年)を指揮した古葉竹識氏も同意見なのである。
1975年のカープは山本浩二氏、衣笠祥雄氏、三村敏之氏、水谷実雄氏、道原博幸氏、等の主力選手に加えて、地元広島出身の大下剛史氏、外人選手としてG・ホプキンス氏、R・シェーンブラム氏、等を獲得して、一気に12球団一と言える程の強力な打線を組んだ。
而も其の選手達の多くが快足で、盗塁も多く期待出来ると云う強みもあった。
そして2016年のカープの打撃成績は現時点で打率、本塁打、得点、盗塁の全ての部門でリーグ一位である!
又、今年の逆転勝ちは今日で42個目となっているが、当時1975年もそれに匹敵する程の逆転勝ちを挙げている。
75年は選手全員が優勝の喜びを初めて経験する事になったし、現在のカープの選手達も同様に今回初めて優勝を経験する事になる。

因みに「ヘル」とは広島カープの象徴となっているが、実は帽子やヘルメットが濃紺からになったのも1975年からで、これはこの年から新監督に就任したルーツ氏が「このチームには情熱が欠けている。情熱を表すをユニフォームに取り入れる事で選手を鼓舞出来る。」との提案によるものである。
衣笠祥雄氏の自伝や御話によると、当時の日本の野球ではい帽子など考えもよらなかったので、多くの選手達はこの事にかなりの違和感を抱いていたらしい。
ところがこの年からカープは目覚ましい快進撃を続け、広島県内では男性や子供達の間でこのカープの帽子が大流行し、所謂「ヘル旋風」とか「ヘルブーム」と形容された位であった。
その後1977年には帽子のみならず、アンダーシャツやユニフォームのロゴや背番号も、従来の濃紺にの縁取りだったのが全てになり、今日に至っている。
「色彩学」に於いては人間に情熱や勇気や決断力を与える心理的効果があるとされているが、誠にこの事でも実証されていると言える。
実は余がこの年からカープファンになった一番の理由は、強くなった事よりもチームカラーが余の最愛の色「」に統一された事なのである。

余も名将古葉監督の指揮下で1979年、1980年の2年連続リーグ優勝、日本一(2年連続で近鉄バッファローズが相手)、1984年のリーグ優勝、日本一(阪急ブレーブスに75年のお返し)、そして阿南監督の下で1986年の優勝は今でもはっきり覚えているし、当時「黄金時代」の主力選手、監督、コーチ、計23人(古葉竹識氏、山本浩二氏、衣笠祥雄氏、三村敏之氏、道原博幸氏、達川光男氏、高橋慶彦氏、佐野嘉幸氏、A・ギャレット氏、J・ライトル氏、江夏豊氏、大野豊氏、北別府学氏、山根和夫氏、松原明夫氏、阿南準郎氏、その他)にサインをもらっているし、当時の新聞の切り抜きも保存している位である。
当時のカープは実に完成度の高いチームであったので、毎年優勝争いをして当然と言える程であった。1991年の優勝は当時余が海外に住んでいた為、残念ながら直接見る事は出来なかった。
それ故に余個人にとっては今年のカープの優勝は1986年以来、直接目の当たりに出来るのである!
思い起こせば歴代のカープの優勝、及び日本一は決して余裕のある楽な物ではなかった。
例えば1979年の優勝は何と68勝で決めているし、1986年は75勝した巨人に対し73勝(引き分け11個)の勝率で上回っての優勝であった。
又、日本シリーズでも79年、80年、そして84年のいずれも4勝3敗で「日本一」になっている。

 

NHK製作の特集番組「広島復興を支えた市民たち、鯉昇れ焦土の空へ!広島カープ創設の物語」及び、1975年(昭和50年)カープの初優勝の記録番組「ヘル旋風」を改めて視聴、録画して、当球団が戦後の広島県民にとって如何程心の支え、及び生き甲斐になっているかを改めて思い知らされた。
広島市内に於ける初優勝の祝典パレードには何と30万人を超えるファンが集まって喜びを分かち合っていたし(当寺の広島市の人口が約80万人)、その中には球団創設(1950年1月15日)以来ずっとカープの優勝を待ち望んだものの、見ずして他界してしまった人達の遺族が、故人の遺影(写真)をパレード行進する選手たちに向けていた光景は誠に感極まる物があった。
これ等の球団創設以来の歴史を振り返ってみると、広島カープと云う球団が如何に地元広島県のファンに愛され、支えられて存続して来たかが程良く解るのである。

余が2016年のカープの試合を観戦して改めて感じる事として、先ず逆転勝ちが非常に多いのは、たとえ相手に先手を取られても、決して諦めずに戦ったからである。
そして今年は※11連勝しても、3連敗を越える大きな連敗がたった一度のみだったのは、たとえ連勝しても気を緩めずに、一つの試合に真剣に取り組んで勝ちを積み重ねた結果である。
(※因みに1984年には12連勝の球団記録を打ち立てている。)
「野球は人生そのものだ。」と云う長嶋茂雄氏の言葉があるが如く、これ等の功徳は野球のみならず人生に於ける勝利や成功にも同様に大きく作用するのである。
一日一日を大切且つ有意義に過ごし、たとえ窮地に追い詰められても最後まで諦めず、そしてどんなに多大な勝利や成功を得ても、過信、油断せず謙虚な姿勢で取り組む事が、最大の幸福を獲得する心得だと言う事である。

決して経済力はないが、巨人や犯珍の様に「銭の力」で選手を採って、いらなくなれば紙屑のように捨てる、所謂「金満球団」とは異なり、選手を粘り強く育て大切にする球団の方針は広島県民のみならず、他県でも多くの人達の感銘、共感を呼び、今では広島県外でもカープファンが増えていると云う現象が著しい。
かつてジャーナリストでキャスターであった故・筑紫哲也氏(彼もカープファン)が巨人のオーナーが「企業野球」等と云う傲慢な言葉を発した時、以下の様に反論していたのを覚えている。
「野球の好きな人々は夢と感動を求めて野球場に行くのであって、野球までもが金銭の力によって勝ちや優勝が決まる様では、夢と感動も無くなってしまうのではないでしょうか。」
そう云う意味でもカープは野球の好きな人々に夢と感動を与えていると言える。

当時広島カープがマジック20を点灯させたウェブニュースの記事に、何人ものカープファンが「優勝する前から(嬉し)涙が出そうだ。」とのコメントを書き込んでいたのが印象的であった。
その他、カープファン以外の人達からも今年のカープの優勝を期待し祝福するコメントが多く寄せられていた。
この様な多くの人達の期待を寄せて、広島カープに8月24日にマジック20が点灯してからも順調に勝ち続け、9月8日の中日戦で勝利しマジック1とした。
翌日には試合は無かったが、マジック対象チームの巨人が破れ、見事に悲願の25年振りリーグ優勝を成し遂げた!
その時のカープファン(過去の優勝を知っている人、知らない人共に)の歓喜は誠に筆舌尽くし難い程であったろう!

9月の追伸:
2017年も7月初頭の時点でカープは早や独走態勢に入りつつあった。
諺の「歴史は繰り返される」の如く、前記の「黄金期」に1979年、80年、2年連続リーグ優勝、日本一を達成したかの様に、今年もリーグ優勝し、今度こそ日本一になる事を願って止まない!
2017年9月19日、甲子園球場でカープは犯珍に3-2で勝利し、昨年に続き2年連続、通算8度目の優勝を成し遂げた!
台風18号の影響で残念ながら多くの地元のファンが期待していたマツダスタジアムでの優勝には及ばなかったが、どこで優勝しても目出度い物である。
昨年は1991年以来の25年振りの優勝、今年は1980年以来の37年振りの連覇と、いずれも感慨深い優勝である。

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今の広島カープは何故強いのか、巨人は何故低迷するのか

昨日8日、セパ交流戦の西武ー巨人の3回戦で、巨人は2-13で惨敗、此れにて13連敗となり球団史上最長連敗記録を更新した。
此のニュース記事に対する全国の読者のコメントを100件程読んだが、驚いた事に巨人が惨めな連敗街道を進んでいる事を、喜んだり、祝福したり、嘲笑する意見が圧倒的に多く、同情する意見が殆ど全く見当たらなかった。
やはり「金満球団」に対する国民の意見はこう言うものなのかとつくづく思った。
一方、我らが広島カープは、日本ハムを5-3で破って3タテにし、此れにてセパ交流戦5連勝とし、対戦成績でも12球団で(同率)首位となった。
(カープのセパ交流戦最終成績は12勝6敗でソフトバンクと同率首位)
ウェブサイト上のニュースではカープが昨年の日本シリーズの雪辱を果たしただの、借りを返しただのと書いている記事もあったが、余個人の意見としては「公式戦」の1勝より「日本シリーズ」の1勝は20倍位の重みがあると思われる。
何故なら「公式戦」で80勝以上すれば、ほぼ間違い無くリーグ優勝出来るし、「日本シリーズ」で4勝すれば絶対に「日本一」になれるからである。
余は本質的な意味でカープが昨年惜しくも「日本一」を逃した無念を晴らせるのは、今年の「日本シリーズ」で先に4勝した時であると考えている。
其の為に是非とも、今年のセパ交流戦で更に勢いを付けて、リーグ連覇を達成し、1894年以来の「日本一」を勝ち取って貰いたい!
因みに1975年の初優勝以来「広島黄金期」と呼ばれた時代には、1979年、80年はカープが2年連続リーグ優勝のみならず、日本シリーズ(2年連続で近鉄と対戦)も連覇すると云う大快挙を成し遂げた。
余は当時の監督、コーチ、主力選手23人にサインを貰っている事もあって、当時の喜び、感動を今も忘れていない!
そして1975年の初優勝直後の日本シリーズでは阪急相手に(悔しくも)1勝も出来ずに敗退してしまったが、1894年の日本シリーズでは再び阪急と対戦し、此れを破り見事に前回の雪辱を果たしたのであった。

昨年はカープの独走優勝であったが、今年のセリーグは昨年より混戦が予測されていた。
しかし現時点では、巨人とヤクルトがセパ交流戦で未だ1勝も出来ない惨状であるし、横浜、中日もまだ好調な状態とは言えない。
以外にも犯珍がしぶとくカープの後ろに、チンカスならぬ金魚の糞の如く食い下がっているのが鬱陶しい。
余は今年も「金満球団」の巨人を競争相手として倒してリーグ優勝してこそ、味わい深い物があると期待していたのだが、今年は巨人が予想外にもずっこけて、未だ立ち直れないので、何となく張り合いが無い。
競争相手が犯珍風情では何とも面白味が無いのである。
とは言え毎年の如く犯珍は、どんなに遅くとも9月初めまでには、坂道を転がり落ちて行く球の様にBクラスに転落するは必定であろう。(7月1日に8連敗、首位カープと7.5ゲーム差がその予兆である。)
カープとしてみれば前半戦で巨人を徹底的に叩いて(対戦成績10勝1敗)、巨人に「苦手意識」を植え付けておいた事は、必ず後半戦に大きく作用すると確信している。

何人もの解説者やファンも指摘している事だが、現在の優勝候補のカープと弱体化した巨人の主な原因として、「選手の選び方、育て方」がある。
カープは長い時間は費やしたものの、(潜在能力のある)生え抜きの選手が育って、一斉に力を充実させているのに対し、巨人は金銭の力で他球団から成績の良い選手を引き抜いて、チームに加えて戦力を増強する方針である。(此れでは生え抜きの若い選手を育成出来にくいと云う弊害が生じる。)
余は野球の専門家ではないのだが、長年ウェイトトレーニング及び格闘技を嗜んで、心理学を学んでいる者として意見を述べる事になるのだが、スポーツの成績(又は勝利)はただ単に身体能力だけで獲得するのではなく、精神力や心理的作用も大きく影響すると考えている。
即ちカープの方針なら、選手は自分の所属するチームに「愛着」ないしは「忠誠心」が育まれる。
巨人の方針では、選手はただ金で雇われているだけで、チームへの愛着や忠誠心は大して生まれない。
世界史の中で戦爭の結果を振り返って見ても、同様の現象が起きている。
祖国や君主への固い「忠誠心」で団結した軍勢は、大事な時に実際以上の力を発揮して大勝利を得るのに対し、金で雇われているだけの「傭兵集団」は烏合の衆同然で、自軍が優勢な時は調子が良いが、いざ負け崩れだすと、一気に戦意喪失して逃げ散ってしまうのである。
正に現在のカープは前者で、巨人は後者であると言える。
「世の中金至第」等と価値観のあさましき下賤の戯け共は別として、優れた能力を持ち、而も信頼の置ける人材を確保する為には、Arbeitgeber(雇う者)とArbeitnehmer(雇われる者)が人間として御互に気心を知り、苦楽を共にして、協力し合い、共通の目的を定め、実現に向けて進んで行く関係でなければならない。

7月初頭の時点でカープは早や独走態勢に入りつつある。
諺の「歴史は繰り返される」の如く、前記の「黄金期」に1979年、80年、2年連続リーグ優勝、日本一を達成したかの様に、今年もリーグ優勝し、今度こそ日本一になる事を願って止まない!

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