サルヒツの酒飲みライフ♪【第18回】
浦霞 貳百八拾號 木桶仕込み山廃純米酒
分類:山廃純米酒
醸造元:㈱佐浦
製造:2020年1月
精米歩合:70%
アルコール:15度~16度
原料米:国産米(トヨニシキ)
日本酒度:+1~+3
酸度:1.8~2.2
≪やはり一番寛げるのは自分たちの家かも知れない≫
こんばんは。既に十日。自宅から出ていないひつぞうです。まるで虜囚になった気分ですな。S・マックイーンが演じた映画『パピヨン』の主人公を思い出すよ。…そういう訳で(できることも限られているし)この日はおサルを相手に家飲みすることにした。
取り出したのは山形県・赤倉温泉からの帰途、「あ・ら・伊達な道の駅」で購入したこの酒。なんとも長い銘柄。文字どおり木桶を使って(乳酸投与をせずに)丁寧な生酛造りで仕込んだ純米酒なのだ。
「なにが違うのち?」
昔ながらの製法だから、そのぶん味わいに複雑さが出るんだって。
「なんや知らんけど旨ければそれでよい」
立派な箱にはいっているね。でも手軽に飲めるデイリーなお酒だよ。
二百八十号って仕込んだ木桶の番号なんだって。箱に書いてあった。早速注いでみよう。
なんか泡立っているね。少し黄味掛かっているかな。
おサルがいろいろ作ってくれた。まずはアボカドとからし菜のサラダ。
「表面に載っているの判るきゃ?」
ん~と。チーズ…?
「残念。チキンブイヨンをスライスしたのち。全部おつまみだけどにゃ」
だし巻は日本酒をチビチビやるには最高の相棒。さて一杯やるか。
ちょっとトロリとした飲み心地。舌にサラりサラりと、硝石の研磨粉が触れるような、繊細微妙な感覚が宿る。中口だけど、飲み干したあとからアルコールの穏やかな余韻が戻ってくる。そんな酒。
まあ。細やかに味わうよりも景気よく盃を返して、一献また一献、そう行きたい酒だった。
春菊と人参の、春らしい大地の匂いが、畝を歩いた幼い頃の記憶に繋がる。そういえば、もう小学生の頃から、大人たちが残した酒をくすねては飲んでいた、従弟たちと一緒に。大らかな時代だった。
今の生活はひとつの戦争。僕たちの戦争。見えない敵との戦争。光りが見えないからって自棄を起こしても我が身に返ってくるだけ。ここは暫くおサルと一緒におとなしくすることにしよう。
「むぴーZZZZZ」
寝るのが異常に早いのが玉に瑕だけど…。
(おわり)
いつもご訪問ありがとうございます。