わたしのブログをご覧いただき、有難うございます。
 
 今月1日に宮沢ゆか参議院議員の太陽光発電施設視察に同行して、峡北地域のソーラー発電施設を見て回りました。
 
・自分たちの一番目の敵は県職員(甲斐市菖蒲沢)

 一つ目は、甲斐市菖蒲沢にあるメガソーラー発電所です。
 法の規制を逃れるために、区画を分けて許可申請をして建設した結果、このように山一面に太陽光パネルが敷き詰められてしまったようです。
 現に、地肌が削られたことによって、太陽光パネルを支える支柱は浮き上がっていました。
 多量の樹木が伐採されていて、大雨でも降れば地肌が崩れ、土砂災害が起こる危険を感じました。温暖化対策であるはずの再生可能エネルギー事業が、二酸化炭素の吸収源である森林を大規模に伐採するのでは、本末転倒です。山地での乱開発は水源の枯渇や土砂災害の発生の要因ともなり、地域住民の安全安心な生活を脅かし、野生動物たちの生息地を破壊し、生物多様性の喪失にもつながります。工事現場に掲げられていたSDGsを謳った垂れ幕が白々しく映りました。
 建設中のメガソーラーは十分な防災対策がなされないまま工事が滞っています。建設工事の工事用道路が一部崩れ、隣接する坊沢川の斜面に土砂が流入しているということです。下の写真は応急措置で地肌にかぶせられたブルーシートです。シートの上を水が流れていました。
 案内いただいた地元のかたの説明によれば、太陽光発電設備の下に撒かれた除草剤によって、植物の根が腐り、土砂が崩れやすくなるが、それを県庁が推奨したので是正するように求めたということです。
 住民のかたによれば、彼らの第一の敵は県職員だそうです。「企業は煩いので弱い住民を宥めすかせて沈黙させるのです。」と話されました。それを聞いた宮沢議員は「国と同じだ。」と感想を漏らしていました。
 
・夢の田舎暮らしが悪夢に(北杜市高根町下黒澤)

 次に向かったのは、北杜市高根町下黒澤和田地区のソーラー発電施設です。
 4軒の民家が並び立つ山あいの住宅地。説明によると、2013年くらいから複数の事業者が宅地の南側と西側の森林を伐採し、太陽光パネルを設置したと言います。それに当たって、業者からも、地主からも、何の説明もなかったということでした。その後、今までクーラーなしで過ごせた住民はクーラー設置をせざるを得なくなり、浸透式の合併浄化槽は地下水位が上がり、雨が降ると排水が浄化槽に流れ込んで台所、トイレも使えなくなりました。住民の1人は心労で病気になり、通院せざるを得なくなったと言います。
 住民は太陽光パネルの林立によって生活環境が脅かされているとして、市役所に対応を求める要望書を提出しましたが、市役所は「現地の調査はしたものの、排水問題と太陽光発電施設の関係性は薄い。」として、問題の解決には至っていないということでした。
 

・適正な管理をしてほしい(北杜市白州町白須)

 三つ目に向かったのは、北杜市白州町白須のソーラー発電施設です。
 国道20号線から釜無川に向かって少し入ったところにありますが、林の向こうにあるため、気づきにくくなっています。
 この発電施設について驚いたのは、管理がきわめて杜撰なことでした。強風で倒れた松に直撃された電柱が傾いたままになっていたり、柵が破れっ放しになっていたり、適正な管理がなされていないのです。
 こんな無責任な業者でも、設置申請すれば受理されてしまうことに理不尽さを覚えました。予期せぬ事故や老朽化後の施設撤去まで、責任をもって対応できる事業者のみに実施を認めるべきで、地域住民の十分な理解と関与を条件とすべきです。

・住民は泣き寝入りするしかないのか(北杜市小淵沢町下笹尾)

 四つ目の視察は、北杜市小淵沢町下笹尾の個人宅を囲むソーラー施設でした。
 事前の近隣住民への説明やその合意への努力もなく設置された太陽光パネルがあれよという間に自宅を取り囲むように増えた結果、景観、眺望が失われたほか、熱風、熱汚染、電磁波による健康被害が生じたそうです。実際に気温上昇に耐えきれず転居した住民もいたということでした。
 「再エネ推進のためのお金(再エネ賦課金)は私たち庶民の毎月の電気料金の上乗せから出ているのに、住民への説明や同意がなくても工事が進むのはどうしてか?」と訴えられていました。
 
・跋扈する悪質業者(北杜市大泉町西井出)

 最後に向かったのは、北杜市大泉町西井出地区のソーラー発電施設です。
 小海線を越えて山深い道を分け入っていくと、「こんなところに!」と思う山林を切り開いてソーラー発電設備が作られようとしていました。
 問題は、人目のないことを幸いにして、いい加減な盛り土や切土がされていることです。

 これでは大雨の際に土砂崩れが起こることが懸念されます。山梨大学地域防災・マネジメント研究センターの鈴木猛康教授も、その危険をつとに指摘されています。
 その後小海線を下に越えて、住宅地の周りに林立するソーラー発電設備を視察しました。発電事業者についての説明はビックリするような内容でした。
 それによると、会社の住所は電話一本置いてある貸事務所、役員の住所には誰も住んでいなく、連絡先の電話へかけてもつながらず、説明会が終わった後から連絡が取れない状況であるとか、当初から虚偽の申請で土地を取得しているところがあるとか、住民の理解を得るための説明会を充分にしていないとか、全ての現場で太陽光パネルの電池出力が認定された用量を超えているとか、説明会時に約束したフェンス、草の管理がされていないとか。こうした道徳観念が欠落し自社の利益のみを追求してはばからない事業者に対しては、FIT認定の取り消し等、厳格な取り締まりを行う必要があると感じました。
 その後高根農村環境改善センターに移動して宮沢議員と懇談しました。利益最優先で事業が進む原因となっているFIT法の認定要件、森林法、温暖化対策推進法等の関係法令見直し、違法行為等をした事業者に対する厳格な取り締まりを求める出席者の発言に宮沢議員は「市民が泣き寝入りすることはあってはならない。国会でしっかりと質問していく。」と答えられていました。
 
・終わらない「足尾鉱毒事件」

 一日回って見てやりきれなかったのは、視察して見た実態が歴史的にくり返されてきたものだったからです。
 太陽光パネルを敷き詰めるために切り開かれた菖蒲沢の山肌は、以前見た足尾銅山のはげ山を連想させました。「行政は因果関係を認めない。」という事情も、足尾鉱毒事件や水俣病の場合と同様でした。また、企業に倫理観念が欠落していることも、全く同じでした。
 視察しながら、足尾鉱毒問題とソーラー発電施設の問題が重なりました。ともに国策遂行の中で起きており、問題は構造的に相似していました。
 足尾鉱毒問題を解決するために生涯を費やした田中正造は、「真の文明は山を荒さず、川を荒さず、村を破らず、人を殺さゞるべし。」という言葉を残しました。しかし今や、わたし達の文明は、南アルプスという山脈の土手っ腹に穴を開けようというところにまできています。
 地域のソーラー発電施設の問題の中に国家と文明の歴史的に根深い問題が見えました。これをどう解決するか?歴史に学び、地域の人びとの声に耳を澄ましながら考え努力していきたいと思います。