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ご無沙汰してます、映画記事。

最近、野球一辺倒だったのと、劇場への足も遠ざかっていたので…といっても2週間あいただけなんですけどね~。


さてこの作品、日比谷シャンテでの公開中、気になっていた作品です。当時はシチュエーションの妙に魅かれて、気づかなかったんですが、これ豪華キャストだったんですね。とりあえずキャスティングの話は後にして、あらすじから。あ、人間関係ちょっと複雑なんでうまく伝わるかどうか。


ニック(アネット・ベニング)とジョニ(ミア・ワシンコウスカ)の母・娘と、ジュールス(ジュリアン・ムーア)とレイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)の母・息子がともに暮らす「家族」。ニックとジュールスはレズビアンのパートナー。つまりジョニとレイザーは姉弟であり、二人には二人の「ママ」がいる。同性愛の婚姻が認められているので、立派な家族である。さらに、同性愛のはずの二人のそれぞれの子供は、精子提供によって生まれた子供である。そしてこの二人、同じ男性からの精子提供を受けている。つまりジョニとレイザーはいわゆる腹違いの紛れもない姉弟である。ジョニとレイザーは二人のママには内緒で、精子提供者…つまり「生物学的な父親」ポール(マーク・ラファロ)と会う。こっそり会っていることもやがては知られることなり、二人のママはポールを家での会食に誘うことを提案する。


…わかりましたぁ?


一般的とはいえない環境でもバランスを保ってふつうに暮らしていた家族に、突然介入してきた男。この男がまた、自然食レストランのオーナーで、女にもてるが結婚しない主義、大好きなオートバイで町を駆け巡る。つまりはプレイボーイ、自由人なんです。今まで周りにいなかったタイプのキャラクターに魅かれる者あり、逆にひいちゃう者ありで、この家族に不協和音が生じる、という展開。

同性愛、精子提供と、重くなりそうなテーマを軽いタッチで描いた演出が評価され、作品自体の評判もなかなか良かった気がします。でも、なんかしっくりこなかった。


ひとつは、同性愛・精子提供というのを取っ払ってしまえば、わりとよく見かけるストーリーだったりする。そこに「異物」をまぜることで、異質感を出そうとしたのかな。だとすると逆に同性愛・精子提供が「異物」であるという定義に違和感を覚えます。


あと、オチのつけ方が強引かなと。キャラクター設定としてニックが厳格な母です。その他3人は彼女の強い愛により支えられている一方で、抑圧も感じています。その抑圧から解放してくれるナイトが自由奔放なポールなわけですね。そのポール、自ら望んで家族にかかわりを持ったわけでもないのに、最後は「悪人」として追放されてしまいます。ニックの強烈な愛の元、家族はまた「家族」としての集団に戻っていきます。家族の大切さを訴えたいのかと思えば、この家族にそれほど強い引きがあるわけでもなし。なんかポールが浮かばれなくて。そういう展開にするのならポールをもっと悪いヤツにすればよかった。いいヤツすぎるんですよ、ポール。


ゆるい時間経過とそのテンポに同調する映像は好感が持てます。おそらく、評価する人を選ぶ作品なんだと思います。きっと男性はNG。女性でもニックの目線に共感できる人のみが納得する映画なのではないでしょうか。


キャストのみなさんの演技は◎。アネット・ベニング、ジュリアン・ムーアのカップルはベテランの味。特にムーアの「かわいいオバサン」キャラは必見。「アリス・イン・ワンダーランド」の主役を張ったミアは、難しい役を見事こなしちゃう有望株。ジョシュはびっくり。「センター・オブ・ジ・アース」の甥っ子クン。同シリーズの続編には出演のなかった叔父に代わり主役に抜擢。つい最近は「ハンガーゲーム」という話題作にも出演。これもシリーズ化が決まっているので、これからよくお見かけすることになるのでしょうね。さらに、可哀そうなポールを演じたのがマーク・ラファロ。そうです。「アベンジャーズ」のハルクです。

雰囲気はいい映画。

だけど、残らなかったですね。

ツボに来る人には面白いんだと思います(笑)



hiroでした。