WOWOW鑑賞

 
医師の葛藤と難病患者の覚悟
レナードの朝
 
監督・製作総指揮:ペニー・マーシャル/脚本:スティーヴン・ザイリアン/原作:オリヴァー・サックス
出演:ロバート・デ・ニーロ/ロビン・ウィリアムズ/ジュリー・カヴナー/ルース・ネルソン/ジョン・ハード/ペネロープ・アン・ミラー/マックス・フォン・シドー
 
ブロンクスの神経病専門病院に赴任した対人関係が苦手な医師セイヤー(ロビン・ウィリアムズ)は「眠り病」と呼ばれる患者にある共通点を見出す。パーキンソン病治療の新薬L-ドーパ(レボドパ)が治療効果があると確信した彼は30年間身動きしない患者レナード(ロバート・デ・ニーロ)への投薬を開始して劇的な改善をみせる。
 
 
寒くなると朝が辛い。いつまでも布団から出られない。それでも顔を洗って着替えて会社に行かなきゃ。あー、朝が来なけりゃいいのに…。
 
毎日、ふつうに朝が来るのが大前提。朝、目覚めて起きるのが大前提。そんな朝が明日も訪れるのだろうか…そんなこと考えたことってない。
 
30年眠り続けたレナード。夜になり眠る。明日も目覚めるんだろうか。想像もつかない恐怖なんだと思う。レナードの朝とは、そういう朝。
 
本作、実話ベースです。
 
 
本作のもう一本の柱がドクターセイヤー。研究医のセイヤーは人間関係が苦手。コミュニケーションがうまくとれないセイヤーを「治療」してくれるのが脳を病んだ患者たち。
 
レナードを目覚めさせたセイヤー。研究医だったからこその気付きだったのではないか。今や患者の「観察」は重要な診察のひとつとなっている。
 
ところが順調だったはずの治療に微妙なズレが生じる。ズレは徐々に広がり、その先は壮絶。セイヤーの葛藤とレナードの覚悟に涙。
 
 
誰もが認める名優二人。
 
ロビンはお人柄である。優しく見守る役を演じたら鉄板。一方デ・ニーロはチャレンジング。大物にしてこの幅の広さ。紛れもなくナンバーワン映画俳優。
 
二人の共演に加えて脚本も演出もいいのだから、これは間違いなく名作といっていい。セイヤーを支える看護師役ジューリー・カヴナーも名演。
 
 
ちなみに本作、現場で働く医療従事者の評判がいい。セイヤーの行った新薬投与は、眠り病の正体に近づき、現代のパーキンソン病、パーキンソン症候群の解釈に大きな足跡を残したそうだ。
 
超久しぶりの再見。観ているうちに思い出して「この先ヤバイ」と気付いたが時すでに遅し。わかっていても胸がギュッと締め付けられ、ダンスシーンで涙腺崩壊。
 
 

hiroでした。