ついに帝劇が再開した。

「ジャージー・ボーイズ・イン:コンサート」、7月23日初日。

ライヴ配信は18日からスタートしているけれど、

観客を入れての上演はこの日から。

本当に久しぶりだ。なんと、148日ぶりだそう。

 

 

 ミュージカル・ファン@東京にとって、帝劇は特別な場所。

帝劇が再開して初めて、ミュージカル界の本格的再始動を

実感したのは、私だけじゃないと思う。

ずいぶんと見慣れているはずの「本日初日」の看板を、

今日は、ひときわ感慨深く、じっくりと見てしまった。

(正確には、すでに昨日ですが)

 

 

「ジャージー・ボーイズ・イン・コンサート」上演には紆余曲折があった。

もともとは本作品を上演するはずが、コロナ禍の影響で

いったん中止になり、再度の検討を経て

コンサート・ヴァージョンでの上演となったものだ。

初日もずいぶん遅れてしまった。

 

 でも、コンサート・ヴァージョンでの再開は、

むしろ良かったんじゃないかと思う。

いまの重い空気を振り払うような、エール感と、

祝祭感があるから。

 

 

「ジャージー…」自体も、期せずして再開に

ふさわしい作品となった気がする。

元のミュージカルは、60年代に一世を風靡した

「フォー・シーズンズ」の軌跡を、

彼らのヒット曲で紡いだもの。

最終的には、音楽讃歌、人生讃歌となる物語が、

沈みがちになりそうな気持ちをチア・アップしてくれるのだ。

 

 初日の舞台は素晴らしかった。

主演・中川晃教は、シアタークリエ初演(16)から

ずっとシングル・キャストでフランキー・ヴァリを演じ続け、

今回も、あの奇跡の歌声を存分に聞かせてくれた。

 

 

「フォー・シーズンズ」の残る3人ノ」メンバーは、

本来はダブル・キャスト。

トミーは藤岡正明と尾上右近。ボブは矢崎広と東啓介。

ニックはspiと大山真志で、2チームに別れ交互出演のはずだった。

ところが、コンサート・ヴァージョンには全員が登場。

2人のトミーとボブとニックが、掛け合いで、持ちナンバーを歌う、

という、なんとも贅沢な舞台だ。

 

 過去舞台の資料映像と、ライヴ映像を上手に

組み合わせた演出(藤田俊太郎)も、

独特の臨場感を生み出していた。

 

 

 そして、思ったこと。

帝劇って、本当にいい劇場なんだな、って。

観客を半分以下にして客席を間引いているのに、

スカスカ感がないのだ。

あんなに大きな空間なのに、舞台と客席が

抱き合っているような一体感がある。

ああ、これが、この劇場を好きな理由なんだと

改めて確認した次第。