13階段 :高野和明 | 神戸の三代目(本棚)

13階段 :高野和明


高野 和明
13階段
★★★★★

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。
その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。
だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。
処刑までに残された時間はわずかしかない。
二人は、無実の男の命を救うことができるのか。
江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。

どうやら、作者にとっては初めての長編小説だったようです。
処女作でここまで読ませるとは・・。
脱帽です。

記憶喪失の死刑囚に冤罪の可能性があり、
その冤罪を証明するために前科を持っている青年と
その青年の入っていた刑務官が限られた時間の中捜査を行う・・。

なんとなく、24を思い出しました。
時間が迫ってくる感じとか、全てを明かさない登場人物とか・・。

単なるエンターテイメント作品にとどまらず、
死刑制度についての作者の考えを、
物語の登場人物に代弁させている気がします。

何よりびっくりしたのは最後にある参考文献の量。
20冊以上の死刑や犯罪に関する書籍、また法律に関する専門書が連ねてあります。
リアリティのある文章には、その準備段階から始まっているのでしょう。

あとがきで宮部みゆきが言っています。
映画とは全く違う作品になっています、と。
そういえばそんな映画もあったような。
映画でがっかりした人も、是非。