自転車に乗る方の中に、山にも登る人って結構おられるのでしょうか?

 

 そりゃ、そこそこはおられるのでしょう。

 

 では、自転車に乗るのと同日に山にも登るというのはできるのでしょうか?

 

 ロードバイクで登山口まで行って、そこから山に登って、弁当を食べて、登山口まで下りてくる。登山口からはロードバイクで帰ってくる・・・。

 

 場合によっては電車輪行も組み合わせられるかも・・・。

 

 最近そんなことを考えています。

 

 学生時代には(トレッキング程度ですが)一人で山に登っていました。

 

 そんなことを考えるのは、ロードバイクで走りながら、ふとしたときに昔の山登りの感覚を思い出すことがあったからかもしれません。

 

 自転車と山登りって、心拍や呼吸を意識しながら脚や身体の調子をコントロールして目的地に向かって進むプロセスが似ているように思います。

 

 似ているところは他にもあります。

 

 装備も考え方が近いですね。

 

 自転車とくにロードバイクの場合、少しでも軽量のものが望まれます。車体もそうですし、携行品もそうです。

 

 山登りでも軽量であるとともに耐久性や信頼性のあるアイテムが望まれます。

 

 いずれもアイテムを厳選し、リスクと重量のバランスをとる面白さがあります。

 

 でも、どちらかというと装備については山登りのほうがシビアですかね。

 

 山登りはどうしても街なかから離れた場所での行動となり、万が一の場合に命にかかわるケースを想定する必要がありますので。

 

 服装も考え方が近いですかね。

 

 自転車も山登りも運動負荷がそこそこ高いので汗をかきます。

 

 動きやすくて、汗や熱をコントロールできて、軽量な服装が望まれます。

 

 レイヤリングという重ね着の手法も考え方は同じです。

 

 また、雨にも見舞われますので、耐水性・透湿性の高いレインウェアなどが必須になります。

 

 例えば日本の代表的なアウトドアブランドであるモンベルなどでは、防水・透湿素材であるゴアテックスを使用したレインジャケットは山用・サイクリング用ともにラインナップされています。

 

 サイクリング用は、ロードバイクでの前傾姿勢に対応できるように背中部分の布地が比較的長くつくられていたり、袖部分の動きがしやすくなっていたり、ヘルメットを装着していてもフードがかぶれるようになっていたりと若干の違いはありますが、どちらもほぼ代用が効くようになっていると思います。

 

 服装についても先ほどと同様の理由で山登りのほうがよりシビアかと思いますが、機能や考え方が似ているのでほぼ兼用することも可能かと思います。

 

 でも、自転車用と山登り用とで決定的に違うのはシューズですかね。

 

SHIMANO SH-RC9 (SHIMANO HPより)

 

 

 特にロードバイク用のシューズは、かかとやくるぶしの動きを妨げないようカットの形状が独特であったり、ペダルを漕ぐ力を効率的に推進力とするためにソール(靴底面)が硬い素材で作られていたり、SPDやSPD-SLといったビンディング(ペダルとシューズの連結固定装置)用のクリート(固定金具)などが装着されていたり、汗や熱を発散するために各部に通気穴が開けられていたり、足とのフィッティングを調整するための機構がついていたり、サイクリングに最適化された特徴があります。もちろん、軽量性も重視されます。(上記モデルで片足243g)

 

 このようにサイクリングに特化しているため、写真からも容易に想像できるように路上を歩くためには適切ではありません。特にそのまま歩行するとクリートが地面に接触しカチカチと音が出るし無駄に摩耗してしまいます。ソールも固く地面にグリップしません。

 

 また、通気性優先のため雨・水や冷気には無力です。雨の日にはロードバイクには乗らないという方は多いのですが、それでも雨の日に乗らなくてはならない場合には雨用のシューズカバーをつけたり、冬期には防寒用のシューズカバーをかぶせて対応します。

 

 いずれにせよこのシューズでは、自転車をおりてぶらぶら街歩きをすることはおろか山に登ることなど到底できそうにありません。

 

 個人的な感覚の話で余談になりますが、レーシーなサイクルウェアと同様ロード用のサイクルシューズも街なかの使用としてはどうしても風景になじまない気がして(ひとことで言うと「ぎょっとする感じ」ですかね)、上の写真のようなシューズは持っていません。

 

 主に下の写真の4種類(ヒモタイプとマジックテープタイプ)を服装などにあわせて履き分けているような状況です。

 

SHIMANO CT5 (SHIMANO HPより)

同じく紐タイプの

SHIMANO RT4  (SHIMANO HPより)

 

SHIMANO RT5 ブラック (SHIMANO HPより)

 

SHIMANO RT5 ネイビー (SHIMANO HPより)

 いずれのシューズもビンディングの種類としてはSPDというタイプなので、街なかでの歩行くらいならまだそこそこ対応できます。

 

 でもやはり山登りとなるといずれも適していませんね。

 

 一方、山登り専用のシューズとなるとこの写真のような感じになります。

 

モンベル アルパインクルーザー 2500 Men's

(モンベル HPより)

 過酷な環境においても確実に足を守る丈夫な素材と構造、かかとやくるぶしをしっかりと支える形状、地面によくグリップして衝撃を吸収する丈夫なソール、雪や雨の侵入を防ぎながら足の汗や熱を放出するゴアテックスなどの防水・透湿素材の使用など、これも用途に特化した特徴があります。

 

 体重に加え重い荷物も支えるために頑丈ですが、その分重量があります。(写真のモデルで片足830g)

 

 

 

 こう考えてくると、服装や装備などはある程度兼用ができても、サイクリングシューズとトレッキングシューズは明らかに兼用できそうにはないということになりそうです。

 

 

 

 さてさて本題の自転車と山登りの件、つまり「サイクリングとトレッキングは同時に成立するか」という件ですが・・・。

 

 結論から言えば「両方の靴を持っていけば、大丈夫」ということになります。

 

 

 

 でも・・・ 理屈ではそうだけれど、実際にそれは可能なのかな?

 

 

 「ただでさえ積載のないロードバイクで、あのゴツくてとても重い山靴をどうやって運ぶねん?」

 

 

 しばらくあれこれ考える日々が続きます。

 

(つづく)