第3回子どもヤマビル研究会(6月14日)午後の部(その1) | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

一遊びして日本一のトウモロコシを社長に湯がいてもらって食べました。馬力もついたところで、午後の研究に入りました。


本日の大きなテーマは二つあって先ず、温かいものにヒルが寄ってくるかという課題。これは、大型動物やヒトを感知するのは、熱によるかという課題に対応した実験です。


ヒルが動物を認知するのは、体温を感知する能力を持っているのでは、ということです。

それで、ヒルを採集するときにペットボトルに50℃の湯を入れて山に置いてみたけれど、顕著な反応は見られなかったです。それで、事務所に帰って実験室レベルで確認してみようということになり、以下のような装置を作ることにしました。



245cm(L)×365cm(W)×140cm(H) の樹脂のボックスに10匹のヒルを放して、その中央に45℃の湯を入れた瓶を置いて、ヒルの行動を観察することにしました。

このボックスに入れるのがなかなか大変で、手にくっついてくるのを必死の思いで、10匹入れました。



セットしてふたを閉めて数分で、6匹のヒルは中央に置いた温かい瓶の方に寄って行きました。




5分くらいしたら、暖かいのに気付いたのがみんなひょこひょこ寄ってきました。



そして、瓶の淵にくっついて離れないものもあらわれました。

これで、ヒルは熱を感知して獲物と判断して集まってくることが分かりました。


ところが、しばらくすると瓶に登りかけていたヒルも、瓶を離れて最初の状態に戻って行きました。

と言うことは、ヒルは、温かいものが動物であって、血を吸えるものかどうかを見分けていることになります。

すごい能力です。


もっと違うセンサーももっていることになるので、今度は息を吹きかけ二酸化炭素との関係を調べてみようということになりました。

そこで、このボックスにみんなが同時に息を吹きかけてみました。


思い切り息を吸って吹きかけたところ、すごい、それまで普通に底を這っていたヒルが一斉に頭をあげて、首振りダンスをしました。

獲物を探しているようです。間違いなく、人間の息に反応しました。

でも、二酸化炭素に反応したとは、まだ断言できません。次回、二酸化炭素のボンベを使って、吹きこんでみて反応があるかを確認してから、結論付けたいと思います。理由は、人間の吐き出した息は二酸化炭素だけではないからです。


この実験は、すごい結果を導くことができました。みんな、本当に真剣実験に取り組みました。


ホッと一息ついたとき、ボックスの底でへたっているヒルが何匹もいることに気づきました。

多分乾燥してきたので弱ったのだろうと、ティッシュに水を含ませてその上に乗せてやったら、徐々に元気を取り戻しました。

再び息を吹きかけたら元気にダンスをしてくれました。



研究員は、この1時間ばかりの間にすごい研究を進めたことになります。大した装置ではないのに、観察することで、科学の一番大事なことを会得したと思います。

「このようにしたら、こうなった。だから、・・・・・・と言える」

という勉強ですね。

力をつけましたよ。


その2は、次ページに移ってからです。