巨人の澤村投手が、トレーナーの針治療のミスで、長胸神経麻痺が起きたというニュースが流れた。
この針刺しによる長胸神経麻痺に関して、私は当初から疑問があった。
そもそも「長胸神経」とはどこにあるか?
専門的な説明を省くので、下の写真をご覧頂きたい。
頸椎から出た神経が、途中で長胸神経となる(青色で示した神経が長胸神経)。
複数の医師によって、トレーナーの針治療によりこの長胸神経を刺してしまい、長胸神経麻痺を起こした可能性が考えられるというのが、球団側の発表である。
そもそも針で、本当に長胸神経を刺すことがあるのだろうか?
調べてみると、多くの医師や鍼灸師たちが、針刺しによる長胸神経麻痺に疑問を抱いていた。私もその1人である。
ちなみに、「特記すべき有害事象の発生頻度は、日本式鍼灸治療で0.12%」という報告があった。つまり1000人に1人である。
ただし、届け出の義務はないため、実際はこの数字よりはもっと多いかと思われる。
医師の立場として、疑問が色々とあった。
たとえば我々が身近なところでは、歯科治療がある。
無麻酔で治療が行なわれた場合、誰もが神経に触られてピクンとするような痛みを経験したことがあると思う。
神経に触るというのは、痛みが伴うのである。
ところが、澤村投手の場合は、そのような症状はなかった。後から、複数の医師が長胸神経を刺した可能性を指摘しただけであった。
つまり・・・
澤村投手の長胸神経麻痺は針刺しされたとされる以前から、長胸神経麻痺が起きていたのではなかろうか?
そして・・・
私の専門外ではあるが、鍼灸に使用される針は、髪の毛みたいに非常に細い。
一方で、医療で使われる麻酔用の針は、麻酔薬を注入するため、それよりはるかに太い。
稀ではあるが、たとえば腰から脊椎に向かって麻酔用の針を刺す際、深く入れ過ぎて時々神経を刺してしまう事がある。だが、神経を刺しても、一時的にしびれの残る事があるが、時間経過と共に自然に回復する。
つまり・・・
鍼灸による細い針で、1/1000の確率で長胸神経を刺したとしても、長胸神経麻痺の症状が長く続く経過には、非常に疑問である。
あくまで私個人の考えだが、澤村投手の長胸神経麻痺の原因は、ボディビルダー並みの激しい筋トレが原因ではないかと思う。
一旦、話題を変える。
以前ほどの活躍はできなくなったが、今もメジャーで現役を続けているイチロー選手。今年で17シーズン目である。
メジャーである程度長く活躍できる日本人選手の多くは、投手である。
野手で長く活躍できる選手は少なく、イチローの次はワールドシリーズでMVPになった松井秀喜氏の9シーズンである。
ダントツで長くメジャーに居続ける事ができるイチロー。投手と野手では使う筋肉が違うが、なぜイチローはこんなにも長くメジャーに在籍できるのか?
それは、イチローは人間の身体をよくわかっているからだ。
イチローですら、若い頃は一生懸命筋トレをしていた時期があった。
だが筋肉が重くなると、却って打撃に影響があったらしい。それが、シーズン後半で筋トレする機会が減って筋肉が落ちてくると、むしろ打撃が好調だったという。
自分の身体に見合った以上の筋肉をつける事は、決して良くはないのだ。
ちなみにボディビルダーでも、若くして亡くなる人が時々いた。
上の写真のイチローの名言とも言える発言、まさにその通りである。
例えば、重量挙げの選手は膝関節を悪くしやすい。
理由はイチローの言葉で明らかであろう。
長胸神経の断裂とまでは行かなくても、筋トレで長胸神経を断裂状態に近いくらい痛めたと思われる。
投手である以上、肩周辺の筋肉を鍛える必要があるため、肩の怪我は隣り合わせだろうが、何事もやり過ぎは良くないのだ。
尚、イチローの名言とも言える動画は下にアップした。
世界を取った者の言葉は、非常に重いし勉強にもなる。
10分ほどの動画だが、よろしければご覧頂きたい。
最後に、そもそもなぜ複数の医師により、針により長胸神経麻痺が起きた可能性があると指摘され、球団側が澤村投手に謝罪したのであろうか?
大体にして、針を刺して時間が経過してから、施術をしていない医師が、どうやって診断をくだしたのであろうか?
あるスポーツ紙によると、どうも、球団として澤村投手をかばいたい事情があると思われる。
澤村投手はトレーナーの治療を巡り、球団を相手取ったトラブルを抱えていたことは、早くから選手の多くが知るところだった。
おそらく複数の医師の診断は、最初から答えが用意されていたと思う。
ちなみに他の選手からは、完全に信頼を失っているらしい。
傍から見ると、そんな選手が復帰できたとしても、チームワークを乱すようなら、選手登録を抹消すればいいのにと思うが、何か事情があるんだろうなあ。
やはりニュースというのは、報道のみを鵜呑みにすべきではない。
どんな事でもそうだが、なぜそのような結果に至ったのかを、別角度から確かめる事も必要である。
(画像はネットより拝借)
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