9279 ギフトホールディングス 理論株価を検討する

会社(銘柄):ギフトホールディングスについて

今回の銘柄はギフトホールディングスです。

横浜(家系)ラーメンの町田商店を代表とするラーメンチェーンの銘柄となります。

 

ファンの方には怒られてしまいそうですが、横浜家系ラーメンは、まだまだ、しょうゆ、みそ、とんこつ、塩に比べて、全国区ではないと思われるため、新鮮さがあり、出店余地もあるのではと想像しています。

 

同時に、コロナの状況下においても、ラーメンはやはり強いのか?と思ってしまうほど、当社の業績(売上成長率)に勢いが感じられます。

 

しかしながら、同業他社の 3561 力の源ホールディングス が2021年3月期で苦戦しているので、ラーメン屋のすべてが順調という訳ではなく、ロードサイドを攻める3399 丸千代山岡家とあわせて考えると、都心部よりも郊外の方が、コロナの影響は少なさそうです。

 

 

通勤の途中駅にも、当社の展開している、二郎系インスパイヤとも言える「ラーメン豚山」が新規オープンしていました。

 

 

当社の指標をみると、2022年3月18日時点で以下となっています。

  • 株価:2,372円
  • (予測)PER:18.44
  • (予測)PBR:5.74
  • 配当利回り:1.05%
 

ラーメン業界について

 

ラーメン業界は、分散型ビジネスの代表格とも言われています。

 

以下のコロナ前の2017年の記事となりますが、非常に参考になります。

 

ラーメン業界を上記時期を基に簡単にまとめると

  • 市場規模:1兆2700億円
  • 約54,000ラーメン屋(事業所)が全国にある。
  • そのうち65%が個人店
  • 大手チェーン店の寡占率:合計しても18%程度と顧客ニーズの多様性がうかがえる。
  • 主要顧客は、60歳未満の男性で、顧客比率の約65%を占める(がっつり系がうけるのもわかるウインク

な感じでしょうか。

 

競争は非常に激しく一人勝ちは難しい状況です。

 

しかし単価は下がりにくく、顧客ニーズをしっかり押さえれば、店舗拡大が望め、頭角を現しやすい業界ともとらえることができます。

ラーメン屋の事業について

ラーメン屋の事業としては、先ほどのSPEEDA総研の記事をみると、

 

【利益面】

売上総利益:68%

営業利益:6.2%

 

【コスト面】

原価(材料等):売上比32%

人件費:売上比28.1%

光熱費:売上比6.6%

 

そうなると、ラーメン屋・ラーメンチェーンで成功するためには、以下が重要になることが推測できます。

  • 多様な顧客ニーズ(特に60歳未満の男性のニーズ)を掴む
  • コスト(原価・人件費・光熱費)を抑えて利益率を上げる
  • 立地の目利きと確保(都心、地方、ロードサイドなど)
 

ギフトホールディングスの工夫について

当社の店舗数は、2021年10月期で、国内外で、合計618店舗となっています。

 

国内のみだと

  • 直営店:147店舗
  • プロデュース店(フランチャイズ店):455店舗

 

チェーン展開しずらい、ラーメン業界での中で、当社は、以下の目標を掲げています。

  • 国内店舗:1000店舗
  • 海外店舗:1000店舗

(1000店舗のイメージですが、ケンタッキー・フライド・チキンが確か1100店舗よりも少し多いくらいだったと思います)

 

直営店、プロデュース店で31店舗、45店舗ずつ、年間、計76店舗ずつ増やしていく計画のようです。

 

主戦場の都市部とラーメン消費の高い地域は直営店が、地方エリアはプロデュース店が、という棲み分けをしているようです。

 

 

当社が特徴的なのは、プロデュース店(フランチャイズ店)への取り組み方。

コンビニなどのフランチャイズ制とは大きく異なり、加入料やロイヤルティフィーなどを取らず、原材料を購入させるのみ。

 

プロデュース店は店舗数こそ多いですが、当社における、売上貢献は直営店の1/5ほど。

(そのため、売上の7割以上は直営店からきています)

 

プロデュース店への出店コンサルはしますが、店名や味については、地元密着店となるようにオーナーに裁量を委ねているところがにくいですね。地域ごとの多様化しているラーメンのニーズを取り組む一つの解決案だと思います。

(他社の家系ラーメン店に進出されるぐらいならば、息のかかったプロデュース店で素早く出店させた方がよい、という気持ちなのかもしれません)

 

その他、コストを下げる対応として

  • セントラルキッチン化:標準化・単純化で原価を下げる、(店舗での)光熱費を下げる、人件費を下げる、(店舗で、調理が減る分店舗の広さに関する制約が緩和されるはず?)
  • シフト管理にRPA活用:人件費率を下げる

その結果、当社は、競合他社に比べて、高収益体質となっています。

  • 粗利益は、業界トップクラスの70%ほど
  • 営業益利率も7-10%と高い

さらに、家系ラーメンに加えて、二郎インスパイヤ系のがっつり系で、60歳未満の男性のハートをつかみ始めているもうよう。

 

今後の店舗展開では、都市部、ロードサイドで、ドミナント作戦を考えており、さらに効率性を追求する計画です。

 

ラーメン屋・ラーメンチェーンの成功要因をしっかり押さている当社の店舗運営の考え方は非常にわかりやすいと思います。

 

理論株価の検討

当社は、国内1000店舗(直営店:300店、プロデュース店700店)を目指す過程で、コロナで撤退した好立地な場所に積極的に出店しています。

 

中期経営計画では、2024年度で、

  • 売上高:250億円
  • 経常利益:25億円
  • 国内830店舗(直営240店舗、プロデュース店590店舗)
  • 海外26店舗

を掲げています

 

今年に入り、直営店の目標出店31店舗のうち、4か月で6店舗となっており、プロデュース店も同様に遅れ気味です(最終的に目標の7割程度の進捗になる可能性もあります)。

 

今の出店ペースでは、中期経営計画の数字の達成は難しいと思われます。

 

そのため、保守的に見積もり、2024年度で、売上目標の7割の売上高179億円、売上高成長率:年率10%程度と仮定。

 

売上高純利益率を8%として、5年後のPERが現在の水準程度とすると、

 

理論株価は2,464円となります。

 

現在の株価が2,372円からすると若干割安となりました。

 

もちろん、今後、

  • 出店ペースが中期経営計画に近づく
  • さらなるセントラルキッチンによる効率化
  • ドミナント出店による密度の経済性で効率性が高まる
  • DXの進展による人件費等のコスト削減

などにより、利益率が高まれば、さらに理論株価が上昇する可能性もあります。

 

当社はコロナ禍でも高い成長率、競合に比べても高い利益率を示しているため、今後も楽しみですウインク

 

これまで、ラーメン業界で成しえなかった、チェーン展開での高シェア獲得をぜひとも実現してほしいと思います。

 

その後は、海外展開も期待したいですねウインク

 

(投資は自己判断、自己責任でお願いします。理論株価は、私見と主観でおいた「前提」を基に算出しており、自分の反省用に後から振り返るためのものです。したがって、銘柄について買い及び売りを推奨してるものではありませんのであらかじめご了承ください。)