みなさん こんにちは
当事務所で相談の多い相続に関するテーマを取り上げ、解説しています。
今回もよく相談される事例ですが、生命保険金についてです。
相続人間で遺産分割をする際に、生命保険金を遺産分割の対象とする場合もあるようですが、法律上(相続税法を除く)生命保険金は相続財産となりません。
Q
私(A)の父がなくなり、相続人は、私と母と弟、妹です。
父が生前保険掛金を支払っていた生命保険があるのですが、受取人は妹だけであり、私や母は保険金を受け取れませんでした。
保険金は相続財産ではないのでしょうか?
A
被相続人が契約していた生命保険の保険金は受取人の固有財産であり、相続の対象とはなりません。
しかし、特別受益(特定の相続人が、被相続人から婚姻や生計の資本として生前贈与や遺贈(遺言により、遺言者が死んだ時に遺言者の財産全部又は一部を贈与することです)を受けている場合、その財産の価額を相続財産に含めるとする民法(903条)で定められている制度です。詳しくは本ブログ第6回をご覧下さい。)に該当するかどうかが問題です。
判例(裁判所が示した法律的判断)は生命保険金は原則、特別受益に該当しないとする判例が多いようですが、特段の事情があれば特別受益に該当するとした判例もあります。
特別受益に該当するか否かは保険金の額、遺産総額に対する比率、被相続人に対する貢献の度合い等諸般の事情を総合的に考慮して公平であるか否かが判断基準になっているようです。
また、生命保険金は、法律上相続財産には含まれませんが、相続税法上の課税対象の相続財産に含まれます(みなし相続財産)
相続税上の課税対象になる財産については、また改めてテーマとして取り上げる予定です。