結城市の歴史 近代結城のなりたち

引用 参考書籍 結城市史 第六巻 近代現代通史編 発行:結城市  編集:結城市史編さん委員会

P998

機屋の兼業について

紬生産は大部分が小規模生産であるため、これを専業としているものは

意外に少なく大部分が兼業生産者である。1979年(昭和54)両県の

組合員について行った調査で回答の得られた1184戸についてみれば、

紬織り専業者は13.9%にすぎない。主として紬を織り、別に職業を持つ

ものが25.3%、主なる職業を別に持ち従として機織りを行うものが

60.8%となっている。この比率は茨城、栃木県ともほぼ同じ比率を

示している。組合に加入しないで紬を織っているのは賃織業者に多く、

紬織りに依存する比重はより低くなっている。従って、非組合員を含め

ると兼業がより高くなることは明らかである。機業を主とするものの

兼業についてみると、農業が96.6%を占めており、これに次ぐ公務員

(0.7%)以下にはみるべき兼業はない。副業として機を織り主なる

職業を別に持つものについてみても農業は圧倒的に高い比率(85.0%)

を占め、これに次いでは公務員(1.8%)、製造業(1.5%)、建築業

(1.5%)、卸売、小売業(0.7%)、運輸、通信業(0.7%)がみられ

る程度である。紬織りが農閑期副業として長い歴史を持った伝統は今日

にも受け継がれ、一部の専業者を除いて大部分が農業従事者によって

狙われていることがわかる。これらの農業者について経営規模をみると

主として機を織りながら農業を兼ねるものの経営規模は30アール以上

1.5ヘクタール未満に集中している。これに対し農業を主とするものの

規模はずっと大きく、70アール以上3ヘクタール未満に集中している。

これらの経営規模を結城市内農家の経営規模と対比してみると、主として

機を織る農家の耕作規模は市平均よりいちじるしく小さく、農業を主と

する農家は市の平均耕作規模を若干下回る程度である。いずれにしても

機織り農家の経営規模が一般農家の経営規模を下回っていたし、とくに

主として機を織る農家の経営規模は平均をいちじるしく下回り、農家

経営比重の低下をはっきりと示している。なお、これら兼業農家の生産

品についてみると明らかに差異がみられる。主として機を織る農家は

高級品に生産の重点を置き、中級品、下級品の順で生産しているのに

対し、従として機を織る農家は圧倒的に下級品(茨城県)又は中級品

を織り、高級品にはあまり重点を置いていない。

 

 

<機屋の兼業について   おわり>