婦人科外来では不正出血で受診される方は非常に多く、そのほとんどがホルモンバランスの乱れであったり、中にはクラミジアや淋病が見つかることがあります。

 

そんな中でも、子宮頸癌や子宮体癌のように悪いものから出血していることも稀にあります。

 

そこで、今回は特に性行為の後の出血について、どう言ったことを考えるべきか、という論文をご紹介したいと思います。

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1877575619301296

 

この論文では、性行為の後に出血のあった635人を対象に調べています。



内訳としては、


・以前の子宮頸がん検査で問題なかったのが436人(68.7%)



・子宮頸がん検診を受けた事がない人が175人(27.6%)



・子宮頸がん検診で正確な結果が出なかった人が24人(3.8%)でした。



平均年齢は35歳です。

 


子宮頸がんに関して詳しく検査した結果ですが、256人(40.3%)は出血の原因が特定されず、322人(50.7%)は良性の原因でした。


おそらくホルモンバランスの乱れであったり、ちょっとしたポリープがあったり、中にはクラミジアのような性病も含まれるかも知れません。

 


42人(6.6%)は軽度異形成、11人(1.7%)は高度異形成でした。

 

異形成に関してはこちらをご覧下さい。



 

そして、4人(0.6%)が子宮頸がんという結果であり、うち3人は肉眼的に明らかな状態、残りの1人は顕微鏡レベルでわかる非常に初期の癌でした。

 

現時点で喫煙している人は、より軽度異形成になりやすく、年齢を重ねるほど子宮頸がんのリスクも上がっていました。

 

以上の結果から、性行為後の出血に関して、癌のように悪いものが隠れている可能性は極めて低いものの、やはり一度も検査を受けていない方や、出血を繰り返す方は、一度は婦人科で相談された方がいいと言えるでしょう。