サルヒツのグルメ探訪♪【第229回】
まるがめ味処 澤和
℡)090‐9459‐0300
カテゴリ:炉端焼き
往訪日:2024年2月24日
所在地:香川県丸亀市土器町東7‐459‐1
営業時間:17時~23時(不定休)
アクセス:JR丸亀駅から徒歩約15分
駐車場:あり
■42席(テーブル×7+個室×2)
■予算:コース3,600円(税抜)+アルコール
■予約:可
■カード:不可
■オープン:2004年3月
《贅沢にも加熱皿に備長炭》
ひつぞうです。瀬戸内旅行二日目の晩は丸亀市内の炉端焼きの名店《澤和》を訪ねました。厳選贅沢素材を炭火焼で頂けるうえ、なににも増して安い!以下、往訪記です。
★ ★ ★
丸亀駅前のホテルから幹線道路・高松善通寺線に出て東に歩いていった。土器川に差し掛かった時だった。巨大な飲食店に長蛇の列ができていた。見れば骨付き鶏で有名な一鶴の支店。15年ほど前に本店を訪ねたが、かなり繫盛しているのだろう、こんなことになっていようとは。その後住宅街に入った。
忽然と目指す店が現れた。確かにプレハブのような店舗。一目では何屋か判らない(笑)。
ところが内装は奇麗な田舎家風。建物は床から天井まで御主人が手作業で拵えたのだそうだ。
まだ客は僕ら含めて二組。突き出しを配膳しながら、女将さんが「どこから」と訊く。横浜からと返すと「あら。遠くから」というので「ここの料理を食べるために来たんですよ」と笑うと「またまたまたー」と揶揄われたふりをする。満更お追従という訳でもない。それほどに前評判が良かった。なにが良いかは今から判るはずだ。
つきだしは中トロ刺の小鉢。ワサビも本ワサ。店主は元大手結婚式場の料理長をしていただけにもりつけも丁寧。
「なんか飲もうぜ」~♪
ひと通り揃っていたが酒がなあ…。“酒”だものなあ。
「他にもあるよ」
え?どこ?
「壁に貼ってあゆ」
なるほど。それにしよう。
金陵 特別純米 千歳緑
生産者:西野金陵㈱
製造年月:2023年11月
所在地:香川県琴平町
タイプ:特別純米 火入れ
使用米:香川県産オオセト100%
精米歩合:58%
アルコール:15~16度
定価:1,160円(税抜)四合瓶ベース
西野金陵は1789(寛政元)年の創業。酒類以外の製造もおこなう大手蔵。なので、この千歳緑も値段で判る量産品だが、芳醇な米の旨味が効いていて想定以上にフルーティ。使用米は香川県が生んだオオセト。燗むけの作りながら冷やして飲んでもスッキリ旨い。刺身など海鮮料理に合いそうだ。
くらげの小鉢と一緒に炭火焼のタレを運んでくれた。
噂には聞いていたがすごい量だ…。
(左から時計回りに)
エリンギ、餅、獅子唐、椎茸
地鶏(腿、胸、ネック、笹身)
牛ロース
豚(白モツ、ロース、バラ)
ジュウジュウと焼いていく。思ったほど煙も出ないし、纏いつかない。
「一応そういう恰好で来たけどにゃ」
「好きなだけ入れる派」
入れすぎなんじゃ?
やあ。でも旨そうだなあ。(焼け始めると一気に食わないといけないのは誤算だった)
18時になると客が一気に増えた。夫婦経営なので混み始めると配膳が失速する。これで終わりなのかなあ。
「海鮮があるはずだよ」 楽しみはそれだし
30分経過。すると御店主みずから出現。「すみません。すみません」と平身低頭しながら貝類が盛られた皿を置くなり説明もなく再び消えた。
「大アサリとマガキだの」
うむ。それは判る。どうやって食うのだ。
忙しく右に左に舞い狂う女将さんをようやく捕まえた。「パカッと開いたら醤油を垂らして食べてね」と御指南。普通だった。
しかし、牡蠣が全然開かない。
「イヤだねー」 せっかちで
20分経過。開かんけど。
仕方ないので金属の菜箸で強引に穴をこじ開けて、そこからその菜箸をグイグイ差し込んで梃子の要領で引き剥がした。牡蠣は長時間の加熱で燻製のように小さく縮こまっていた。だれよ。せっかちって言った人。
「食べられてよかったじゃん」 黙って喰え
まだまだ出てくる。イトヨリとアカエビ。
共に大衆魚類だけど炉端焼きにはうってつけ。
しかし、まだ出てくるの。このあと。
「穴子がまるまる一本でるんだよ」 ←大のアナゴ好き
季節によるんじゃない?
ということなので酒も足りんだろうとこれを注文。同じ金陵の淡麗辛口生貯蔵酒。氷結酒だね。甘口だとくどい氷結酒も辛口だと旨い。幾らでも飲める。はよこい。アナゴ♪
〆の雑炊だった。だれよ。アナゴが出るって言った人。
「でも旨いよ。ハマグリはいっているし」
ほんとだ。チョウセンハマグリじゃないしね。
実にダシの利いた雑炊だった。
最後にアイスクリーム。これで本当に終了。肉食い過ぎたね。
「酒も飲んだ飲んだ」 大マンゾキー
酒込み税込みで二人で14,790円。大満足の宴だった。
外に出てみると日没前の質素な外観を闇が塗り替えていた。遅れて出て写真を撮っていると、闇の中に背中を丸めて転がり出てくる人物がいる。何だろうと思ったら御主人だった。しきりに「すみません。すみません」と口走りながら、両手いっぱいの駄菓子やチョコレートを僕のバッグに押し込んだ。
「なにやってたの」
通りの先で待っていたおサルが訊く。
御主人がお菓子をくれたんだ。そういえば先に出たカップルは箱入りの土産貰ってたな。
「ここの名物らしいよ」
「すみません」は配膳が遅れたことへの詫びか、土産を渡しそびれたことか、或いは土産が尽きてありあわせの駄菓子で帳尻を合わせたことか。たぶん御主人の単なる口癖なのだろう。ひさしぶりに手にしたカバヤの金と銀のフィンガーチョコレート。意味もなく金のチョコを選んでいた子供の頃を思い出した。
(つづく)
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