朝日新聞出版 2013.2.28
512ページ
新聞連載を加筆修正
(★★★☆☆:3点 個人的な感想)
【あらすじ】
とある田舎町で、中学2年の男子生徒が転落死した。
彼は、いじめを受けていた形跡があり、傷害で、逮捕・補導者も出る。
彼の死は事故なのか自殺なのか。
【感想】
男子中学生の、転落と思われる頭部の損傷死体が、校内で発見される。
彼の背中には痣があり、いじめを受けていたのではと思われた。
そこから、警察の取り調べや生徒・保護者やマスコミ等を描き、
物語がつづられていました。
中盤、唐突に事件前の場面になり、
そこから、過去と現在を行ったり来たり、頻回な場面転換があり、
そのあたりは、多少の読みにくさを感じました。
過去が描かれているので、
事件前の亡くなった少年がどんな人物だったか、
周りとの関係も明らかになっていきます。
学校側の対応や、親たち、生徒たち、それぞれの立場や動きは、
読みごたえもあり面白かったです。
ココからネタバレ。
物語としては、
自殺か他殺か事故か、何があったのか、というナゾだけで、
なかなか真相にたどり着かないもどかしさも、感じていました。
5分の4を過ぎたあたりで、
いきなり、亡くなった少年が多重人格なのではと思わせる記述があり、
まさか、そのオチ?などと不安を感じました。
そして、事件の真相は、たいした意外性もありませんでした。
ミステリー小説ではないのかな。
「そうだったんだ。やっぱりね。」という感想で、
つまらなくはないけど、残るものがないというか・・・
そして、長編で、これだけ周りの人々や過去の話も書いておきながら、
少年が落ちた現場を目撃した少年の動揺だけで、
落ちた時の状況も描かれていないし、
最後は丸投げ読者におまかせ、という、なんとも中途半端な終わり方でした。
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