4月以降、日芸での勉学に専念しているため、観劇
レビューの方は、休止させていただいております。
(夏休み中には、2018年度下半期&2019年度夏頃
までの観劇記録だけは、整理してアップするつもり
ですが…。)
 
また、大学の方も、いよいよ前期試験が近づいて
きましたので、日々、試験準備に追われています。
 
まあ、そんななかではありますが、今、同じ授業を
取っている演劇学科の学生さんが出演した朗読劇
を観てきましたので、以下、短評としてまとめてみま
した。
よろしければ、ご覧になってくださいませ。
 
 
 
 
(1)
7月14日の日曜日に、この『二重被爆』(調布市 上映
&朗読会)という企画に足を運んだわけですが、その
内容を以下に記します(上のチラシ画像も参照してく
ださい)。
 
〇13:40~14:40
映画『二重被爆』(監督 稲塚秀孝)の上映
〇14:56~15:28
朗読劇『ヒロシマの歌』
出演 本郷弦・高橋星音(いずれも無名塾)
演出 本郷弦
〇15:29~16:00
朗読劇『二重被爆の姉と弟』
出演 松崎謙二・島田仁・朝日望(いずれも無名塾)
演出 (当日の次第には特に記載なし)
 
(2)
映画『二重被爆』は、広島と長崎の両市で被爆した
「二重被爆者」のことを追ったドキュメンタリー映画で、
稲塚秀孝監督が、「二重被爆者の一人、山口彊(やま
ぐちつとむ)さんを始め、7名の二重被爆者の証言を基
に製作した記録映画」(会場で配付されたリーフレット・
<二重被爆 人間の世界に核はいらない 語り部 山口
彊の遺言>P3より引用)です。
 
映画に記録された各証言等の重みや迫真性に衝撃を
受けたことはもちろんですが、私自身が最も感銘を受
けた点は、稲塚監督の多面的かつグローバルな視点
に基づく製作姿勢でした。
アメリカ、フランス、中国等にまで出向いて、この映画
の感想を含めた現地の人々(特に若い人々)のナマの
声を、丁寧に拾っていました。
また、監督ご自身の製作意図からすれば「?!」と思え
るような発言も、決してカットしたりせず、きちんと記録さ
れていました。
 
「この監督の記録映画は信頼できる!」と、まさに心底
思えた瞬間でした。
 
 
 
 
(3)
朗読劇『ヒロシマの歌』は、次のような実話に基づいた
作品でした。
 
原爆が投下された直後の広島市内で、死亡した母親の
もとで奇跡的に助かった乳児(女児)を、若い兵隊さんが
救助します。
で、兵隊さんは、同じく乳児を亡くしてしまった夫婦にこの
赤ちゃんを託したのですが、戦後の混乱のなかで、お互い
にその消息はわからなくなってしまいます。
その後、紆余曲折を経て、この女児並びに養母と連絡が
つき、再会する機会も得たのですが……。
 
朗読した本郷弦さんも高橋星音(せいね)さんも、共に長
身痩躯のフォトジェニックな俳優さんです。
なので、立ち位置を常に変えて朗読したり、一人が舞台上
からはけてしまったり、あるいは、お互いに歩みながらすれ
違ったり……というような、オーソドックスな朗読劇とは一味
違った、舞台上での動きのあるスタイリッシュな演出が、殊
の外ステキでした。
 
朗読劇の最後に、15歳にまで成長した女児が、今習得中の
洋裁の技術を活かして、この(再会した)元兵隊さんに、ネー
ム刺繡入りのワイシャツを徹夜で作ってあげる……というシ
ーンがありました。
で、彼女お手製の刺繡には、ネームのみならず、「キノコ雲」
(!!)までデザインされている由(゚ロ゚)。
 
ちょっと(かなり)ドッキリしてしまうようなエピソードでもありま
すが、この15歳になった女児の「キノコ雲」刺繡にこそ、却って
リアリティーを感じた次第です。
高橋さんも、この辺りを、変に気負わずサラっと爽やかに、でも、
戦後の平和な世界を前向きに生きていく気持ちを込めて、読み
上げていました。
 
 
※ 同趣旨の企画は、まず先行して、2019年の2月3日に、
茨城県の東海村で開催された由。
左が本郷弦さんで、右が高橋星音さんです。
(2019年1月20日付け東京新聞の紹介記事より。)
<この画像の掲載元URL>
 
 
(4)
最後に、朗読劇『二重被爆の姉と弟』は、次のような実話に
基づいた作品でした。

爆心地にほど近い自宅で被爆した、14歳の姉と12歳の弟。
この姉弟の父親は出征しており、母親は離婚してしまって
いないため、姉弟二人だけで戦時下の生活を頑張ってい
たのです。
崩壊した自宅の瓦礫に埋まってしまった姉を、弟は何とか
助け出し、原爆投下直後の地獄絵図のような惨状のなか
を、二人は、離婚してしまった母親の実家がある長崎県
をめざして、汽車に何とか乗り込みます。
ところが、その道中で、長崎市でも二重被爆をしてしまう
わけです。
(今の歳で言ったら)中2の姉と小6の弟の決死の移動譚
の行方は、果たして……。
 
二重被爆という悲劇の連鎖はもとより、道中で起こるあら
ゆる危機を姉弟で何とか乗り切っていく過程そのものを、
朝日望さん(姉役)と島田仁さん(弟役)の若手俳優が懸命
に朗読し、(今回の企画自体をプロデュースした)松崎謙二
さんが、やや客観的な立場から狂言回しを務める……とい
う、いわば若手とベテランのバランスが絶妙の朗読劇でし
た(^_^)。
 
 
 
 
終演後の役者面会時の画像ですが、左から、高橋星音
さん、朝日望さん、島田仁さんで、無名塾に所属する若
手俳優の皆さんです(*^_^*)。
 
朝日さんが演じた女性は、現在88歳で青森県でご健在
の由。そして、次回は、この女性ご本人の前で朗読劇を
披露するとのことでした。
ご健闘を祈ります。
 
高橋さんとは、今、4単位の某通年科目を共に受講して
いますので、これからも宜しくお願いしますね(^o^)。
 
 
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