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自由を求める庶民が生んだアンチヒーロー

クルエラ


1970年代のイギリス。学校の問題児エステラ(ティッパー・ザイフェルト=クリーブランド/エマ・ストーン)は退学を機に母と2人でロンドンに向かうが、途中、立ち寄った先のトラブルで母が事故死する。孤児となったエルエラはファッションデザイナーの夢を諦め、少年たちと盗みでその日暮らし。大人になると相棒ジャスパー(ジョエル・フライ)らの計らいでブランドショップで仕事を始めると、ひょんなことから大物デザイナーバロネス(エマ・トンプソン)に認められ、彼女の下で働くことになる。




ディズニーオタクだった時期がある。当時はアニメ作品のキャラクター、音楽など、引かれるくらい語れたものだ(笑)。もちろん「101匹わんちゃん」も守備範囲。実写作品「101」には惹かれなかったが、本作、エマ・ストーン主演ならば見逃せない。


評判どおり音楽はハイセンス。当時のイギリスは音楽とファッションは比例曲線。パンクロックの隆盛に合わせてファッションもパンク路線が勃興。音楽もファッションも、庶民が主流になった時代。物語をこの時代に配置したのは正解。




物語はそう難しくない。ディズニーアニメ「101匹わんちゃん」の前日談、という立ち位置。時系列をたどるのでアニメを知らない方でもついていける。ちなみに冒頭の「こんなところから始めるの?」のシーンは終わってみたらかなり重要な伏線。


本作の原作に類するものはない。「101匹〜」のキャラを活かしたオリジナルということになる。アニメでのアニータ(カービー・ハウエル=バプティスト)とクルエラは知り合いだったけど詳細は触れてない。そういうのはうまく繋げたよね。




マーゴット・ロビーの「アイ,トーニャ」を撮ったガレスピーが監督。悪女が主人公なら、と白羽の矢が立ったのか。そのロビーもすごかったが、本作のストーンの感情の濃度が濃い演技も負けてない。確実に演技の幅は広がった。今後も楽しみだよね。


エマ対決となったトンプソン。クルエラの上いく悪を熱演。「美女と野獣」「ウォルト・ディズニーの約束」とディズニーづいてるね。クルエラの子分に「リチャード・ジュエル」のポール・ウォルター・ハウザーマーク・ストロングは執事が似合う。




ジョーカー」と比較される。経済格差から庶民の「怒り」の代弁者であったジョーカー。一方クルエラを支持したのは庶民の束縛されない「自由」。「怒り」はマイナスのパワーだが「自由」はプラスのパワー。この違いは大きい。


製作総指揮にストーンと共に先代クルエラグレン・クローズの名があり、本作への気合がうかがえる。が、元オタとして…この展開だとアニメのクルエラの凶行に繋がりにくいのと、ポンゴとパーディタが近親になってしまうのが気にはなった。




スクリーンじゃなかったら長く感じたと思う。クルエラのロックパフォーマンスとクライマックスはひとつにできたかな。そう、スクリーン。会社の思惑とかもあるんだろうけど、配信も否定しないけど、スクリーン体験に勝るものはないと思うけどね。



 DATA

監督:クレイグ・ガレスピー/脚本:ディナ・フォックス/トニー・マクナマラ

出演:エマ・ストーン/ジョエル・フライ/ポール・ウォルター・ハウザー/ジョン・マクリー/カービー・ハウエル=バプティスト/カイヴァン・ノヴァク/ティッパー・ザイフェルト=クリーブランド/マーク・ストロング/エマ・トンプソン



hiroでした。



アイ,トーニャ←悪女作品といえばガレスピー?


ジョーカー←よく比べられますね


ゾンビランド←ストーンの出世作?