サルヒツの酒飲みライフ♪「望 純米大吟醸 雄町」(外池酒造店・栃木) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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サルヒツの酒飲みライフ♪【第66回】

望 純米大吟醸 雄町 無濾過生原酒 BY2021

 

製造年月:2022年3月

出荷年月:2022年4月

生産者:㈱外池酒造店

所在地:栃木県益子町

タイプ:純米大吟醸 無濾過生原酒

使用米:岡山県産雄町100%

精米歩合:50%

アルコール:16度

酵母:未公表

日本酒度:未公表

酸度:未公表

販売価格:2000円(税別)

※特約店販売品(直営ショップでは販売してません)

 

※味覚の表現は飽くまで個人的なものです

 

ひつぞうです。今夜紹介するのは栃木県の酒《望》。「望」と書いて「ボー」と読みます。外池酒造店は昭和12年(1937年)創業の益子の酒蔵。看板銘柄は《燦爛》、そして2012年に誕生した新ブランド《望》。“日本酒の未来への挑戦”の含意とイタリア語“buono”のダブルミーニング。すべて非アル添無濾過原酒に拘ったシリーズ。期待しちゃいますね。以下テイスティングメモです。

 

★ ★ ★

 

すでに記したことだが、今年の五月の連休に益子陶器市を訪ねた。その帰路“益子の酒蔵”で有名な外池(とのいけ)酒造店に立ち寄ることにした。

 

 

看板銘柄は《燦爛》《望》。ほかにもボタニカル酒、焼酎、どぶろく、季節酒とレパートリーは幅広い。とりわけ《望》は、酒造好適米を変えた無濾過生原酒と火入れ酒のラインナップがズラリと並び、酒好きならば一度は飲んでみたくなる酒だと云える。

 

 

実は栃木県が生んだ好適米《夢ささら》100%で醸した初しぼりが目当てだった。だが《望》は特約店販売商品。なので(酒蔵は飽くまで見学)取り扱い店を探さねばならなかった。酒か焼き物か。益子町内に入っても優先順位をつけられず、多少混乱気味だった。だが、幸運の女神は向こうからやってきた。路面に高らかに掲げられた“地酒専門店”の幟り。ここに寄れば間違いない。

 

目当ての焼き物を手に入れた僕は、おサルを連れて、速足で引き返していった。

 

「おサルは唯ついて回るばっかりなのちにゃ~!」サル

 

その店、岡田酒店に入った。冷蔵庫には望、望、望!嫌というほど溢れ返っていた。期待を込めて、開口一番「あの!“夢さらら”はありますか?」と舌を縺れさせながら問うた(実は「ささら」が正しい)。

 

瞬間、変な間があり、店主の女将さんが「あー!あれはもうね。即完売しましたよ」と破顔一笑した。全く笑えた心境ではなかったが「それはそうだろう。もう五月だ」と冷静に納得する自分がいた。

 

眼鏡をかけた若い女性スタッフがぼそりと追い打ちをかける。

 

「《望》は売り切りですからね。すぐになくなりますよ」👩

 

判っとるよ。

 

だが女将さんは頗る明るい性格と見えて「試飲してみる?」と惜しげもなく《望》を片っ端から試飲させてくれた。美山錦、山田錦、五百万石、そして雄町。更に《さんらん》や焼酎《益子の炎》まで。ほっとけばあるだけの酒が出てきただろう。そのあけっぴろげで鷹揚なところが嬉しくなった。

 

 

自称オマチストの僕は躊躇わずに《純米大吟醸・雄町》を頂くことにした。

 

「大きな小町(=乙女)だもんね」サル

 

★ ★ ★

 

 

岡山県産雄町100%。申し分ない。問題は最近忘れっぽいこと。厳重に保冷して持ち帰ったまではいいが、そのまま会津に登山、そして宮城の温泉と、逃げ出した犬同然に家からどんどん離れてしまい、ようやく長旅から戻れば今度はノルマのように順番待ちとなった酒の相手をしなくてはならなかった。

 

「だから買いすぎだって」サル

 

こうして《望》が卓上に登ったのは、九州への帰省から戻った晩、つまり三週間後だった…。

 

 

果たして酒のポテンシャルはいかに。

 

「おー!綺麗に澄んでいるにゃ!」サル

 

飲んでみた。まずボリューム感溢れる甘みが感じられる。そして、カプロン酸エチル由来の芳醇な香りが際立つ。王道の雄町純米大吟醸だ。

 

「でもおサルには米は米の味だにゃ。果物ではないだよ」サル

 

なるほど。正直な感想でいいと思うよ。

 

よくメロンやバナナなどと表現されるが「本当にその香りとイコールか」と問われれば絶対とは言い切れない。そこが日本酒とワインの相違点。ワインは元来フルーツなのだ。澱粉オンリーの酒の味や香りの違いは、それだけ繊細かつ微妙。逆にいえばそれこそが日本酒の面白さでもある。

 

どう?飲んだ感じは?

 

「なんだか塊りが喉からドスッと落ちる感じだにゃ」サル

 

先日の飛露喜・純米大吟醸の“消えいるような軽さ”とは好対照だったね。

 

ラストはアルコールの余韻が長く続く。旨い酒だが存在感がしっかりしているぶん酒肴との取り合わせは重要。果して今夜の酒肴は太刀打ちできるか?

 

 

きゅうりと搾菜の和え物

 

これはこれで旨いね。

 

 

採れたてベビーコーン 炙りで

 

映画「ビッグ」のトム・ハンクスを思い出すね。コーンの甘さと巧く重なるよ。

 

 

鮎の塩焼き

 

塩は飽くまで微量で。身の甘さ、ジューシーさと合わせよう。

 

 

島らっきょう 酢醤油仕立て

 

意外だったが、これが一番のマリアージュだったかも。これくらい存在感がないと負けちゃう酒。

 

 

ヒラメ サーモンのディルソース仕立て

 

お造りも当然相性ピッタリ。ここは是非本ワサビで。

 

「サルはやっぱりヒラメが好き💛」サル

 

少し甘味が勝っていたけれど素晴らしいお酒だったね。

 

「熟成が進んでしまっただけなんじゃね」サル

 

そんなに簡単に熟成しないよ。

 

 

簡単なディスプレイのみではあるが酒蔵見学も可能。2015年より若き杜氏・小野誠さんが酒造りを指揮。いわゆる観光酒蔵から、原点回帰とデータ管理をベースにした“当世風”の酒蔵に変貌したと言える。

 

「旨い酒だったにゃあ。夢さささはどうなるのち?」サル

 

夢ささらだよ。12月にリベンジする!

 

(おわり)

 

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