18日は日本自治創造学会の第9回研究大会で東京・御茶ノ水の明治大を訪れました。テーマは「人口減・高齢化を乗り越える」です。
 

 

 元埼玉県志木市長の穂坂邦夫さんの挨拶でスタートしました。

 

 財務省の財政制度等審議会会長を務めた吉川洋立正大教授は「人口減に挑む」と題して講演。結婚した夫婦の出生率はそれほど下がっていないものの、未婚率が上昇していることが人口減の主な要因だと指摘しました。

 

 さらに、日本は、アメリカやイギリスのように、ごく一部の富裕層に所得が集中する傾向は出ておらず、ヨーロッパ型の手厚い社会保障制度を維持してきたと説明。国家予算で社会保障費が毎年7000億円増え続けている状況を踏まえ、さらなる増税や社会保障制度効率化の必要性を訴えました。

 

 

 東京都の顧問を務める上山信一慶応大教授は「自治体のスマート改革」とのタイトルでレクチャー。東京都政の一般的特徴として、①巨大組織②国政と密接③23の特別区④高所得⑤地方交付税不交付団体-といった5点を挙げました。その上で、2020年東京五輪を終えた後は、東京でも遅れて人口減がやってくるとして、「老いる東京」の準備が迫られるとの認識を示しました。

 

 

 最後は、少子化問題に関するパネルディスカッションでした。

 

 金井利之東大院教授は過去40年間、出生率は人口を維持できる水準(2.0)を下回り続けてきたことを踏まえ、「手遅れだ。(対策を考える)問題ではなく前提や制約条件だ。もうあきらめの境地だ」と指摘。自治体の役割については「やるべきことはない」との持論を展開しました。これに対し、牛山久仁彦明治大教授は、少子化対策の成功体験を自治体間で共有する必要性を強調しました。

 

 パネリストから建設的かつ具体的な提言はなく、「人口減・高齢化をあきらめる」といった表題にした方がふさわしいような発言が相次ぎました。大変残念でしたが、それだけ自治体の対策が難しいということの表れなのかもしれません。

 

 夜は東京に来たついでに、雑司が谷のタンゴバー「エル・チョクロ」に立ち寄り、三枝(みえだ)伸太郎(piano)、小田朋美(vocal)デュオのコンサートを聴きました。古民家を改築したこのライブハウスでは週3~4回、国内プロの演奏会を行っているということです。演奏はさりながら、音響も良かったです。