メンタルトレーナー、梯谷幸司(はしがいこうじ)氏の心に響く言葉より…
私が研究助成金を出して研究してもらっている東京大学大学院の先生から、こんな報告が届きました。
「動物実験でわかったことがあります。
生き残りたい、安心・安全が欲しいと思うと、脳は苦痛な記憶ばかりを保存したがるのです」
なるほど、と私は思いました。
人間も同じだからです。
生き残りたいと考えることで、「生き残りたいと言い続けたいんですね。だったら、死を意識する記憶が必要ですね」と脳は動き始めます。
脳は全てを肯定的に取り、逆に動きます。
これが、苦痛な記憶ばかりを保存したがる原理です。生の対比として死を意識する記憶が必要なのです。
死を意識するから「生き残りたい」と言い続けられます。
そして、「死を意識する記憶をつくるためには、それに見合う現実を集めなければいけないですね」と、病気になってみたり、事故に遭ってみたり、自然災害や有名人が亡くなるニュースを見てみたりして、死を意識する記憶を集め始めたりするのです。
安心・安全が欲しいと思うと、「安心・安全が欲しいと言い続けたいんですね。
だったら、反対である苦痛なことや危険なことを集めないといけないですね」と脳は動きます。
だから、苦痛 な記憶、危険な記憶をつくるために、苦痛で危険な現実を集め始めてしまうのです。
つまり、強い生存欲求がある限り、生き残りたいと思うので、死を意識する出来事ばかりが集まってしまうわけです。
命を大事にするので、生きることに固執し、死が悪いものとして扱われていきます。
重要なことなので何度も同じことを繰り返してお伝えしていますが、仕事が終わった後に嫌なことが待っていると思うと、仕事が憂鬱になってきます。
それに対して仕事が終わった後に楽しいことが待っていると思ったら、仕事もはかどり、早く仕事を終わらせようと生産性が高まることさえあります。
それと同じで、死を悪いものとして捉えていると、誰もが死に向かって生きているにもかかわらず「嫌なことが近づいてくる」と、生きることが苦痛になってくるわけです。
そして、目いっぱい生きることが不可能になっていきます。
このように、生きることが目的になっていると、人生はうまくいきません。
何のために生きるのですか。
何のためにその命を使うのですか。
命は生きる目的を全うする道具にすぎません。
あなたは何をする人なのか、目的をはっきりさ せておく必要があるわけです。
命を大事にすると、「死にたくない、生きたい」と思うようになり、命に固執し始めます。
すると、悪循環にはまってしまうのです。
出来事があったから信じ込みが芽生えるわけではありません。
もともと信じ込みがあるから、 避けたいことが引き起こされるのです。
脳は逆に動きます。
たとえば病気をして、やりたいことがやれなかったという影響が出てきた場合、実は「やりたいことをやらないために病気になった」という流れがあります。
脳は逆に動くからです。
つまり、「何のために、やりたいことをやらないことが必要だったか」ということです。
よくある間違った動機付けが、「過去のこんなダメな自分を何とかしたいから」「バカにしてきた連中を見返してやりたいから」「貧乏な自分を何とかしたいから」。
ダメな自分を何とかしようという目的でやると、体を壊してしまいます。
「ダメな自分」と「理想の自分」を同時に想像している二重拘束状態にはまっているのが原因なのです。
目的と脳の動かし方を間違えていると教えるために「考え直しなさい」「生き方を考えなさい」 「世の中の捉え方を変えなさい」とブレーキをかけ、やりたいことをやらせないように脳は動くのです。
『無意識のすごい見える化 「脳内の親」から解放されれば未来は思い通り!』KADOKAWA
梯谷幸司氏は「心の裏の言葉」についてこう語ります。
『ある女性が、ステージ4の舌がんになり、手術を受けることになりました。
私は彼女のブログを読み、ピンときたのです。
舌がんの手術をすると言葉が不明瞭になり、意思疎通が以前より難しくなります。
私は、それが彼女の本当の目的なのではないかと思いました。
さらにブログを読み進めると、やはり「私は理解されない人」という前提で文章を書いていることがわかったのです。
ステージ4の舌がんだと知ってまず夫に報告し、夫から子どもたちには説明してもらったと書 いてありました。
つまり「自分は理解されない」という前提であることがわかりました。
理解されないことを証明するために舌がんになり、「理解されない人」の仕上げをしようとしているのではないか。
私はそこにブレーキをかけたかったのですが、彼女とコンタクトを取ることはできませんでした。
この場合、「理解されない人になるために手術をするのではなく、理解される人になるためにこの手術をするんだ」と手術前につぶやくかつぶやかないかで、術後の人生はまったく違ってきます。
心の裏にある言葉が現実化する。
これが脳のメカニズムなのです。
こうした事例から私たちは何を学ぶべきでしょうか。
それは、心の裏の言葉を変えることです。
たとえば、「私には価値がない」から「私はもともと価値がある」と変えます。
価値がある自分は気持ちがいいですから、価値のある自分を表現しようとします。
そして、価値を周りに分け与えるようになり、「〇〇さんってとてもいい人ですね、価値がある人ですね」と認識され始めます。
「私は価値がある人」と決めているから、自分を認めてくれる人、価値を高めてくれる人を周りに集めたり、自分の価値を表現できるような仕事に就いたりするのです。
そうすることで、さらに「この人は価値がある人だ」と周囲に認識されていきます。
心の裏にある言葉に合うように現実が用意されるのです。
ここを見落としている人が少なくありません。
起こった現実しか見ていないので、記憶が放置されたままになり、1つのストーリー になっていません。
だから、人生が思い通りにいかないのです。』
梯谷氏は「他者基準」と「自分基準」ということをよく言う。
他者基準とは、たとえば、「私は人の喜びのために仕事をしています」ということだ。
一見すばらしい基準のように思えるが、「人が喜ばなければ自分は価値がない」と思い込んでいる。
反対に「自分基準」とは、「人の喜び」はひとつの情報であって、それに左右されず「自分には価値がある」と思うことができる考え方だ。
いくら、人が喜ぶためにやったとしても、それを喜ばない人もいれば、中には逆に、迷惑だと言う人もいる。
そんなことで、一喜一憂していたら自分の気持ちがズタズタになってしまう。
幸せな人は、今、目の前にある幸せに気づける人だ。
どこか幸せが遠くにあるのではなく、この瞬間にある。
それに、気づけるかどうか、だ。
今の自分に価値があると気づけること。
そして、今、この瞬間を楽しめているか、面白がっているか、だ。
心の底で「自分は価値がない」と思っていれば、いくら表面ではポジティブなことを言っていても、脳は価値がない自分であろうとする。
つまり、「脳は逆に動く」
脳の動かし方を理解し、人生を楽しめる人でありたい。
無意識のすごい見える化 「脳内の親」から解放されれば未来は思い通り!
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