1.小児医療費助成

 

①所得制限撤廃に関する市の考え方について

■市長

 本市では、子供たちが経済的な理由で、必要な医療を受けられないことがないようにとの考え方に基づきまして、子育て世代の経済的な負担を軽減するため、中学校卒業までの児童生徒を対象に、医療費の助成を行っております。

 

 これは本会議場でも以前、述べさせていただきましたけども、私は就任時において、すべての小中学校を歩きました。その時に、ある小学校の校長先生がこうおっしゃっていました。「市長、この学校のひとり親世帯はどのぐらいだと思いますか」。その答えが驚くべきほど多かったことに愕然としました。

 

 「子供たちは親に少しでも負担をかけまいということで、その医療費にも子供たちなりに考えて行動しているんですよ。是非、子供たちにそういった親の経済的な力によってそういうことがないように、経済的に困っている子供たちには是非、医療費の負担、助成を行っていただきたい」という校長先生の言葉でありました。「その通りだな」と思いました。そこで、議会の皆さん方のご承認をいただきまして、今現在に至っているところでございます。

 

 さて、小児医療費助成制度につきましては、県がすべての年齢の児童の保護者に所得制限を設け、通院費の助成対象を就学前児童としているなか、本市では、平成22年7月から小学校卒業まで、平成26年7月からは中学校卒業まで、と対象年齢を拡大してまいりました。

 

 先の定例会におきましても、金原議員から小児医療費助成制度の拡充についてのご質問にお答えさせていただいた通り、本来、子供の医療制度は国が社会保障制度として位置づけ、地域間の格差のない全国統一的な制度であるべきとの考えには、いささかも変わりはございません。

 

 しかしながら、隣接する藤沢市、座間市では令和5年4月から、所得制限廃止が予定され、議員ご指摘のように横浜市におきましても、今月の議会に提出した補正予算案のなかで、令和5年度中の所得制限廃止を含む制度拡充のための準備経費が計上されております。さらに、先週におきましては、川崎市も通院時の助成対象を現行の小学校6年生から中学校3年生まで引き上げるとともに、所得制限を廃止する方針を示すなど、小児医療費助成制度をめぐる状況はここにきまして、大きく変わっていくことが見込まれております。

 

 子供の医療制度は、国として全国統一的な対応が図られるべきであり、今後も国に対して求めてまいりますが、国の制度創設を待っていては地域間格差の広がりとともに、強い不公平感を引き起こすことは、想像に難くありません。このような状況を踏まえ、子供たちが等しく必要な医療を受けられる環境を整え、健やかな成長と健康の増進を支援するためには、ここで小児医療費助成制度の所得制限廃止に舵を切るときだと判断いたしました。

 

 「子育て王国」を標榜する本市として、子育てしやすい街、子育て世帯から選ばれる街を目指す観点から、令和5年4月からの所得制限廃止に向けまして、取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 

②小児医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担金減額調整措置と減額幅について

■こども部長

 地方自治体が独自に医療費助成を行っている場合、それにより生ずる医療費の波及増分については、国により国民健康保険にかかる国庫負担金を減額する措置が講じられることとなっており、令和3年度は約577万円でございます。

 

③所得制限なしが0歳児だけに限られている理由は

■こども部長

 小児医療費助成制度は平成7年10月の制度創設当初においては、所得制限を設けたうえで、助成対象を入院は中学卒業まで、通院は0歳児のみとしておりました。平成11年1月からは、所得制限を1歳児以上に変更し、その後も段階的に対象を拡充してきた経緯がございますが、0歳児は特に医療機関を受診する機会が多く、家計における医療費の負担が大きいものと捉えていることから、現在も所得制限を設けず助成対象としております。

 

④所得制限を撤廃した場合にかかる追加の予算はどの程度か

■こども部長

 小児医療費助成制度において所得制限を廃止した場合、医療費や審査支払手数料などの諸経費を合計して、予算額が1億5000万円程度、増加する見込みです。