サルヒツの酒飲みライフ♪【第33回】
静かの海
生産:2022年1月
生産者:㈱せんきん
タイプ:純米吟醸原酒
使用品種:山田錦40%、亀ノ尾30%、雄町30%
精米歩合:60%
アルコール:14度
販売価格:1,637円(税別)
≪シックでポエジーなエチケット≫
ひつぞうです。出勤日の帰り道には、とある酒販店に寄り道しています。季節の酒が入荷されていないか、それを見にいくのです。そして見つけてしまいました。栃木せんきんの逸品を。
★ ★ ★
《静かの海》と聞いてピンとくるあなた。かつて科学少年でしたね。月面に与えられた架空の海の呼称です。餅を搗くウサギのちょうど顔の部分の黒い影。それが《静かの海》。アポロ11号が月面着陸したポイントでもあります。ボトルの裏面にはこう記されていました。
“月面には水のない海がある。そこで重力は弱くはたらき、人のからだも浮遊する”
イメージ湧きますか?ふわりとした軽い舌ざわり。重くもなく軽すぎもせず。仙禽さんは蔵つき天然酵母で醸す自然派の酒や、酸と甘味を活かした現代風の酒が主体。Modernシリーズは青山のジビエ料理の店たでの葉で戴きました。あれに近いのかな。
舌に自信のない僕はまだ不安。スタッフに伺います。「そこまで甘さはないですよ。日本酒度+1です」とのこと。原酒の弾けるような作り立て感が想像できます。頂くことにしました。
原酒=加水していないお酒です。よく言われる原酒と生酒の違いですね。因みに生酒=加熱していないお酒です。おサル、判った?
「むひ?判ったような判らんような」
美味しければいいんでしょ?
「ういうい♪」
魅力は三種類の酒米で造った原酒のアッサンブラージュ。仙禽さんの酒造りってワインの製法や哲学に近いものがありますね。加えて自然派らしく、米も飽くまでさくら市産です。
せっかく繊細なお酒を頂戴するのです。ここは旬でもあるし、河豚と鰤でいっちゃおう。
「いっちゃおう!」
でも予算の都合で量はこんだけ(笑)。
「…たくさん食いたい」
黒門市場にいきたいね。
(早く日常が戻ることを祈る)
「通販って手もあるにゃ」
また今度ね。
「…」
サーブしてみました。今夜も小っちゃいテイスティンググラスで。
お!グラスに小さな気泡がいっぱいついているよ。
「活きてるにゃ!」
すごくないですか!
泡の小さくて繊細なこと。これは期待できそう!
含んでみます。原酒から小さな泡が滲み出るのが判ります。加えて綺麗な酸。ピリピリと粘膜を刺激しますね。甘くもなく辛くもなく幅広の骨格。三種の酒米の特徴が邪魔せずに現れている感じ。アルコールの抜けも軽い。これは鶏でも合うんじゃない?
「焼き鳥もあるでぇ」
タレは酒の繊細さをダメにしそう。飽くまで塩で。つけあわせは博多風にキャベツにポン酢。いい酒にはいい肴があいます。とまあ、先週末もこんな感じで二人で大騒ぎ。周囲に気を使わなくて済むのが家飲みの良さ。暫く続きそうです。
「そうでなくても飲んでる気がすゆ」
酒選びはスタッフに相談するのが確実。おかげでいつまでも三百番目のベロですけど(笑)。
「うまかった!また奢ってくれにゃ」
(おわり)
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