脚本は田口成光。監督は深沢清澄。特撮監督は高野宏一。


秘密裏に百子の誕生パーティーが計画され、ゲンと猛と梅田兄妹が祝福しました。ゲンがロウソクに火をつけようとした時、猛は大村がいないことに気がつきました。カオルの話ではまたサイクリングに出かけたとのこと。仕方がないので大村抜きで始めようとしたその時、怪獣出現の知らせが。仕方なくゲンは出て行きました。百子は機嫌が悪くなるのでした。


さて街ではガロンが暴れていました。逃げ回る群衆の中には大村もいました。マッキーは次々に撃墜されました。4機目となった時にゲンは変身しようと出て行きましたが、ここでゲンは大村を見かけました。ゲンが大村に声をかけると、大村は子供の声が聞こえたといいました。ゲンは大村を逃がし、自分が子供を助けることにしました。

ゲンの耳に聞こえた声は


男の子「おにいちゃーん、助けて。レオにいちゃーん。」

レオにいちゃん「飛鳥、がんばれ。」


はっとしたゲンが声のする方へ行ってみると少年がコンクリートの塊の下敷きになり、兄のレオが助けようとしているところに出くわしました。ゲンはレオと飛鳥の兄弟を助けました。ダンはレオが現れないのであせりました。本部に連絡をとってみるとMACの被害状況は


白川「MACの被害はこれまでで最大のものです。死者3名。負傷者16名。マッキー2号機2機破壊。同マッキー3号機4機破壊。」


ダンは全員出動を命じました。病院では飛鳥が運び込まれ、手術が始まりました。ゲンは岡村レオについていました。レオと飛鳥は父親の会社に来ており、今日は飛鳥の誕生日なので一緒に食事をしに出ていくことになっていました。そこへガロンが現れたというのです。飛鳥が死んだら天涯孤独になると落ち込むレオをゲンは励ましました。またそのパターンですか。閑話休題。ゲンはレオの気持ちがよくわかるといいました。


ゲン「僕にも弟がいたんだ。でも怪獣のために炎の中で行方不明になってしまったんだ。両親もいっしょにね。」


これは明らかにL77星でのことを話していますが、レオが知る由もありません。その話を聞いたレオは驚きました。ゲンは飛鳥のためにも頑張れといい、飛鳥やレオのためにガロンを倒すと誓いました。


さて病院から外へ出ようとしたゲンはダンに出くわしました。ダンはどうやってゲンの居場所を知ったのでしょうか? それはともかく、ダンはゲンに、なぜ変身しなかったのか、どうして知らせなかったのか、子供達を救うためにはお前がレオに変身しなければならない、子供達はわれわれに任せればいい、それはお前が一番よく知っているはずだ。ダンは岡村レオ兄弟のことを知っているようですが、どうやってそのことを知ったのかは謎です。


ダン「ゲン、どんな理由があろうとも、戦うべき時は戦わねばならん。私は MAC の隊長としてはレオなどに頼りたくはない。(思わずゲンが振り返る)だが同じ宇宙人としては、お前だけを信頼しているんだ。」


そこへガロンが移動したとの知らせが。ダンはゲンにガロンのことを託し、自分は岡村兄弟を守るといいました。


さてガロンが暴れているところには大村もいました。なぜかガロンは大村の逃げるところについてきているかのような動きをしています。ゲンは現場に駆け付けるとウルトラマンレオに変身。ここで久しぶりに「ウルトラマンレオ」の曲が流れ、レオは戦いました。MAC最大の被害を出したにしてはレオは優勢です。珍しく MAC の援護もきいています。と思ったのも束の間、別の怪獣リットルが出現しました。二匹を見比べた大村は


大村「そっくりじゃねえか。あら兄弟だよ。エライことになったぞ。」


間の悪いことにリットルは病院に向かっていきます。岡村レオの助けを呼ぶ声を聞いたレオに迷いが生じました。


ダン「やめろ。やめるんだ、レオ。先にガロンを倒すんだ。」


しかし、ダンの忠告は届かず、レオは兄弟怪獣に挟まれて劣勢です。やむをえず、ダンはウルトラ念力を使いました。こうして兄弟怪獣は退散しましたが、ダンはボロボロの状態です。ゲンも


ゲン(レオ)は弟のアストラを助けようとしたがかなわなかった時のことを思い出していました。そこへダンがやってきました。ダンはゲンが岡村兄弟に自分達(レオとアストラ)の姿を見たことを見抜いており、そのうえで、過去のことは捨てなければならない、と言いました。弟を救うことができなかったというゲンにダンは言いました。第二の故郷を守るために闘わなくてはならないと。全滅寸前の MAC も地球を守るために闘っていると。ゲンは、自分も地球を愛することには変わりがない、と。そこへ兄弟怪獣出現の知らせが。


ゲンはレオに変身し、兄弟怪獣と戦いました。真夏さんの歌う「ウルトラマンレオ」が流れる中、レオが戦います。しかし劣勢は否めません。カラータイマーが赤になりました。万事休すかとダンが思ったとき、ダンは赤い玉が空から近付いてきたことに気がつきました。そこへ大村がやってきて赤い玉を指さし、あれは何かとダンに尋ねました。きっと怪獣だという大村の声を無視し、ダンは赤い玉を凝視していました。ダンにはわかっていたようです。その赤い玉が何かということが。赤い玉は地上で爆発。煙の中から現れたのは


大村「あ、レオの弟だ。おし。兄弟対兄弟。これでレオは大丈夫ですよ。」


ダンは無言です。現われたのはレオの弟アストラだったのです。形勢逆転。兄弟怪獣はレオ兄弟に圧倒されました。そして怪獣はレオ兄弟の放ったダブルフラッシャーに倒されました。喜ぶ大村をダンは笑みを浮かびながら見るのでした。


スポーツセンターのゲンの部屋では改めて百子の誕生パーティーが開かれました。後から大村がバラの花束を持って登場。花束にはダンからの手紙も託されていました。そして大村はダンからの言付けとして岡村飛鳥の手術が成功したことを伝えました。ゲンは岡村兄弟に手紙を出すのでした。


この話はアストラ登場編であると同時に大村退場編でもあります。この回を最後に大村は登場しません。しかし、その退場に明確な理由付けがされたわけではありません。百子、猛、カオルが亡くなった後もゲンはスポーツセンターで働いていますので、おそらく大村もスポーツセンターで働いているのは間違いないでしょう。しかし、大村は登場することはありませんでした。


大村はゲンや百子や猛の上司であると共に年長者でもあります。公私ともにゲン達を指導する立場にあったはずですが、劇中で大村に与えられた役割はコメディーリリーフでした。第1話ではギラス兄弟によって津波が襲ってきたときに魚やイカを拾い、「魚がいるぞ。イカもいるぞ。」と叫んでいましたし、第8話 ではパチンコに夢中になって逃げ遅れて右往左往していました。コメディーリリーフの役割は今回も同様です。しかし、その様子が劇中で浮いていたことは否めません。そのため、藤木悠さんのスケジュールの関係もあって、降板することになったのでしょう。しかし、大村には別の使い方ができたのではないかと思うのです。それを語る前に一つ、興味深い話を紹介します。


講談社から出た「新・ウルトラマン大全集」の中で田口成光はレオのことを振り返ってこう語っています。


でも、今になって考えると、例えばこの二人(注:もちろんダンとゲンのこと)が宇宙人であることを知っている人間が一人いるような設定を加味してれば、と思いますね。そうなってくると、二人の関係も、よりはっきりしてくるだろうし。それは例えば、年をとった人になるでしょうね。それで、そのことを決して口外しないような人物がいいですね。

その役割は大村が担えるものだったと私は思います。人間ウルトラマンを目指して成功した「帰ってきたウルトラマン」には坂田健がおり、郷がウルトラマンであることを知らなかったものの、いろいろと郷の支えになりました。ウルトラマンレオに足りなかったものは、郷に対する坂田健のような存在だったと思います。そしてその役割を担うことができたのが大村だったと思うのです。せっかく藤木悠さんを配役しておきながら生かしきれなかったのが、本当に残念だと思います。


なお、ガロンとリットルの名前の由来は液体の容積を計る単位からです。ガロンは新規造形ですが、リットルはアンタレスの着ぐるみを改造して作られています。