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昨日は山梨県政について取材を受けました。その模様をお伝えします。

 

 

 

インタビュアー 身近にある市政と異なって、県政は普段あまり知られていません。しかし新聞などを見ると、県政についての話題がよく報じられています。そこで今日は飛矢﨑雅也さんに山梨県政について話を聞いてみました。

 

県政の課題

インタビュアー 山梨県政は、県が富士急行に貸し出している県有地の賃料や弁護士費用をめぐって、県と議会の間でいろいろなやり取りがされていますね。県政の直近の課題は何ですか?

 

飛矢﨑 議会改革です。日本の地方自治制度は、とかく優位になりやすい首長に対して、議会を対置させ、相互に抑制と均衡を図りながら、地方自治を運営・発展させる仕組みです。その仕組みのもとで、議会は条例の制定や、予算・決算など地方自治の重要な権限を担っています。ところが、山梨県では4月30日、議会への説明もないまま、知事が弁護士費用約1億4千万円を専決処分しました。

 

インタビュアー 予算・決算は議会の基本的な権限ですよね。それを知事が奪うことができるのですか?

 

飛矢﨑 「専決処分」は、議会を開く時間がないなど特別な事情がある場合、議会の議決抜きに首長が条例をつくったり、工事を発注できる仕組みです。専決処分すれば、議会が議決したのと全く同じ法律効果が発生します。その後、議会で不承認となっても、すでに法律効果が発生していて、専決処分そのものに影響はありません。したがって議会としては、その慎重な運用を監視しなければなりません。地方自治法は、専決処分を国の制度改革に伴う条例改正や災害時といった特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときのみに限っています(第179条)。弁護士費用の支出が緊急の事態に該当するとは考えにくいのです。

 

インタビュアー 専決処分は今回が初めてですか?

 

飛矢﨑 実をいうと、山梨県議会で専決処分が行われたのは今回だけではありません。2016年3月下旬、2016年度当初予算案が専決処分されました。県議会が予算案などを議決しないまま終わってしまったためです。予算の成立が4月以降にずれ込むと、県民生活や経済に混乱が生じかねないと当時の後藤斎知事が踏み切りました。都道府県では異例のケースでした。

 

インタビュアー どうして県議会は予算案を議決しないまま終わってしまったのですか?

 

飛矢﨑 専決処分に至った理由は、議長ポストを巡る当時の自民系2会派間の争いでした。会派の離合集散が続くなかで、本来ならば予算案などを成立させるはずの議会の最終日に議長に対する不信任動議を可決。混乱のなか流会しました。

 

インタビュアー そんな事件があったのですか。すると、それが今回の専決処分の伏線になっていたことも考えられますね?

 

飛矢﨑 伏線とまでは言いませんが、そういう先例があったことが、今回の知事の処分を出しやすくしたという面はあったかもしれません。

 

インタビュアー なるほど。背景として指摘できるということですね。

 

飛矢﨑 議会制民主主義から見れば、専決処分は望ましくありません。首長の独断専行を招きかねないためです。全国都道府県議長会は昨年7月、地方議会が直面する課題に対応するため、予算、条例案については原則、専決処分の対象から外すことを決議し、地方自治法の改正を国などに要望しました。その導入が明治時代にさかのぼる専決処分はいずれなくすべきだと思いますが、「山梨のような例があるから」と廃止は遠のいてしまっています。山梨県議会は地方議会史に汚点を残してしまいました。

 

県議の役割

インタビュアー そうすると、この問題に対する県議会議員の役割は何なのでしょうか?

 

飛矢﨑 今回の処分に代表されるような行政のやり方を厳しく監視していくことだと思います。

議院内閣制のもと国会議員が総理大臣を選ぶ国政と異なり、首長と議員を住民が直接それぞれ別に選挙して選ぶ地方政治においては、「与野党関係」は存在しないことが前提です。しかしこの問題をきっかけに立ち上がった新会派からは、「県政与党」という発言が聞かれます。「県政与党」として行動するなら、議員は行政職員と変わりません。議会と首長が融合(癒着)すれば、議会は行政の追認機関となり、行政を監視する議会の役割を果たせなくなってしまいます。それでは、わたし達の福祉が脅かされてしまいます。

 

インタビュアー そうすると過去の苦い経験をへて、山梨県議会は大きな岐路に立っていると言えますね。

 

飛矢﨑 はい。2億円の弁護士費用をめぐって対立していた議会側と知事側が、一夜にしており合い、70万円に減額した再修正予算が可決されるなど、このところ議会内での主導権争いや知事との権力闘争が目立ってきています。この問題を政争の具にせず、独立したチェック機関として、県民の負託にこたえる試金石とできるかが、議員に問われています。今こそ、議決・監視・政策立案という議会の本来の役割を議員は理解し果たしていくべきだと思います。

 

地域民主主義の創造

インタビュアー 最後に、議会改革の先にある展望をお話しください。

 

飛矢﨑 2016年の流会事件の反省を踏まえて議会基本条例が制定されるなど、議会を改革していくための下地はできています。今後改革を進められれば、地域民主主義を創り出す足場となることができます。具体的には、若者、女性といったこれまでの議会にない多様性に基づく公開と討議の場となり、そこから論点を明確化し、合意を作り出し、世論を形成する役割を議会は担っていけるでしょう。そうなれば、現在問題となっている男女共同参画推進センターの「集約」などについても、当事者県民の納得のいく答えが導かれると思います。

 今回の専決処分は、議会をそういう「みんなの広場」にしていく機会を閉ざしてしまうことであり、その意味でも見過ごされてはなりません。

 

インタビュアー 山梨県議会を「みんなの広場」という議会の本来の姿にどうしたら近づけていけるか、みんなで考えていかなければいけませんね。今回の「県有地問題」についても、その機会にしなければならないと思いました。有難うございました。