出産する時に点滴するかどうかは病院の方針によってまちまちなんですが、万が一、産後に大出血した時に急いで点滴するよりも、前もって点滴をしていた方が安心だな、という気持ちがあります。
ただ、腕に点滴が繋がっていると妊婦さんの煩わしさもあるだろうな、と。
そこで、今回は分娩中に点滴をする事で、お産にどのような影響が出るのか調べた論文をご紹介したいと思います。
こちらの論文では、分娩中に点滴をすることで帝王切開の確率が下げられるのかどうかを検証するため、点滴の量を250nl/hと125ml/hで比較しています。
対象となったのは、36週以降で自然分娩となった初産で単胎の赤ちゃんの出産です。
双子や三つ子などの多胎や、陣痛促進剤を使用した場合は含まれていません。
593名が250ml/h、622名が125ml/hの点滴を受けました。
その結果、250ml/hの点滴群では帝王切開率が12.5%だったのに対し、125ml/hの点滴群では18.1%となりました。
難産の確率も4.9%対7.7%と250ml/hの方が確率が低く、平均分娩時間も64.38分短く、子宮の出口が全開してから生まれるまでの時間も2.80分短い結果となりました。
これは点滴の種類による違いはありませんでした。
ただし、254名という少ない人数で飲水制限しなかった場合で比較したところ、帝王切開率に違いは認められませんでした。
以上の結果から、点滴のスピードは125ml/hより250ml/hの方が分娩時間は短くなり、帝王切開となる確率も下がる可能性があるといえます。
飲水制限しなかった場合では、帝王切開率が変わらない可能性から考えると、脱水気味になることで出産に向けての力が十分発揮できずに、お産の時間が長くなってしまい、結果として、赤ちゃんもお母さんも疲れてしまって、最終的には帝王切開になる確率が上がってしまう、という形なのでしょう。
出産に当たったの水分摂取に関しては、各病院によって方針がマチマチだと思いますので、出産を控えている方は、一度相談してみてくださいね。