“ピックアッププレーヤー”とカテゴライズして始めたこの企画だが、もはやグッド•ルーザー列伝の程をなしている。
「2位の選手なんて誰も憶えてないから」
そう、一般的にはスポットライトを浴びるのは勝った選手のみ。
だが、勝ち負けを超えた高尚なゲームにおいては、その限りではない。
高校野球史上最高の試合とされる「星稜×箕島」などはその好例だ。
延長18回死闘の末、いくつものミラクルを重ねて勝ったのは箕島高校。その後も勝ち続けて大会を制覇した。これで春夏連覇を達成した箕島は、間違いなく当時最強だと認知されることになり、同時にその箕島を敗退一歩手前まで追い詰めた星稜高校にも、同じくらい眩しいスポットライトがあたることになった。
だから、あれから半世紀近くが経とうとしているのに、敗れた方の高校の名もいまだに人々の記憶に残っているのだ。
この話を踏まえて、今季JLPGA最高試合は何だったか。わざわざアンケートを取る必要もないだろう。
エリカ対決で話題となった、原英莉花が勝った日本女子オープン。
菊地絵理香が最後まで原英莉花と戦い抜いた日本女子オープンだ。
ビートルズの「ロング•アンド•ワインディング•ロード」の、主語を絵理香選手に、二人称を女子オープンに脳内変換して、それを聴きながらリンク先を読んでいただきたい。
年間最高試合に相応しい、非常に熱量の高い勝負だった。
試合後に集まった賞賛の声たち。優勝した原と同じか、それ以上の数が菊地選手の元へ。解説プロたちも「原選手のこの完璧な優勝は、追う菊地選手の気迫あふれるプレーがあったから」と異口同音に感想を述べた。
そして極め付けは、原の師匠ジャンボ尾崎のこの言葉。
「これからエリカの事を尊敬することにしたよ。お前じゃない方のな」
敗れた菊地選手を讃えることで、もっとお前も頑張れという原へのジャンボ流の激励だったとしても、少なくとも「菊地、すげぇな」と思ったからこその発言だろう。
来季こそ、菊地絵理香選手に最高の歓喜の瞬間が訪れますよう。
大爆発の2日目。この後木村彩子に勝ちオーラを奪われる
木村彩子、許すまじ(笑