こんにちは、ヒロです。

ロシアに留学中の末娘から、母の日のメッセージが届いた。

思うこと徒然です。

 

我が家の末娘は、高校を2年の夏に中退し9月からロシアに留学していた。

自分の夢に向かって邁進しているさなか、一昨年2月にロシアのウクライナ侵攻により日本大使館から帰国要請が出た。各航空会社は欠航しチケットも高騰、経済制裁により銀行での出金もカード使用も停止され、空港までのタクシー代ギリギリのルーブルしかない。ロシア国内からの出国者もごった返し非常事態の中、どうにか日本に帰って来た。

飛行機が日本に着陸した瞬間、安堵ではなく、彼女の苦しみが始まった。

毎晩、入眠、中途覚醒が酷く睡眠障害の状態だった。

何度も眠れないと私の元に入り込んできた。

窓の外を見上げながら涙を流す娘に声を掛けると、

「外にとびだしたくなる…」そう言って嗚咽する娘…私は彼女を抱きしめるしか出来ない夜も幾度とあった。

個人の力ではどうすることも出来ない、世界情勢に翻弄され、人生が狂ってしまった。

ウクライナの市民に起きていることを思えばと、命の危機が起きている訳でもない、夢が途絶えることは、たわいもないことなのかもしれない。

それでも苦しい、やるせない、やり場のない思いに押しつぶされてしまいそうになっている。

彼女なりにどうにか保とう、次を考えようとしているが身体がそうならない。

幸いにも別の国からお声かけを頂き、夏から違う国で新たに道を開拓していこうということになり、話を進めていた。自分の思いに、どうにか折り合いをつけようと必死な様子だった。現時点では外務省からロシア渡航は自粛要請が出ている、海外送金もロシアには出来ないこと等、ロシアによるウクライナ侵攻は治まらず、ロシアに対して引き続き強い制裁が行われていくであろうこと、今後ロシアに何が起きるか分からない危険が多いこと等を考え、どうしたいのか?どうすべきなのか?何度も話しあい悩んできたが、折り合いは本当の思いに対しては、ただの折り合いにしか過ぎなかった。最終決定出国直前で「行きたくない、行ってしまったらロシアの戻ることは出来ない。」と泣かれた。

彼女はロシアに戻ること前提でしか考えられていなかった。今どんなに苦しくても、限りなく少なくてもロシアに戻れるチャンスを逃してしまうことの方が、人生の大きな後悔になると感じたのだ。彼女が他の国に行かない決断をした時、ホッとした私がいた。彼女の本当の欲求でないことは分かっていたから、今その欲求が満たすことが出来なかったら、彼女の身体の中でこの思いは燻り続け、何度も表出してくるだろう。たとえその欲求のままの選択が出来なくても、納得のいく決断をして欲しかった。そして、「他国に行かない」決断は正解だった。結果ロシアに戻ることが出来たからではない。彼女の身体が納得いき自分で決断して生きることが出来たからだ。

自分の欲求には、理由や根拠もないものだってある。それで良いと思う。誰かを説得出来なくても、どうしても叶えたい思いがある。その思いが何処からくるのかなんて知らなくても、身体が求める、納得いく生き方を本人が選べばそれで良い。

この決断の翌日、ロシアの学校から進級の連絡が入り、ロシア大使館、領事館と何度もやり取りし、やっとの思いでビザを取得し再びロシアに戻っていった。人生ってのは、不思議だ。

そして彼女は幸せな人間だ。

自分の力ではどうすることも出来ないことに人生を翻弄され、世界に起きていることに直面し苦しんでいる人々がいる。自分がどう生きていきたいのか、自分の感覚を信じ生きていく自由と権利は誰にでもあると思う。世界の子供達が人生の選択を広げ自由に生きていける世になって欲しい。私には大きなことは出来ないが、出会った方々が少しでも自分の選択に「これで良かった」と思える生き方をして欲しい。





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