カラオケ
転職先で、退院してきた彼。
「入院していた時は、お世話になりました」
その彼は、僕が先輩から仕事を教わっていた時に、仕事部屋へ入ってきました。
僕が入社してから半年ほど、ずっと会社を休んでいた人でした。
先輩からは、病気で休んでいるとしか聞いていませんでした。
少し丸顔で、中肉中背。ずんぐりとした風貌。
背は同じくらい、くりっとした瞳。
その程度の印象だったかなぁと思います。
ケモで例えると、「牛」のような人…… モー
特に強い印象には残らない出会いでした……。
会社は、自分のペースで真面目にやっていけそうな雰囲気。
手が空いたら、同僚と世間話をしたり。
社員もみんな優しい♪
それでも、まだ僕は自分を出せずにいました。
自分の外側(内側?)に、厚い殻を作っていました。
ある日、同僚のベテラン女性から、
「カラオケに行きたい人がいるから、一緒に行って来れば?」
ということになり、僕は男性数人でカラオケに行きました。
先日退院してきた彼も、その一人でした。
僕がカラオケに行けるようになったのは大学生からでした。
「人前で歌うなんて、恥ずかしくてできるわけがない 」
昔は、そんな奴でした。
そんな僕ですから、いきなり歌うほどの勇気もありません。
「他の人はどんな歌を歌うんだろう?」
「どんな雰囲気なんだろう?」
「どの歌を歌えば馴染みやすいだろうか?」
”自分が歌いたい歌”よりも、そんなことを考える癖がついてるんですよね。
いつも自分と他人を比較していた僕。
場の空気を読み過ぎてしまう僕。
でも、そんなことを忘れさせてくれるような人が、彼でした。
演歌を熱唱したり、アニソンをおちゃらけて歌ったり、
意識してやっているのか、場の雰囲気は和みました。
彼は、本当に、あっけらかんとした人なんですね。
僕はその雰囲気にすんなりと入っていけました。
初めて会話する人とも仲良くなり、久しぶりに思い切り笑えました。
僕が馴染めるように、彼が最初からそこまで考えていたのだとしたら、脱帽ですけどね。
(自分の好き勝手にやってただけ、という話もありますが。(^_^;))
皆さんは、カラオケとか人前で歌うの平気ですか?(^-^)
次回、僕は彼にしだいに惹かれていく……のか?