1.コロナ禍の検証

 

 

■市長

 私からはこれまでの新型コロナウイルス感染症への対応について総括的に答える。この新型コロナウイルス感染症については私たちがこれまで経験したことがないような世界的な大流行、パンデミックであり、昨年1月以来この1年あまり、我が国日本のみならず世界各国でも試行錯誤しながら様々な取り組みが進められてきているものと認識している。この感染症への対策は我が国においては国や県、市とそれぞれのレベルでそれぞれの役割があると捉えており、法令等に基づいて中心的な役割を担っている国や県と異なり、本市の役割は極めて限定的である。

 昨年来1年以上にわたって続いているこの度のコロナ禍は、本県も含めた1都3県が今もなお緊急事態宣言下にあり、現在、新規感染者の下げ止まりが指摘されているほか、リバウンドも懸念。国内における変異株による陽性者の発生も報じられており、依然として安心できる状況にはない。

このような状況下においては、これまでの本市としての新型コロナへの対応を評価するという段階にはないものと考えているが、ただ一つ言えることは、本市の役割が限られているなかにあっても、この間、私は市民のために必要なことは何か常に考えスピード感をもって実行に移してきた。

これまで実行してきた具体的な事業としては次亜塩素酸の配布、おもいやりマスク着用条例の制定、相談窓口あるいは相談ダイヤルの設置、医師会や歯科医師会と協力したPCR検査体制の確保、季節性インフルエンザ予防接種の無料化・無償化、介護事業者等に対するPCR検査費用助成、市の融資制度を利用する際の事業者への補助金の拡充、大和市新型コロナウイルス感染症拡大防止及びコロナ給付金の支給、プレミアム商品券の発行、ひとり親世帯に対する大和市独自の支援策である2度にわたる臨時特別給付金の支給、だれでも気軽にかけられる専用窓口「ちょっと話なそうもしもし電話」の開設。これ以外にもさまざまな施策を実行に移してきた。

 まもなく新型コロナのワクチン接種が始まろうとしているなかで、ワクチンの供給時期などが明確でないなかにあっても、いかに市民の皆様にワクチンを接種するかが最善となるかを念頭におきつつ、市民の皆様にもっとも身近な基礎自治体として最大限の取り組みを積極的に進める所存だ。

 

中項目(1)基本的な考え方

 

①市内の感染症発生状況の評価は

■健康福祉部長

 本市の感染者数については人口当たりでみると県内でも比較的多い状況となっている。理由としては本市の人口密度が県内2番目に高いことや3つの鉄道路線が乗り入れており、交通利便性が高いことが考えられているものの、確たることを申し上げることは難しいと考えている。

 

②来年度予算編成に与えた影響は

■市長

 例年、予算編成は新年度の歳入見込みを立てたうえでスタートするが、今回はコロナ禍により社会や経済の状況が大きく変化するなかにあって、あらかじめ市税などを含む歳入全体の規模を把握することも難しくなった。

このため、歳出予算における事業を3つに区分することとし、義務的経費、準義務的経費については予算編成の早い時期に審査を行い、政策的経費についてはマイナスシーリングの対象としたうえで、市税収入の状況等を見極めながら、本年1月末に審査を行うことで令和3年度の予算をとりまとめたところだ。

新型コロナウイルス感染症の影響により当面、本市においても厳しい財政を強いられることになるが健全財政をしっかり維持するという強い覚悟を持って今後も臨んでいく。

最後に一言申し上げる。質問のトーンとは異なるが、小田議員が冒頭言っていた神奈川県内の感染者数はまさに核心をついている。それは何か。人口密度だ。神奈川県内でご存知のように人口密度が多いのはどこだろう。川崎だ。2番目はどこだろう。この大和市だ。それでは全国の都道府県のなかで最も人口密度が高い自治体はどこだろう。東京だ。本来であれば東京の人口や我が国の人口の約1割だ。しかし感染者数は3割を超えている。いかにこの人口密度が、陽性者数のいわゆる感染者数をはかる基準において、一つの大きなポイントになってくるのではないかなと私は思う。

 

③私権制限に対する考え方は

■健康福祉部長

 新型コロナウイルス感染症の罹患者や事業者に対する様々な制限や制約は、感染拡大防止やまん延防止のため、法令により都道府県が要請や命令の措置を実施するものとなっている。これらの制限等については、感染拡大防止のためにやむなく制限する場合もある一方、市民のみならず国民の生活全体にも大きな影響を与えることから、その運用は慎重かつ適切に行われるべきものと捉えている。

 

④市立小中学校において一斉臨時休業に応じた経緯と理由について

■教育部長

 当初、新型コロナウイルスについて感染経路や治療方法について不明な点も多く、未知なるものへの不安やおそれがあり、昨年227日の内閣総理大臣からの要請を受けた時点において、感染の流行を早期に収束するために極めて重要な時期であると捉えた。

新型コロナウイルスの流行は危機管理上の問題であると認識し、要請を受けてから休業までのわずかな期間のなかで教育委員のご意見をいただきながら子供たちの健康、安全、安心を第一に考え、子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクの観点から、一斉休業とすることを決定した。

 

 

中項目(2)市内の状況

 

①市内で発生したクラスターの件数、個所数は

■健康福祉部長

市内ではこれまでにも高齢者施設などでクラスターが発生したことが報じられているが、クラスターに関する情報は感染症法により都道府県が把握するものとなっており、神奈川県より本市への情報提供はないことから、報道以上に情報については知り得ないものとなっている。

 

②学校や病院も含む市職員の感染者数は

■健康福祉部長

 本年2月末までの累計で23人となっている。

 

③市内経済の現状認識について

■市民経済部長

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国内経済は大きな打撃を受けており、本市においても多くの事業者に影響を受けていると認識しており、今後、ワクチン接種が進んでいくとは思うが、まだまだ不透明な状況が続いていくものと捉えている。

そのような中で、本市では昨年3月、まだ緊急事態宣言が発令される前の時点で、事業者向け支援策の第1弾として、市の融資制度を利用する際の補助金の拡充を開始した。また、大和の雇用を守るとともに、感染症拡大の防止をはかることを目的とした「大和市新型コロナウイルス感染症拡大防止及び雇用維持給付金」の支給を始めるとともに、相談体制の充実、国や神奈川県が行う経済対策の広報周知等を積極的に行ってきた。

そして、地域経済の活性化、地元消費の拡大をはかることを目的として、過去最大となるプレミアム率30%をつけた商品券発行事業を実施し、募集を上回る多くの方から申し込みをいただくなど、市内事業者への大きな支援につながったものと捉えている。

さらには、今後も引き続き感染対策の徹底が求められていることが予想される市内飲食店に対して、デリバリーの強化というコロナ禍に対応したビジネスモデルのチャレンジを後押しするため、来年度から新たに支援事業も始めていく予定である。

今後についてもまだまだ不安定な状況が続いていくと思うが、引き続き全力で取り組んでいく。

 

④妊娠届出数の近年の推移について

■こども部長

 過去5年間における1月から12月までの妊娠届出数は平成282152件、平成292143件、平成302030件、令和元年1876件、令和21872件となっており、減少傾向にある。

直近である昨年の届出状況だが、1月から3月の届出数は対前年比10.1%の増加がみられたが、緊急事態宣言が発出された4月から12月までは3.7%減少している。

 

⑤自殺者の近年の推移について

■健康福祉部長

 警察庁自殺統計に基づく自殺者数は平成28年が38人、平成29年が42人、平成30年が31人、令和元年が32人、令和2年の速報値が38人だ。

 

⑥昨年のシリウスの来館者数は

文化スポーツ部長

 昨年1月から12月までのシリウス来館者数は途中休館していた期間もあることから途中、月により数値が大きく異なるが、年間の合計1395272人、前年に比べ56.8%の減少となっている。

 

=(下)に続く