相手の勤務先も、別の社員の人に聞いて知っただけ。また、他の社員がいつ頃転勤するか知って、このくらいにいなくなるのかな、と思っただけ。

相手のことを、本当に何も知らなかった。


転勤日が近づくにつれて、不思議なイメージが頭に浮かぶようになってきた。


最初は、相手に対して磁石が引き合うような引力を感じた。

だけど、日が経つにつれて、だんだんと引き合って、私が白、だったかな。相手が透明な丸い玉で、それが重なっていき、どんどんと溶け合ってゆき、最終的には光のようなものになったような、不思議な感覚を感じた。


最終日から3日前。相手を見つけると、やっぱり逃げて隠れたくなるような感覚に。だけど、きっとこれが最後と思い、目を合わすと、今まで感じたことのない幸福感と、なぜか涙があふれてきそうになった。


思えば、あの時魂が統合したのだと思う。

その日は、何度かすれ違ったけど、あの感覚が怖くて目が合わせられなかった。


それでも、帰り、目を合わすつもりはなかったのに目が合った。


やっぱり、すごい幸福感と、嬉しい!という気持ちがあふれてくるようだった。


いつだったか忘れたけど、休憩が一緒になったとき、休憩室の空間が膨らんで歪み、そこにいるだけで涙が出そうになるような、奇妙な気持ちになったのを覚えている。


私たちは、知らない間にずっと繋がっていたんだと思う。