米配車大手ウーバー・テクノロジーズの飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員が3日、17人で労働組合を結成した。配達員は同社の従業員ではなく、「個人事業主」として働いており、労災や雇用保険が適用されない。同社は配達中の事故でけがをした場合などに補償する制度を今月導入したが、配達員は不十分だとして、労組を通じ会社側に補償額拡充など待遇の改善を求める構えだ。ウーバーイーツは、消費者がスマートフォンの専用アプリで食べ物を注文すると、自転車やバイクに乗った配達員が飲食店の料理を受け取り、客に届けるサービス。好きな時間に働くことができ、配達員は全国で1万人を超えるという。なるほどね。

これってなかなか難しいところだね。まず、組合を作られてしまうって時点で、従業員の会社に対する不満が大きいことを示している。これはどの会社でも同じ。経営者としては、「従業員が組合を作った」なんて事態をまずは起こしてはいけない。組合とは簡単に言えば “従業員連合” だ。個人では会社に対して意見できなかったり、力が弱かったりするが、従業員が組織を作って意見をまとめて会社に提言したりできる。そうなると従業員側も会社に対してある程度の力を持つことになる。労基法では補いきれない部分(会社の独自ルールなど)にも公式に意見を言えることになる。ちなみに労働組合が無い会社で、でも個人で会社への不満や不正を意見したい場合は労働基準監督署というところに相談できる。そこで改善が必要と判断された場合は、労働基準監督署から会社へ勧告が行く。

さて、今回のウーバーイーツの件だが、「個人事業主」ということで、会社所属ではなく個人で会社と契約している形になる。労災や雇用保険は無くて当然だ。その上で会社は事故やケガの補償制度までしてくれてある。補償内容の詳細はわからないけど、ここまでしてるなら「厚遇」と言っていい。いわゆるホワイト企業だね。それでも不満で組合を作るってことなんで、まあどうなんだろうね。補償内容と事故などの実状がわからないから何とも言えないが。ただ、これで待遇改善を求めるのであれば、会社側もそれを飲む代わりにちゃんとその配達員達にも更なる細かいルールを求めていい。

組合を作って会社に提言するのは構わない。ただ、これまでグレーだった部分を白黒ハッキリさせなければいけなくなる。グレーだったからこそ助かってきていたことが両者に多くあったはずだ。

会社にとってそこで一緒に働く人は皆 “仲間” だ。決して敵対する関係であってはいけない。綺麗事に聞こえるかもしれない。でも “現実” と “理想” が離れているのなら近付けていく努力が両者に必要だ。組合もそこへ向かう方法の一つであって欲しい。