記録的な猛暑の影響で、夏バテ防止に効果があるとされるスイカは、豊作にもかかわらず大幅に値上がりしている。

一方、暑さに弱い野菜は高値が続き、家畜が夏バテして豚肉や生乳の出荷量は落ち込んでいる。さらに、海水温が上がったためサンマは不漁で、価格は昨年の約10倍だ。厳しい残暑は当分続きそうで、食卓に並ぶ品々の価格が高止まりしたり供給が不足したりする恐れもある。

農林水産省によると、暑さに強いスイカは豊作で、8月上旬の市場への出荷量は前年同時期に比べ約15%も増えた。だが、「猛暑で消費量が伸び続けている」(青果卸大手の東京青果)ため、1キロ・グラムあたりの卸売価格は全国平均で42・4%高い168円と、大幅に上がっている。

家畜の夏バテも深刻だ。

1800の養豚業者が加盟する日本養豚協会によると、「暑さで豚の食欲が落ち、生育が遅れている」ため、豚肉の出荷量が減っているという。平均卸売価格は7月26日に1キロ・グラムあたり406円だったが、8月10日には526円と、2週間で約3割も値上がりした。豚は暑さに弱いため、霧を発生させて豚の夏バテ解消を目指す装置を豚舎に取り付けたりしているが、「焼け石に水」の状態だ。

乳牛も暑さで食欲不振になり、生乳の生産量が落ち込んでいる。中央酪農会議(中酪)によると、7月の全国の生乳生産量は前年同月に比べ1・3%減った。特に、消費量が多い関東地方では、暑さが厳しくなった7月下旬に供給量が前年同期より5%も減った。

8月も同じ傾向が続いており、「学校給食が始まり、最も需要が高まる9月に供給が不足するかもしれない」(中酪)との懸念も出ている。

もともと暑さに弱い高原栽培物を中心とする野菜も値上がりしている。農水省が行っている野菜の小売価格の緊急調査では、8月9~13日の全国平均価格は、レタスが1キロ・グラムあたり前年同期比23%高い505円、キャベツが16%高い174円で、家計にも打撃を与えつつある。

一方、サンマは北海道・根室での19日の競りで、1キロ・グラムあたり3200円と、昨年のほぼ10倍の値が付いた。「1匹あたり600円以上もし、小売りでは1500円を超えるかも」という。秋の味覚が食卓から遠のきかねない状況だ。