マイ・フェア・レディ

@東急シアターオーブ

 

[上演時間]3時間15分(休憩25分)

[劇作・脚本・作詞]アラン・ジェイ・ラーナー [音楽]フレデリック・ロウ 

[演出・翻訳]G2 

[出演]神田沙也加 / 別所哲也 / 相島一之 / 今井清隆 / 平方元基 / 

春風ひとみ / 伊東弘美 / 前田美波里 / 他

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「マイ・フェア・レディ」に行ってきました。

パンフレットは2,000円とややお高め。シアターオーブ価格?(偏見かなあせる

オーブの天空席(三階席)は高いわ~標高的な意味で。そのわりにチケット代はさほど安くない。

帝劇B席の方がずっと安くてかつ観やすい。やっぱりオーブ価格?

 

 

有名な作品ですが、実は初めて観ました汗

今までなんとなく積極的に観る機会がなかったのと、実は演出家さんが苦手で避けていた。

その上、映画すら観てなかったりして。

 

今回は平方君出てるし、今井さんいるし恋の矢 大好きな別所さんのヒギンズ教授も観たかったのだ。

好きな役者さんが三人いると、内容に興味ある作品なら観る根拠になります。

しかし悩ましいのはWキャストの組み合わせ固定(-"-;A

 

 

白状しますと、レ・ミゼラブルのコゼット役の時代から、神田さんの甲高い声が苦手でしてね。

まあその他にもアレルギーの原因があり…ごにょごにょ…だからあまりお会いしたくなかったの(;^_^A

でもとりあえず観てよかったです。

久々に拝見したら、高音部分の金属的な響きが改善されていたびっくり

可憐なイライザでした。別所ヒギンズとは親子にしか見えなかったけれど(^▽^;)

 

普段着のように着ていたグリーンのドレスが可愛くて良かったな。衣装ではあれが一番好き。

少し残念だったのは、後半の見せ場で装う純白のドレス姿のインパクトがイマイチ。

「エリザベート」の1幕ラストみたいな盛り上がりを期待してたのですが、やけにあっさりだった。

 

さなぎから蝶へ変身する物語って、変身シーンのインパクトが一番の見せ場だと思うんですけどね。

でもそれはフライヤーにも載っている、黒の入ったドレスが役目を果たしているのかな。

あと、花売り娘イライザの江戸弁が板に付いてないので(生粋の田舎もん視点からすると、そもそも最初から垢抜けているようにしか見えん)、そういう意味でも“変身”のインパクトが弱いのかも。

 

 

対する別所ヒギンズはめっちゃチャーミング音譜 

すみません、かわいいおじさまが好きで(^▽^;)

イライザに袖にされて錯乱しながら?歌う、「あたまから離れない」。

別の役者さんで聴いたときはもっと刺々しい感じかと思っていたら、別所ヒギンズは初心な若者のようだった。

素直になれないとこがまたカワイイんだなあ。

 

でもその中でもきっちり漂わせるインテリ臭。

そして…なんといいますか、おそらくこの時代の特権階級特有の無意識の傲慢さ。

 

この作品って、女性の立場とか権利とか社会進出とか、まあいろいろな要素があります。

ヒギンズは無意識のうちにイライザを侮っていて、最初から二人は対等な関係ではない。

もちろん個性の問題は大きいだろうけど(立場の同じピッカリング大佐は紳士だし)、階級や性別を考えればヒギンズの態度は当然のことなんだろう。

最初はフレディだって花売り娘のイライザを無視だったし、逆に上流階級の振る舞いを覚えたイライザを昔の仲間達は別人だと思っている。

中身は同じなのに、なんだか怖いなあ。

でもそれが当然の価値観の世界で、最後にイライザとヒギンズが歩み寄ることがより尊く思えるんですよね。

 

 

にしても少し唐突感はありました(;^_^A

二人の距離がいつ縮まったのか、イマイチ分かりにくかった。

まあそういうストーリーだってことはさすがに初見でも知ってるので、違和感は少なかったけど。

唐突と言えば、最初はイライザを敬遠していたヒギンズの母親が、気がつけば彼女の庇護者になっていたのもめっちゃ唐突だった。

 

 

さすがに有名作品だけあって、初めて観るのに知ってる曲が多いこと多いこと。

フレディが歌う「君が住む街」なんて、何人ものミュージカル俳優さんが歌うの聴いてきました。

で、も。フレディがあれほどとんちきな男だとは知らなかったぞ叫び

(出番が少ないのは薄々知ってたσ(^_^;))

 

平方くん、ハットがあまり似合わないと思う。髪型のせいなのかも。

平方フレディがヒギンズ教授宅の門前で天然ぽい発言をしたとき、客席がちょっと笑ってざわついたんですよね。

で、その直後にソロを歌い出したら、今度は違う意味でざわついた。

え、やけに歌ウマくない? え、顔見えたら格好良くない? という意味のざわつきだと判断したんですが、欲目でしょうか?

 

平方くんの舞台もちょっと久々だけど、相変わらずよく響くいい声だったなあ。

歌が上手いだけに頼りがいがあるように見えちゃう。

帰り際、「フレディ選んだ方が絶対幸せになれるのにビックリマーク」って憤慨してらっしゃるお客さんに、少なくとも二人は出くわしましたよ(平方ファンかもしれんが)。

 

 

キーヨですか? 当然、可愛いです(断言した!)。

イライザの酔っ払いの父親という役なので、果たしてどれだけ出番あるのかと思いきや、意外にもけっこう歌うわ踊るわ。

まあ素敵恋の矢 赤ら顔もお似合いです。

でもあの人、元バルジャンなんだよ~ギリシャ悲劇も出来る人なんだよ~

あの年齢にしてはそこそこ踊れるのは「ファースト・デート」で証明済み。

 

「運がよけりゃ」という歌があるんですが、「ほんの少し運が良けりゃ」というフレーズが出てくるたび、『モーツァルト!』が頭を過ぎって困った。

ウェーバー家での、コンスタンツェが歌うフレーズじゃないか汗

 

にしても、娘に金をせびるダメオヤジだけど嫌味にならないのは、やっぱり中の人から滲み出る人の良さかしら。

さんざん娘LOVEなバルジャンを観てきたので、娘に冷淡な父親ってちょっと今井さんのイメージじゃないけどね。まあ冷淡ってほどでもないか。

 

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ラストシーンがめちゃめちゃあっさりしてたので、え、もう終わり?って逆にビックリした。

その前がすごく長いのに、いきなり終わる。

てか基本的にこの作品、長いよ。

歌そのものも1曲が長いんですよね。一度終わったと思いきや、ワンシーン挟んでからさっきの続きを歌ったりする。

 

ミュージカルはミュージカルだけど、芝居部分がとても多いのがかえって新鮮。

個人的には好きですが、歌の導入部分を工夫しないとミュージカルアレルギーの方から「いきなり歌い出した!」って言われる危険性アリ。

正直、1幕最初のあたりは何度か唐突感に戸惑いました。

 

 

もう少し上演時間短い方がいいと思うけど(特に1幕)、なかなか楽しかったです。

やはり古典には長く続くだけの力があるんだなあ。