サルヒツの酒飲みライフ♪【第140回】
一白水成 純米吟醸 神力 R03BY
製造年月:2022年11月
生産者:福禄寿酒造㈱
所在地:秋田県南秋田郡五城目町
タイプ:純米吟醸
原料米:熊本県産神力100%
使用酵母:非公開
精米歩合:50%
アルコール:16度
日本酒度:非公開
酸度:非公開
販売価格:2,200円(税別)
※特約店限定販売品
※味覚の表現は飽くまで個人的なものです
ひつぞうです。今夜の酒は福禄寿酒造のニュースタンダード《一白水成》。白地にアズーロの表ラベルが印象的な《特別純米・良心》が代表銘柄ですね。しかし、天邪鬼精神を発揮して“初一白”は熊本産好適米・神力で醸した一本を頂戴することに。どんな味なんでしょう。以下テイスティングメモです。
★ ★ ★
ここの処、秋田の酒が続いている。たまたまである。ただ、新酒の季節が近づくと、福島以北の北国の酒が飲みたくなる。昔、予備校で世話になった北島三郎似の英語教師が言っていた。南の人間は北へ北へと向かう。自分にないものを求めるせいだろうと。なんだこの男は。さっさと授業せんかい。こっちは後がないんじゃ!と、当時苦々しく思ったものだ。しかし、英文法の記憶は全て抜け落ちた一方、その戯言はしっかり脳裏にこびりついた。その意味では洞察に満ちた言葉だったのかもしれない。
(丁寧に紫外線防止フィルムでラッピング)
二週間前。裏磐梯からの帰りに、贔屓にしている酒屋でこの酒を眼にした。以前買いそびれた光栄菊の《白月》もこの神力で醸した酒だった。どんな米なのだろう。同じ九州育ち、しかも体の半分に肥後もっこすの血が流れている癖に知らないとは。それではいかん。
ということで我が家の食卓に載った次第。
三百名山の大平山の北西23㌔、八郎潟に程近い五城目の町並みに、三百年余りの歴史を誇る古い酒蔵がある。ひと際眼を惹く赤煉瓦に白壁の静かな佇まい。福禄寿酒造(旧称、渡邉彦兵衛商店)の創業は元禄元年(1688年)。初代が加賀国(現在の石川県松任)を出奔したのは、戦国末期、秀吉の天下統一前だったそうだ(HPより一部抜粋)。その後、紆余曲折をへて、地元消費の男酒を造り続けてきた。このあたりは国内の何処の蔵とも変わらない。
転機は2006年。長らく愛されてきた伝統銘柄《福禄寿》にモダンテイストの《一白水成》が仲間入りする。
「白い米と水から成る、一番うまい酒」。これがコンセプト。占い好きなひとならば、九星気学の「一白水星」のダブルミーニングであることを容易に理解するだろう。占いには興味がない。だから詳しく書けば襤褸が出るが、雨水が大地を流れて大海に注ぐように、試練を越えて大成する。そんな願いが込められているものと想像した。ひょっとすると、運気を得るのは飲んだ客の方かもしれない。
あきた酒こまちを主体にした《良心》、通称白ラベル。美山錦のピンクラベル。どれも飲んでみたいが、まずは季節酒の神力を頂戴する。
注いでみた。福々しく泡がたつ。続いて四合瓶に鼻を寄せる。ふわりと薫る醪の香り。神力(しんりき)といえば《龍力》を醸す播州の酒蔵、本田商店が復活させた幻の酒米として知られる。その神力を積極的に栽培しているのが熊本県。さてさて火の国のテロワールは、旨味が融けやすく無駄に香りで大騒ぎしない神力に、どんな骨格を与えているのだろうか。
春菊の卵とじ
最初は意外にもラムネの風味が漂う。“オッ”と一瞬驚いたが、アフターは昔ながらのドライな余韻。ミネラル豊富な中硬水が生み出す水の味。クリーンな味。力強い味だ。そして潔いほどの辛口。
「キレがいいにゃ!」♪
これなら「日本酒は甘い」と敬遠気味なおサルも大丈夫だね。
「今日のおつまみは下町商店街の味だよ」
「おからと鶏ひき肉で作った」柚子胡椒も手作りにゃ
おからボールね。低カロリーでヘルシー。
「食べ過ぎたら元も子もないけどにゃ」全部で15個ある
今年もあとわずか。日本酒元年の今年はたくさん飲んだ。好い酒には好い酒肴。もうしばらく愉しみたい。そのためには二人とも健康が一番。そして、健康維持には笑いが一番。我が家は笑いが絶えない。
「ヒツの相手は楽でいいだよ」笑いの沸点めっちゃ低いし
女子中学生並みだもんね。自分でも厭になるよ。ときどき。
(おわり)
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