2007・邦画 ★★★☆☆(3.6)
監督:江戸洋史
出演:市川染五郎 阿部サダヲ 古田新太 秋山菜津子 真木よう子 高田聖子 栗根まこと
其処は、朧の森と呼ばれる。 いにしえの神々が棲むと言う神秘の森…。
落ち武者の死骸から、道具を拾い集めては生きる糧にしているライ(市川)と弟分のキンタ(阿部)。
口から生まれ落ちた様な男のライは、どんな嘘でも瞬時に仕立てる「知恵」と「口先」の持ち主。
そんなライを「兄貴」と呼び、付いて回るキンタは、これでなかなか腕っぷしの方は立つ男。
そんな2人が組めば、何時かはお天道様も味方についてくれるのでは?等と思っていた…。
キンタが疲れて眠りこけている間にライの前に現れたオボロ達。
「叶えてあげようじゃ無いか、それに相応しい男ならね」 ライの望みはこの国の王になること。
オボロ達は望みを叶える代わりに条件を出してくる。 それは、ライの命。
「おもしろいじゃねぇか!のった~」 その言葉を聞き、オボロ達は素晴らしい剣を手渡す。
「その剣はお前の舌、舌先が動く様に剣もまた動く」
「真っ赤な嘘を言う様にその剣にも真っ赤な血を吸わせておやり…」とも…。
そして、次にこの森に入ってくる男を殺せと命を出すオボロ達。
それが、ライが王になる為の1歩でもあるのだと…。
この島国には、オーエ国とエイアン国があった。 オーエ国は山側に有り、金脈の宝庫でもあったのだ。
その金脈を我が物にしようとエイアン国は武力統一も、目論んでオーエ国に攻め入ろうとしていた。
そんなエイアン国には四天王寺と呼ばれる4人の武将が居り、その一人のヤスマサという将軍が1人で
森に入ってきた。 将軍と言うからには、剣の腕も伊達ではない。
しかし、ライはオボロ達に言われた様に渡された剣で瞬時にヤスマサを切り倒してしまう…。
其処にやって来たのは、オーエ国を治めるシュテン党の党首のシュテン(真木)達だった。
なんとヤスマサは密かにエイアン国を裏切り、シュテンと結託する腹積もりだったのだ。
機転を利かせたライは、お得意の口先三寸で自分がそのヤスマサだと言い張りだす。
その言葉信用したシュテンは、同盟の契りを交わそうと「血人形の契り」を交わそうと申し出る。
簡単に契りを交わしたライは、その魔の力を持つ血人形の契りの恐ろしさを今は全く知らぬのであった…。
数日後、エイアン国の都に着いたライとキンタは、ラジョウという暗黒街で酒を飲む。
其処に現れたのは、四天王の1人、ツナ(秋山)。
盗賊狩りをしていたのであったが、ラジョウを仕切る男・マダレ(古田)に匿っている盗賊を差し出せと詰め寄る。
マダレは、不敵な笑いを浮かべながらツナに謀反を起こしそうなヤバイ奴がいたらスグに知らせる等と嘯く。
マダレの裏の顔は、盗賊達を束ばねる大悪党だと言う。
それを知ったライは、シュテンから騙し取った金でマダレとスグサマ手を組むのであった。
四天王の1人のツナは、実はライが殺したヤスマサの妻でもあった。
宮廷では国王のイチノオオキミが、ヤスマサの死を聞き落胆している。 それを慰める、愛人のシブキ(高田)。
夫を亡くしたツナを慰めるも、幼き頃からの親友であるが故…。 が、シブキは実はヤスマサと密通していた。
残りの四天王のウラベとサダミツも宮廷に駆けつける。
そして、ヤスマサ軍のたった一人の生き残りとして、ライが皆の前に姿を現す。
それらは、全てライの計算ずくの始まりだった…。
嘘でまみれたライは、オボロ達との約束通りに、この国の王となる事が出来るのであろうか?
そして、オボロ達が望んだライの命は、どのようにして奪い取られるのであろうか?
《***》
今年の正月公演をフィルムに撮って、映画館で上映する「ゲキ×シネ」。
去年の作品で、こういうものがあるのを知って「見たい!」と思ったが、その時には既にチケット完売状態でした。
何せ、劇団☆新感線も立派になられて、芝居のチケットを取るにも大変だけれども、それよりもそのチケットの
お高い事に毎年目ン玉をむきながら、大きな溜息と共に「やっぱ無理」と諦めていた。
その昔、劇団☆新感線が出来立てでオレンジホールに「劇団・そとばこまち」の芝居を見に行っていた時に
新感線の面々が、チラシを熱心に配っていた。
当時は、こんなにも長く続く劇団とは思いもよらずに…。
でも、去年見たいと思わせたのは、昔の新感線を知っているからでも、毎年の様に高いチケットが買えずに
諦めていた為でもない。
映画版「阿修羅城の瞳」を見て、市川染五郎の良さを知ってしまったからだった。
歌舞伎の市川染五郎は、まだ見た事が無い。 (そう言えば、歌舞伎も長らく見ていない)
私は、案外こう見えても(見えへんちゅーねん!)古典芸能も好きで、文楽なんかも好きだったりする。
特に歌舞伎は、役者も色っぽい人が多いのだが、玄人筋の客が掛ける掛け声が大好きだ。
何でしょうか、知ってはイケナイ大人の世界と言う気が今でもします。
現代劇やTVドラマ等にも出ている市川染五郎は、実はどちらかと言うと苦手ですしカッチョ良いとは全く思わない。
なのに、時代劇の染五郎は堪らなく色っぽいものが、出まくっている。
「阿修羅城の瞳」の時は、特に歌舞伎役者と言う設定だった為に大好きになってしまった。
と、共に「いのうえかぶき」と言うものに魅入られてしまった。
映画と芝居とでは、きっと違いもある筈と見られなかった舞台の原作もイッキ読みしてしまった。
なので今回は全国上映となった「ゲキ×シネ」と言うものが、何処まで舞台に迫るものなのかを見て来たのだが。
簡単に言うと、やっぱり舞台の臨場感はスクリーンでは、到底味わえないという事に尽きる。
私の様に、高額のチケットを買って見に行けない人間には大変有り難いものではあるのだが…。
染五郎の顔もUPで見れる等と言う利点も当然ながらあるのだが、やっぱり何か物足りない。
「髑髏城の七人 アオドクロ」や「阿修羅城の瞳 2003」もとっても見たいのだが…。
「ゲキ×シネ」については、こう言う感想でした。
前売りは2000円で、当日は2500円。 間に15分の休憩も入るという3時間の作品です。
この作品の内容については、染五郎を見たいが為にヤイヤイ言いながらチケットを買ったし、舞台挨拶や
インタヴューでも阿部サダヲが、「染五郎さんがマヂで格好良いんです」と言っていた。
まま、カッチョ良かったには良かったのだが…。 あんまり色っぽい役ではなかった為なのだろうか…。
少々不満な感じも…。 それに引き換え、大嫌いな阿部サダヲのカッチョ良かった事!!!
人の事を褒めている場合では無い。 「僕を是非見てください」と大手を振って言える演技であった。
阿部サダヲの舞台は見た事が無かったが、やっぱこの人は板の上に立って「なんぼ」の人なのかもしれない。
オボロ役の秋津・高田・真木。 3人はそれぞれ、人間の役もあるのだが真木の歌が下手でビックリした。
秋津と高田に比べれば、勿論演技ももっと勉強してね!と思った。
古田さんが出ない事には、新感線の芝居では無いだろうが、やっぱね光ってたよ。 好きだわ!
何か、上手く出来ているね。 これだったらやっぱ、今度こそ芝居を直接見に行こうかしら?と思わせる。
来年の芝居に向けて、ちょっとずつお金を貯めようかしら…、なんてね。 (新感線貯金か?)
それと、臨場感を出したいが為なのか、ちょっとスピーカーから出る音が大きすぎるのでは?
「難聴になったらDo~しましょ!」と思うほどの大きさでしたわ…。
Do~だろうか? 来年も「ゲキ×シネ」を見ては、次の芝居には貯金して行くもんね!等と言うんだろうなァ~。
だって、レディースデイだと10本以上は軽く映画が見れるんですぜ!
そう考えると映画を取っちゃうでしょ!私なら、ねぇ~。