すっかり秋色のスイスから、こんにちは。

夏が終わってしまった…とワールドカップ終了後の気持ちと同じような感傷的な気持ちに浸りつつも、新倉選手、音楽三昧の日々を過ごしております。

週末はクローズドコンサート含め、毎日様々な場所で演奏していたのですが、昨日のバーゼルでのシナゴーグ150周年クレズマーコンサートでは特に、音楽が深める「絆」を改めて感じることが出来ました。


クラシック業界に限りませんが
「〇〇でないとならない」
というような暗黙のルールに自分を縛り付けてしまいそうになる時があります。

しかし、そんな邪念を取り除くことができたきっかけが、スイスとクレズマー音楽に私の場合はありました。

スイスへ飛び出し、果てしなく高いレベルの音楽家たちを目の当たりにし、また他の職業を持ちながら音楽を楽しむ方々にもたくさん出逢いました。
そんな中で私が特に影響を受けたのが、このブログにも度々登場するクレズマーバンドCheibe Balaganの仲間たちです。


東欧の音楽、クレズマー。
日本ではまだまだ馴染みがないジャンルですが、クラシック音楽とも根強く結びついており、喜びと悲しみを背中合わせに持つなんとも歴史深い音楽です。

そんなクレズマーを奏でていた友人たちの誠実でまっすぐな豊かな人間性に、救われました。

「わたしたちは自由だ!!」と。

また、私が住むスイスでの言語スイスドイツ語はクレズマー音楽の言語イディッシュ語に大変良く似ており、仲間と共にイディッシュ語で歌うことを自然にはじめました。
チェリストの私が歌う歌は決して上手いものではありませんが、私の中で大切にしている1つの音楽的な要素です。

ちなみに、クラシックの器楽奏者にとって、言葉を学ぶことは遠回りなようで実は近道であるように感じます。


昨日のシナゴーグコンサートは満員御礼で、ユダヤの方々も多くいらしていたのですが、ポーランドに先祖や家族を持つ方々もたくさんいらしており、ポーランドに所縁のある曲をイディッシュ語で歌ったら

「こうしてこの曲たちを日本人の女の子が奏でて歌ってくれるとは、ポーランドの人も思いもしなかったでしょうね、ありがとう」

と言っていただきました。
(今まさに、私も夏にご一緒させていただいた日本人のクレズマーバンドのジンタらムータさんがワルシャワの音楽祭に出演されており、より音楽で繋がっている、嬉しい気持ちになりました)


昨日のコンサートの場所が、長年留学生として過ごしたバーゼルという土地だったこともあり、なんとも感慨深い一日を過ごしました。
留学したての頃は、まさかこのような場で自分が歌まで歌っているとは夢にも思いませんでした!

バンドの仲間からは日々イディッシュ語のアクセントをかなり厳しく教わっていますが、そんな仲間も「心が届いてよかったね、クラシックもクレズマーも、決まりやテクニックはもちろん大切だけど、やっぱりハートだよね。」と言ってくれて嬉しかったです。

しかし、何事もテクニックがないとハートは届かないので…それを届けるプロとして、自身を磨いていこうと思います。


またハイジとなり、しっかり弾きこもります!


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