今、新型コロナの影響で外食産業は大変な危機に面しています。

 

3月くらいから始まった「外食回避」の流れは、4月に入っての休業要請で全国に拡大。

 

そしてイートイン客はほぼ消滅。

 

飲食店はテイクアウトで何とか売上を出している状態。

 

ただ、お昼のお弁当のテイクアウトのみで損益分岐点を超えることはあり得ない。

 

飲食店のビジネスモデルはどうしても「薄利多売」が基本。

 

ただでさえランチ営業は薄利なのに、テイクアウトとなったらもう薄利すら無い。

 

でもテイクアウトのお弁当の価格は、上げたくても上げられない。

 

夜の飲食に3000円なら払える。むしろ安いくらい。

 

でも昼のお弁当に3000円なんてありえない。1000円でも高い。

 

じゃあ「夜にもテイクアウトをやればいいか」といったらそれも違う。

 

夜は料理自体は薄利だけど、ドリンクで稼いでいる部分が大きいから。

 

なのでテイクアウトで料理を数品買ってもらったところでこれも大した利益にはならない。

 

 

一般的な飲食店は、3ヵ月間お客が来なかったら潰れると言われている。

 

ランニングコストが大きいから。

 

一番大きいのは家賃と人件費。お客が来ようが来なかろうが必ずかかる。

 

あとは仕入れや水道光熱費。これも必ずかかる。

 

お客が少ないからって仕入れを減らし過ぎることもできない。

 

かといって食材なので長期間保存することも難しい。

 

なので飲食店経営は、お客が来て初めて成り立つ商売と言える。

 

お客が来て成り立つのはどの商売でも同じなのだが、コストがかかる分、飲食店経営は厳しさが上がるというワケだ。

 

 

ではこんな博打のようなビジネスに、なぜこんなにも参入するのか。

 

潰れていくお店を目の当たりにしながらも、「自分も飲食店やろう!」となるのか。

 

それは飲食業ビジネスには独特の「参入したくなる理由」があるからと言える。

 

なぜ参入したくなるか。理由は2つある。

 

 

1つ目は、ビジネス初心者でもそこそこお客を取れるから。つまり売上を作りやすいから。

 

まず「飲食業」は、既に世の中に認知されているビジネスだ。

 

ビジネスにとって認知度は非常に重要だ。

 

飲食業は、「入店したらお金を払えば料理を食べさせてくれるビジネス」と認知されている。

 

当たり前過ぎてそう捉えている人はいないと思うが、「人の不便の解消」というビジネスの基本をちゃんと全うしている。

 

商売は求められるからこそ成り立つ。

 

自分で料理を作らなくても食べさせてくれるところ。人と料理を食べながら楽しむ場所を提供してくれるところ。

 

なので場所と内容(料理・価格・内外装等)さえ間違わなければわりと簡単に売上は作れる。

 

そこから伸びるか停滞するか衰退するかはアイディアと努力で変わる。

 

初期コストはかかる。場所を借りたり内外装を作ったり。

 

でもビジネスモデル的には難しくないから、お金さえあれば(借りられれば)誰でも開業できる極めてシンプルなビジネスと言える。

 

以上が「参入したくなる理由」の一つめ。

 

 

もう一つの参入のしたくなる理由はやはり「想い」だろうか。

 

美味しいもの食べてもらって喜んで欲しい。

 

商売だから「儲けてやろう」って気持ちも当然ある。その大きさが違うだけで皆それは持っている。

 

悪いことでは全くない。趣味じゃなく商売なのだからそう思って当然だ。

 

それと同時にやはり、「美味しいものを食べさせたい」という気持ちも皆持っている。

 

「人を喜ばせる」という喜び。

 

飲食店経営に慣れてきたり、忙しくなってくると忘れがちにはなるかもしれないが、

 

起業の根本にはこれが必ずあったはず。

 

しかもそれは今も頭の片隅にちゃんとある。ちょっと落ち着きさえすれば、いつでも取り戻せる場所にある。

 

これが2つめの参入する理由だ。

 

 

今、コロナの影響で多くの飲食店が継続困難の状態に陥っている。

 

「3ヵ月」というリミットを考えると、この状態が続けば単純計算で7月には倒産する飲食店が一気に増えることになる。

 

コロナが急速に終息し、7月にはこれまでの日常が戻ってくることを望むが、どうなるかは全くわからない。

 

それでも今日もテイクアウトのお弁当を美味しく作って、一つでも多く売ろうとしている飲食店がある。

 

 

いつかの将来、これが笑い話になったらと思う。

 

「あの時はほんとヤバかったよね!マジで潰れるかと思ったよ笑」と。