吸血大実験 (第8回研究会) | 子どもヤマビル研究会

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2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

今日から梅雨の入り、ヒル研にとっては嬉しい天候です。ヒル研のみんなは、雨になれています。でも、今日は、ちょっと雨の中ではやりにくい内容なんです。

 

以前から猟師さんにお願いがしてあった廃鶏を頂き、ヒルの吸血対象にしようという大実験です。僕たち研究員が、ヒル捕りの最中に気づかず吸血される偶然を待っていたのでは、産卵実験の目的が達成できません。猟師さんにサルかきシカの血が欲しいと協力依頼しましたが、それは大変難しい相談で、廃鶏なら何とかしてあげられるということでした。もう、3年前のことです。そのときから、このご協力のお陰で年に一度だけ、この大実験をしています。なかなかうまくいかないのですが、今年は三度目の正直ということで、みんな気合が入っていました。

 

前回までのヒル捕りで、大きいヒルに特化して集めて来ていたので、20匹の大きなヒルを被検体に選び、準備を整うました。

猟師さんとの約束の時間になったので、鶏をもらいに行きました。鶏を固定する道具も一緒にお借りして帰りました。教えてもらった通り首の所の毛を取って、吸血できる場所を作りました。そして、計画通り、産卵実験用に一人3匹×3人、予備用に8匹、明日吸血したヒルを解剖したいので一人1匹×3人、の計20匹を鶏の首付近につけました。

そのヒルの吸血具合を体の太さで調べてみました。30分ごとに一番おなかの太い所を測定しました。

T研究員のデータを乗せます。

吸いついているときのヒルの身長 29mm、 0分の時の腹 4.6mm、30分経過 5.7mm、60分経過 10.5mm、90分経過 12.9mm、120分直前自然に落下。ということで、丸々太りました。

こんなに吸血して太りました。

最初の計画通り、研究員一人ずつ3匹の吸血ヒルを持ち帰り、毎日観察して5週間後くらいの産卵を期待したいと思います。

 

長時間の吸血実験を終えて、調理師免許を持つボランティアのK君が、いただいた命を最後まで責任もってきちんと活用しないと、鶏に失礼だと、焼肉にしてくれました。

おいしく、最後まで責任を持って一羽の命をいたたきました。おいしかったです、ありがとう。

取り出した血液も有効利用して、ヒルに吸わせてみました。

2時間くらいで、丸々太っていました。これも、別の瓶で産卵を期待して飼育することにしました。ヒルは、この血の塊の中に頭から突っ込み、そこで吸血しているものもありました。

今年は、出産ラッシュになるといいのに…‥、と祈ってます。

 

美味しいご馳走を頂き、ゆっくりみんなで休みました。楽しい一日でした。

 

次の日、13時から、昨日吸血させておいたヒルの解剖をしました。

3年前に、吸血した血はどこに入っていくのかを、牛乳を使って調べました。その結果、嗉嚢から嗉嚢盲管に蓄えられていることを発見しました。でも、その時は、牛乳を注射器で無理やり押し込んで調べたので、ヒルが吸ってそうなるのか確定できないという指摘を受けたので、今回の実験で確認することにしました。

今日は、嗉嚢・嗉嚢盲管をメスで最初から切ってしまうと分からなくなるので、内臓に傷をつけないように静かに丁寧に解剖しました。

上手く表皮だけが切れました。すると、切れた所から小さな粒のようなものが膨れて出てきました。

上手く行きました。嗉嚢に溜まっている血がよくわかります。

そして、さらに切り開いていくと、

嗉嚢盲管に血液が入ってたまっているのがよくわかります。アップしてみると

この膨れているのが嗉嚢盲管です。間違いなく、吸血した血液は、ここに送られてきて蓄えられます。

約1時間かかって、慎重に解剖することができました。3人とも、とてもうまくできました。

 

一羽の鶏の命を頂いて、これだけの実験や観察ができました。とても貴重だと思います。