一夜明けましたが、米大統領選で、トランプ氏が勝利しました。多くの専門家はクリントン優勢と見ていましたが、逆転勝利となりました。
 
 これまでの世論調査では、クリントン氏のトランプ氏に対するリードはそれほど大きくなかったにもかかわらず、多くの専門家は「トランプの勝利はないだろう」と見ていました。私もそれを疑っていませんでした。
 
 今回の結果を見て、数カ月前にある大学関係者が雑談で「トランプ氏は専門家の見方を覆して予備選を制した。だから本選もどうなるかはわからない」と仰っていたのを思い出しました。専門家の見方を鵜呑みにせず、自分の頭で判断しないといけないのだなぁと反省させられた次第です。
 
 後付けの講釈になりますが、トランプ氏とクリントン氏の総得票数はほぼ拮抗(クリントン氏がわずかに上回る)しました。よって、トランプ氏が圧勝したのは、州ごとに選挙人を総取りするという選挙制度(勝者総取り方式)の影響が大きいのでしょう。逆に言えば、その選挙制度を十分に熟知して激戦州を制したトランプ氏は、戦略的には大勝利だったわけです。
 
 会社を何回も破産申請したとしてトランプ氏の経営手腕を疑う見方も出ていますが、大激戦を制していますし、その才覚は率直に評価しなければなりません。
 
 
 さて、トランプ氏は過激な発言で知られるセレブ実業家です。政治経験のないアウトサイダーです。あえて日本に置き換えれば、ホリエモンが総理大臣になったような感じでしょうか。
 
 そういえば、日本でも「議会冒頭解散」という実現不可能な公約を掲げるなど、主要候補者の中で最も先鋭的だった小池百合子都知事が当選しました。トランプ氏の「アメリカ・ファースト」の主張や、共和党の主流派すら敵に回す手法は、「都民ファースト」を掲げる小池都知事と重なります。
 
 政界を引退してしまいましたが、政治経験のない弁護士の橋下徹氏が大阪府知事、大阪市長、政党代表になり一定の支持を集めたのも、トランプ氏と共通する点が多いと思います。
 
 トランプ氏の「内向き」「保護貿易主義」の志向や差別的な発言も、小池氏、橋本氏、英国のEU離脱も共通するのは「現状打破」です。米国だけでなく、色んな所で既存の体制に対する不満が渦巻いているのだろうと推測します。