というタイトルのニュースだったが、その販売方法はたいして特別なものではなかった。
ニュースの内容は、17年から発売の小林製薬のイボ痔治療薬が、目標売上の2倍近く売り上げたというもの。目標が3億8000万円だったというから、7億円以上売り上げたのだろう。
この薬は “舌下錠” 、つまり舌の裏に入れて粘膜から吸収するタイプらしい。これまでのイボ痔薬は患部に塗布する外用薬が主流だったらしいので、イボ痔薬としては新しいタイプの薬というわけだ。
で、売上を2倍にした販売方法とはどんなものかと思いきや、担当者いわく、「ドラッグストアで痔の外用薬の近隣に配置して販売している」と。んなの当たり前じゃん!逆にそれ以外どこに置くのよ!?と突っ込みたくなったが、注目はそのあとのこの言葉、「なので相乗効果があり、うまく販売を伸ばせている」と。
わかるかな?この “相乗効果” ってとこがミソだ。客の心理はこうだ。これまでの外用薬を買いに来た客が、舌下薬もあることをここで初めて知る。痔に悩んでいる人は早く治したいだろうから、この場合「どっちを選ぶか?」というより、「両方買ってダブルで攻める」という思考になる。つまりこれまでの外用薬+舌下薬をセットで買う客が増えるということ。つまり痔の薬コーナーで競争するのではなく、両方活きる、つまり “相乗効果” が生まれたというわけだ。小林製薬は従来の外用薬も当然あるよね。なのでうまくすれば単純に顧客単価が2倍になるってこと。これは何気にすごいことだよ。
元からあるものに便乗させて売るって商法はよくあるけど、なかなかうまくいかない場合が多い。売り手側が一緒に買わせたいと思っても、どちらかだけ選ばれてしまう場合もある。それが安い方だったりしたら売上ダウンだ。更には迷って両方買わないってこともあるから危険もある。でもこの痔の薬の場合はホントに相乗効果を生んでいるのだろう。目的(痔の治療)は同じだけどアプローチ(舌下薬と外用薬)が違うから共存でき、相乗効果を生むことができている。
この舌下薬の認知度はまだまだ低いらしいから、この認知度が上がってきたら更に相乗効果が大きくなるよね。なかなか素晴らしい。
