ムクちゃん、乳母になる | ひとさんと愉快な仲間たち

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愉快な仲間、6匹の猫と外猫たち

去年の春の事でした。ムクはその頃、まだ避妊が出来ず

うちの軒下で、真っ白な子猫3匹を産みました。2匹は、とにかく真っ白で、

目がブルーのそれはそれは美猫でした。それで、あっと言う間に里親さんが見つかりました。

その子たちは、はるちゃんと、ミューと言って今も元気でよいお母さんたちに大事に

育ててもらっています。1匹残った子は、ぺルと名づけました。

真っ白なんですがシッポだけ、グレーでした。ガレージには、この1匹だけになったのですが…。



ある日、子供が学校から帰ってくると「みゆちゃんと、なっちゃんが子猫を拾ってきてんて。

お母さんにゆうて(言って)こうて(飼って)もらうんやて。」と言っていましたので、

まあ、良かったと思っていたのですが、次の朝うちの向かいの工場の前に、それらしい子猫が

ダンボール箱の中に3匹入れられて、放置されてありました。

子猫たちは、弱っていて、1匹だけが、蚊の鳴くような声で鳴いていました。

目やにで、みんな目がふさがっています。

春とはいえ炎天下、その衰弱はひどいものでした。私は慌てて保護し連れて帰りました。

けれどその子たちが、元気になれる見込みは悲しいかな..少ないように思いました。
ところが連れて帰って、ムクちゃんの側にやるとムクはいなくなった子猫が帰ってきたと思ったのか、

大喜びで体を舐めお乳をあげようとするではありませんか。子猫たちも必死で飲もうとします。

そこへ、ぺルが割り込んできて

「私のおっぱいよ!飲んだらダメ、違う違うてば!そこは、私のおっぱいの場所よ。」

と言っているかのようでした。


それから、子猫は4匹になりました。

ペルとおっぱい争いをしているのは、同じメスのアリスでした。

アリスは、それはもう美猫には..程遠い猫でした。

夫は「こんな汚い猫見たことないわ。誰ももらってくれるか。」などと言いました。

結局、ペルとは月例が違うので、ムクはひどく長い間授乳をする事になりました。

日に日にムクが弱っていくのです。お乳を上げる度に、息が荒くなり、目はうつろ..。

これじゃあ、ムクの方が参ってしまう。子猫たちには、まだ母乳が必要です。

ムクの必死の授乳は、何だか胸が熱くなりました。

「お母さんやから、自分を犠牲にしてもがんばれるんやね。 人間も、他の動物もおんなじ…。

子供のために一生懸命なんや!」なんか、感動しました。

そして、ムクにとっては最後とも言える、子育てが始まりました。