『ささやき』 | 【「サブスリー塾」サブスリーランナーのトレーニングって?】

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テーマ:
ブログショートストーリー -NO.5-
『ささやき』

僕には未来がわかる。
いや、わかるという言い方は間違っている。
僕には未来が聞こえる!
そう聞こえるのだ。

いつからだろう?
奴の声が聞こえるようになったのは・・・。

小学生の頃?
いや、幼稚園に行っていた時にも
この声を聞いていたような気がする。

奴の声、それは不幸を予告する悪魔の「ささやき」だった。

子どもの頃、かわいがっていたインコが死んだ時も
最近、親父の会社が倒産した時も
奴の声は不幸を予告した。

しかし、僕には何も出来なかった。
僕が何をしても、どうやってあがいても、結果は同じ。
奴の予告通りになったのだ。

そうさ、僕が何をしたとしても、それは「無駄な事」。
僕は未来の不幸を知っている「ただの人間」にすぎなかった。

・・・その運命を背負って、僕は今日まで生きてきた。

日曜日だった。
僕はテレビを観ていた。
テレビでは電車の衝突事故の話題ばかりをしていた。

そして、今日は僕の
25回目の誕生日でもあった。

僕には彼女がいた。
いたずら好きなその彼女から電話が入ったのは
昼の11時を少し回った頃だった。

「マサ、私、今から仕事で東京本社へ行く事になったの」
と、言う彼女の言葉に僕は少し戸惑った。

「誕生日」の事、忘れているのだろうか?

「11時32分の新幹線に乗るから
 向こうに着いたら、マサにまた電話するね」

結局、その電話は「誕生日」という言葉が出ないまま
切れてしまった。

その時…その時である。
奴の声がした。
声は僕の頭の中でハッキリとこう言った。

「お前の彼女、死ぬぜ」

奴の声が僕の体中でこだましていた。
体は小刻みに震えた。
まばたきも出来なかった。

今回もダメかもしれない。
ダメかもしれないが、何かをしないではいられなかった。
例え、それが「無駄な事」に終わったとしても
彼女の死を指をくわえて見ている事は僕には絶対できなかった。

「新幹線事故!」
僕の頭にまず浮かんだのはそれだった。
僕は車に乗り込んだ。
今からとばせば、32分より前に駅に着く。
彼女の東京出張を中止させるんだ。

そして、部屋でジッとさせておくんだ。

街はいつもと変わらない日曜の昼下りだった。
車のラジオからはラテンの曲が流れていた。
僕は駅に車をとばした。

・・・・・その時、
「エッ!」
キィ─────ッ!
ドッドン
僕は車の前に飛び出た人影に気付かなかった。

「しまった・・・」

僕の車の前には女の人が倒れていた。
その女の人が持っていたのであろうケーキは
道路にグシャグシャになり、
そのかたわらに一枚のカードが落ちていた。
そのカードには…
「マサ!お誕生日おめとでとう!」と
ピンクの文字があった。

そのカードを見ながら
僕は彼女がいたずら好きだった事を思い出していた。

街はいつもと変わらない日曜の昼下りだった。
車のラジオからは、まだラテンの曲が流れていた。
FIN


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