それまでは減少傾向にあったのに、
レーガン政権からの「新自由主義」政策と、
それを補完する、新しい「刑罰理論」とにより、
取締まりと監視の徹底化で、
「軽犯罪」などでも収監するようになった為に、
囚人人口が、右肩上がり急増していった模様、
逮捕・収監のための「間口(まぐち)」が広げられた模様を、前回は見ました。
今回は、
そうした「徹底的な取締・監視」を行なうための、
”情報テクノロジー”などを活用しての
「監視取締りの物理的能力」の飛躍的拡大による
サポート体制化と、
「刑罰制度」の性質や趣旨や目的の”変質”により、
「再逮捕」や「収容化」、
そして「仮釈放の厳格化」が行われるようになったので、
囚人人口が増加する一方である構造である事について、見ていきたいと思います。
以下は、
ロイック・ヴァカン教授による文章の引用です。
”テクノロジーの進歩により、
監視能力が著しく増大した・・・・。
(中略)1970年代から80年代にかけて、
政治家たちは好んで犯罪者撲滅を
選挙キャンペーンのテーマにするようになった。
以来、犯罪者撲滅活動の活性化を担う連邦機関となった
法執行管理局の指導の下で、
五〇の州の警察と裁判所、刑事施設が
全国的なデータベースを作成した。
この犯罪者情報のデータベース化は、
その後も、ますます拡充されている。
こうして刑罰装置の「逮捕」部門と「監視」部門が
連携し始めた結果、
今日[1999年刊行当時]
五五〇〇万枚近くの「犯罪者記録カード」が存在し、
三〇〇〇万人が登録されている。
つまり、アメリカ成人男性の何と三分の一近くが
登録されているのだ!
FBIやINS(移民帰化局)、社会保障局などの
公的機関だけでなく、
一部の個人や民間組織も、
データベースにアクセスできる。
雇用者が 求職者の前歴を洗い出す際にも、
この「犯罪者情報データベース(ラップシート)」が利用されている。
データベースには、
誤りや未更新の情報、瑣末な記録から
非合法な個人情報までが含まれているが、
そのまま放置されている。
こうした情報が流通することで、
犯罪者や容疑者だけでなく、
その家族や友人、隣人、居住地区までもが、
警察と刑務所の監視下に置かれている。
さらにイリノイ、フロリダ、テキサス等の
十二の州では、
犯罪歴のデータベースが一切の規制もなく、
説明もないままに、
インターネット上で公開されている。
当初は、指紋と写真を元に
データベースが作成されていたが、
現在では遺伝子情報に基づいたデータが
急速に普及しつつある。
一九九八年一〇月、
公式に稼働したFBIのデータベースには、
何十万人もの懲役受益者のDNA情報が
蓄積されている。
そして、近い将来、
すべての州の刑事施設が採取した
唾液や血液のデータが、
これに加えられる予定である[一九九九年刊行当時]。
(引用者中略)
ジャネット・レノ司法長官は、
政府関係識者を集め
「DNA鑑定の未来に関する全米委員会」を結成した。
そして、遺伝子情報の登録を、
これまでの有罪確定者から
警察の逮捕者全員に広げる可能性について
検討するよう依頼した。
その数は、
年間一五〇〇万人にも上ると推定される。
近年、刑罰制度が質と量との両面で変化した結果、
不安定雇用の増大と社会保障制度の崩壊によって
生活基盤を失った下層労働者は、
刑罰によって一層締め付けられるようになった。
たとえば、刑期短縮は認められにくくなり、
また条件付き仮釈放の目的も大きく変質した。
すなわち、
もはや元受刑者の社会復帰の手助けを
目的とするのではなく、
なるべく再逮捕の効率を
上げることを重視するようになったのである。
こうして、仮釈放中の行動に関しては、
細かい規律が設けられ、
集中的な監視体制が敷かれるようになった
(その中には、
裁判所の保護観察官が毎週行なう麻薬検査がある。
これは多くの裁判所において、
保護観察官の主要な任務となった)。
その結果、たとえばカリフォルニアでは、
仮釈放中に再収監された人の数は、
一九八〇年の二九九五人から
一九九六年には七万五四〇〇人に増加した。
その大半(五万八〇〇〇人)は、
仮釈放中の規則に違反したというだけの理由で、
仮釈放の取り消し処分を受けた者である。
一九八五年から一九九七年の間に、
仮釈放期間を
無事に過ごして刑期を終えた者の割合は
七〇%から四四%に下落した。
このように保護観察や仮釈放の目的と結果は
大きく変化した。
そこでは、
一九七〇年代の監獄政策の基本だった
社会復帰の理想が放棄され、
代わりに「新しい刑務所運営」が
目指されるようになった。
こうして、もはや犯罪を未然に防いだり、
軽犯罪者が刑期をつとめた後に
社会復帰できるような支援を施したりすること
ではなく、
危険と見なされる集団を隔離し、
その中でも最も要注意人物と見なされた人々を
囲い込むことが、
刑務所運営の目的となったのである。
そのために
画一化された基準に基づく行動追跡調査や、
統計に基づいたリスク管理が行われている。
(引用者註:刑罰制度の「プロフィット(利益)化」や「経営化」)
”貧しきは罰せよ!”のための<取締まりの徹底化>(貧困と刑罰化とネオリベと<その4>)
これらは福祉事業というよりも、
「社会的廃棄物」を効率よく探し出し、
再処理する事業に近づいている
と言わざるをえない。”
(『貧困という監獄』 邦訳 P.78-81)
<「徹底的な取締」と「監視化」
および「IT化」導入での刑罰制度の”変質”>
により、
「人々を狩る・逮捕する」面の間口(まぐち)が
拡大され、
さらに、”仮釈放の基準が厳格化された”事で、
刑務所から囚人が出所できず、
収容されてしまう一方なので、
囚人人口は、増加の一途となってしまうのでした。
囚人人口は、増加する一方である構造にあるため、
「新自由主義」政策の「小さな政府」化により、
公的機関や公共予算が縮小される中で、
「刑務所増設」や「刑務所運営」への予算だけが、
激増していく模様を、次回は覗(のぞ)き見、
以降は、現在の私たち日本国民の大半にとっては、
予想だにできない「未知の世界」を見ていきたい
と思います。
<同シリーズなど関連記事>
〇 「新自由主義」って何?
〇 「新自由主義化」の政策措置は、どんなもの?
〇 新自由主義政策と”雇用不安定化”(「貧困」と「刑罰国家」と「軍隊」と<新自由主義>と(その1))
〇 「小さな政府」化と「刑罰国家」化(「貧困」と「刑罰国家化」と「新自由主義」と<その2>)
〇 「刑罰国家」化のための”理論的支柱”「ゼロ・トレランス政策」(貧困と刑罰と新自由主義<その3>)
〇 ”貧しきは罰せよ!”のための<取締まりの徹底化>(貧困と刑罰化とネオリベと<その4>)
〇 「生活保護の"有期化"」と「刑罰国家」化(「貧困」と「刑罰」と「新自由主義」と<その5>)
〇 NYから、ロンドンを経由しての西ヨーロッパへの<刑罰政策の輸出>~貧困と刑罰と新自由主義<6>~
〇 移民/外国人は「便利な敵」~日本版「プラン・メキシコ/NAFTA」への罠(7)~
〇 「福祉国家から刑罰国家へ」~アメリカ刑罰制度の変貌Ⅰ)<日本版プラン・メキシコへの策動(8)>~
〇 ”新しい”「刑罰政策」の二つの役割<日本版プラン・メキシコへの策動(9)>~
〇 「刑罰制度」は、どのように変貌したか ~日本版プラン・メキシコへの策動?(10)~
〇 <刑務所人口>と<刑務所施設>の「爆発的増加」~日本版プラン・メキシコへの過程(11)~
〇 HNK取材班『生活保護 3兆円の衝撃』は、「維新」推進のプロパガンダ本かも!?
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〇 日本の財界も、なぜ憲法9条改憲を要求するのか?
〇 「改憲策動」の”新しい陣立て”③~海外派兵のための「改憲」~
〇 <自民党/維新の会/みんなの党>「9条改憲」および「軍事ファシズムへの回帰」!?
〇
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<Project99%>掲示板より転載。
”みなさま
今日の10/20、中野ゼロで行われる
「モンサントの不自然な食べ物」
上映会後のトークセッション部
(安田美絵、司会安部さん)を
Office99%の協力で、
20:30よりUst配信してもらうことになりました。
http://ow.ly/eCGGo
安田美絵”
―――――――――――――――――
の御案内
学習会講師:白石孝さん
(反住基ネット連絡会、プライバシー・アクション)
〇 <兵庫県 西宮> 10月21日(日)
13:30-16:00
西宮市男女共学参画センター・ウェーブ411学習室
(阪急西宮北口)
※連絡先は、「現代を問う会」折口氏へ
(0798-52-9157)
〇 <名古屋> 11月25日(日)
13:30-16:00
愛知県芸術文化センター12F
(栄駅)
※連絡先は
「住基ネット反対運動を進める会・東海」さんへ
(052-759-4980)
※ いずれの会場でも、
関連書籍の割引販売も行われるようです。
※ ショウさんの情報提供コメントを転載させていただきました。
。
”重要な署名等の案件ばかりで
場違いかもしれませんができましたら
コメント欄の隅にでも置かせてください。
人権侵害救済法案の廃案を訴える
日本国民の会 公式WEBサイト
この度、当会は人権救済法案の反対を訴える為、
請願署名活動を開始します。
衆議院議員・城内実先生を筆頭に、
法案反対の先生方に紹介議員になって頂き、
今秋の臨時国会冒頭に請願書と
みなさまからの署名を国会に提出致します。
つきましては、みなさまからの署名のご協力、是非ともお願い申し上げます。
平成24年 9月21日(金)~
平成24年10月31日(月)(締切日を延長しました)
http://jinkenhouanhaianproject.web.fc2.com/
衆議院及び参議院のそれぞれの請願書の用紙や閣僚の連絡先等、サイトで記載されていますが長くなりますので省略します。
※転載者コメント:「人権擁護法案」や「人権侵害救済法案」には反対だが、しかし「共謀罪」や
「<公の秩序(国の方針)>の下では言論や集会・結社の自由を奪うことが出来る『自民党憲法改正草案』」、
「TPP」に賛成・積極的って、
どういう思考回路をしているのだろうか?
個人的には、人気稼ぎにしか映らない
<安倍晋三>一派
――――――――――――――――――
ホームページにタウンミーティングのページを追加しました。
http://project99.jp/?page_id=3595
「タウンミーティング申し込みフォーム」もあります。
http://project99.jp/?page_id=3633
ぜひ皆さん、タウンミーティングを開いてください。
講師料、交通費などは必要ありません。
日本全国どこでも行きます。
よろしくお願いします!
安部(芳裕)
-----
http://project99.jp/
https://twitter.com/#!/project99jp
―――――――――――
福島原発告訴団ホームページより引用
2012年10月12日金曜日
告訴人受付け最終締切は
10月31日に延長!
告訴人が続々増えています!
「東電、そして原発推進政策をすすめてきた者たちを、
自分たちの手で告訴・告発することが、原発の再稼働を止め、
国のエネルギー政策そのものを変える大きな力になるのだ」 その想いが大きく広がっています。
原発事故によって無用の被曝に晒されている、私たち全国民が被害者です。
今こそ、大規模告訴で事故責任を追及していこうじゃありませんか。
みなさん、どうぞ、未来を変えるお一人になってください!
最終締切は10月31日(水)必着です。
※延長はあくまで緊急措置です。
当初の締切(10月15日)を目指して、
告訴人となられるみなさま は、大至急お申し込みください
(10月末までは書類を受け付けますが、
ギリギリのお申し込みは、
事務作業が繁忙を極めることが予想されます。
何とぞ早急に 書類を送ってください)。
尚、各事務局で事務処理上、
多少締め切りが違う場合があります。
各事務局のみなさま、よろしくお願いいたします。
~お近くの告訴団事務局までお申し込みください~
(北海道事務局/東北/関東/甲信越/静岡/中部/関西
/中国-四国/九州事務局)
***************
ちなみに、お子さんも告訴人になることができます。
●未就学児の場合
委任状の名前の欄に、以下のように書く。
「○本○子(子どもの名前)押印
法定代理人親権者母 ○本○美(母の名前) 押印」
または
「○本○子(子どもの名前)押印
法定代理人親権者父 ○本○雄(父の名前) 押印」
●小学生以上の場合
自筆で、委任状を書く。(押印を忘れずに)
*委任状は1人1枚です。子どもも1枚提出してください。
*未成年者は会費は必要ありません。
*陳述書は家族と連名でOKです。
――――――――――――――――――――――――――――
子どもたちを
福島原発事故による被ばくから守るため、
趣 旨
3万8千人の中から初めて1人が甲状腺ガンと診断されました。
通常なら子どもの甲状腺ガンは百万人に1人と言われています
(山下俊一「放射線の光と影」(2009年)536頁1~2行目)。
また、今回発表の4万2千人のうち43%もの子どもに
「のう胞」が見つかりました
(特に6~10歳の女子の54.1%、
11~15歳の女子の55.3%に「のう胞」が発見
->詳細はこちら)。
これは、
福島県放射線健康リスク管理アドバイザー山下俊一氏が、
2000年に長崎の子どもを検査した結果(0.8%にのう胞)や、
事故から5~10年後のチェルノブイリの子どもを
検査した結果(0.5%にのう胞)と比較しても、
途方もなく高い数字です。
明らかに福島の子どもたちに異変が発生しています。
このままいくと、
福島は健康な子供が2割しかいないという
今日のベラルーシやウクライナのようになってしまいます。
これは政策問題ではありません。
危機に瀕している命を救うのか見殺しにするのか
という人権の根本問題です。
政府は,「命こそ宝」という政治の原点に立ち帰り、
チェルノブイリの教訓から学んで、
今すぐ、福島の子どもたちを安全な地域に逃がすべきです。
年間1ミリシーベルト以下の環境で
教育を実施することを求めます。
小川直人裁判官 殿
それ以外の用途に用いません。
署名の目的・趣旨の詳細を知りたい方は ->こちらまで
疎開裁判がいま、申立て以来、
最大の転換点にあることの詳細については->こちらまで
ふくしま集団疎開裁判の公式ブログは ->こちら
――――――――――――――――――――
※ ショウさんのコメントを転載。(2012年10月16日現在)
”正しい情報を探すブログから
小沢氏、定例会見にて福島県民の数百万人移住に触れる!
小出氏も国民の生活が第一党を応援
:記者:
「福島第一原発からは毎日2億4000万ベクレルの放射能が
空気中に継続して放出されています。
福島県民を集団移住避難させることが今こそ必要なのでは?」
小沢氏
「日本の将来を考えた場合、福島原発を封じ込めるのが何よりも重要。
おっしゃるように、
県民の皆さんにそのような状況があるということなら、
いい加減な希望的な話をせず、
きちんとおっしゃるような措置(移住)を
百万人か何万人かは分かりませんがすべきだと思います。
私はそのこともずっと申しておりました。
なんか、もう少しすると帰れるというような話をし続けており、
被災者の方々は中途半端で次の新しい人生設計も出来ず、
結果として帰ることも出来ず、
本当に無慈悲な無責任なやり方だと思っております。
私共が政策を実行できる立場になりましたら、
なんとしても放射能の封 じ込め、
県民の皆様への対応、対策を行わなければならない」
http://ameblo.jp/kennkou1/page-2.html
動画は下記に
http://www.youtube.com/watch?v=pCDSDRXEoI4
正直ようやく避難を言われる政治家が現れたというところでしょうか。”