R4予備論文再現 労働法 | 趣味で受験する司法試験予備試験からの司法試験受験、中小企業診断士試験その他各種資格検定試験

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第1 考えられる請求

 Y社がXとの有期労働契約を更新しなかったことは不当な雇止めで無効であるとして、Y社とXの間に労働契約が存在し、Xが現在もY社の従業員であることの地位の確認請求をする。

第2 本件のXとY社の労働契約は、1年ごとに契約更新する有期労働契約であるので、労働契約法(以下「労契法」とする)19条が適用されるのか。

 令和2年4月及び令和3年4月の契約更新の際、Y社から契約不更新の可能性が指摘されることはなかったこと、4回にわたって契約更新がされてきたこと、Xが契約更新されないのは不当だと考えていることなどから、有期労働契約が更新されるものと期待することについての合理的な理由があり、19条2号に該当し、19条が適用されると考える。

第3 1 そうすると、Y社の契約不更新は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当といえない場合には、権利の濫用として無効となる(労契法19条本文)。

 そして、本件でのY社のXに対する契約不更新は、Xの勤務態度の悪さを理由としているものであることから、能力不足による普通解雇と同様に判断するべきと考える。そこで、①求められている職務の能力の内容に比して能力が不足していること、②会社が改善、能力向上の十分な努力をしたこと、③十分な会社の努力にもかかわらず能力が改善しなかったかこと、④今後の能力向上の見込みがあること、といった点から、合理性と相当性を判断する。

2 本件では、Xは売上成績でA店で群を抜いていたなどからすると、能力は十分であったとも考えられる。しかし、業務の進め方や店内での従業員間のコミュニケーションの取り方に問題があること、仕事を同僚に押し付けることを繰り返していたこと、ミスを同僚に転嫁したり、他の従業員への引き継ぎをしないまま勝手に休憩に入ってしまったりすることを繰り返していたことなどから、この勤務態度の悪さは能力不足と評価できる。しかも、それが職場環境の悪化をもたらし、従業員の離職までおきており、能力不足は重大といえる(①)。

 そして、A店の店長Bは、Xが勤務態度を改めることを期待してXに対して指導を行うことはあったので、改善の努力はあったとも思えるが、同僚とのトラブルはなくならず、多くの場合、他の販売担当従業員に我慢させ、他の販売担当従業員を他店に異動させるといった対応をしており、改善の努力が十分であったといえない(②)。 

 また、たしかにXの勤務態度が根本的に改まらなかったのであるが、そもそもの会社の改善の努力が不十分であった(③)。

 さらに、Y社は全国の百貨店内のテナント店舗のほかに多数の路面店を展開していたのであるから、契約を不更新にせずにXを多店舗に異動させるなどすれば、Xの改善する可能性があるとも考えられる(④)。

3 以上からすると、Y社の契約不更新は、合理性・相当性を欠き、権利の濫用であり無効である。

第4 本件のY社がXに対してした契約不更新は無効であり、労契法18条も適用されるので、本件のYの請求は認容される。

以上(約2ページ半)

 

追記

再現してみて色々と積極ミスを発見。

(それが再現の醍醐味ですが)

19条を挙げたのに書いている内容が16条類推適用になってしまってますね。

まあ、もともとの「雇止め法理」からすると実質は誤りとまでは言えないのですが、

「申し込みを承諾したものとみなす」という条文の効果をガン無視したのは非常に痛いです。

他のまずい点は、

簡単に能力不足の話にしてしまい、

勤務態度の悪さと能力不足のどちらを論じているのかわからない内容になっています。

また、いくら労契法18条1項(無期労働契約転換)が適用される状況で、普通解雇と同質化してきているといっても、

一応まだ有期雇用なわけですから、普通解雇との違いを出さないのは良くなかったですね。

と、駄目なところだらけですが、

一応、形はそれなりに作って、

中身も頑張って詰め込んだので、

Fまでは落ちないと感じます。

自己評価は、やはりEです。