清々しい風に吹かれている気分になってしまう。

「ライド・ライク・ア・ガール」は、そんな気持ちのいい映画だ。

 

©2019 100 to 1 Films Pty Ltd

 

 オーストラリア競馬界最高の栄誉とされるメルボルン・カップ。

その史上、女性騎手として初めて優勝したミシェルの物語だ。

実話ベースの作品で、優勝当時(2015年)は

かなりのニュースになったから覚えている人もいるかも。

 

 10人きょうだいの末っ子ミシェル・ペイン(テリーサ・パーマー)は、

生後半年で母を亡くす。けれど、にぎやかな家族に囲まれ健やかに育った。

ペイン家は、父(サム・ニール)が調教師なのをはじめ、

兄も姉も大半が騎手という競馬ファミリー。

ミシュエルも幼い頃から、騎手になるつもり。

いつかメルボルン・カップで優勝することを夢見ていた。

 

©2019 100 to 1 Films Pty Ltd

 

 いよいよ夢に向かって踏み出そうとする彼女に、父は大反対。

落馬事故で子供を失った悲しみを、もう味わいたくないのだ。、

それでも、ミシェルは夢をあきらめない。

男社会の競馬界でセクハラ、パワハラに合いながらも、

ついに華々しいデビューを飾る。

 

 順調にいくかにみえた騎手人生は、落馬事故で暗転する。

頭蓋骨骨折、脳挫傷を負う重症に、騎手生命は終わってしまうのか。。

って、ものすごい努力と闘いを経て、その結果は周知の事実。

でも、やっぱりドキドキしてしまうのだよね。

 

©2019 100 to 1 Films Pty Ltd

 

 どんな壁にぶち当たっても、くじけずに

真っ直ぐに突き進むヒロインの姿が、とても爽快。

夢に挑戦し、夢を掴むヒロイン・ストーリーには、

親子の葛藤、家族の愛といった絆のドラマが

サブ・ストーリーとして織り込まれ、、こちらの展開も快い。

 

 ことに、ダウン症の兄が調教師の資質を顕していく

エピソードが印象的。

誰もが、自分の輝く場所を見つけられるのだと

思えて、元気づけられるのだ。

ミシェルの周囲のさまざまな女性たちも、はつらつ。、

温かな作品でもある。

 

©2019 100 to 1 Films Pty Ltd

 

 物語の爽快感を、伸びやかな風景が盛り上げる。

監督はレイチェル・グリフィス。

オーストラリア映画「ミュリエルの結婚」で注目され、

ハリウッドで活躍、アカデミー賞にもノミネートされた実力派女優。

これが、彼女の監督デビュー作になる。

 

イオンエンターテインメント配給

7月17日からTOHOシネマズ・シャンテほかで全国公開。