本日の一句「直感を 信じて手にした リーズナブル」
ちかごろ、山梨県の温泉にハマってます。
住まいからは栃木県や群馬県の温泉が近いため、この2県に温泉を求めて行くことが多いのですが、前回、山梨県甲斐の温泉(神の湯温泉)をいただいた際、お湯の優しさに魅了され、今回もまた来てしまいました。
私が日帰り温泉を探すときの優先順位は、①旅館の日帰り入浴 ②デイスパの順です。
丁寧に探せばデイスパでも素晴らしいところもたくさんあると思うのですが、単純にお客さんの数が多いので落ち着かないことと、大きな施設の湯船を満たすために加温、加水、循環泉であることが多いため、日帰りをやっている温泉旅館がないときに利用させていただく感じです。
本日の日帰り温泉では2軒ハシゴしたのですが、一軒はデイスパ(超当たりのデイスパ!後日アップ予定)、もう一軒は今回ご紹介する「石和温泉郷 深雪温泉」さん。
実は、深雪温泉は当初から決めて伺ったわけではなく、事前調査で狙っていた旅館の日帰り入浴が、受付時間を過ぎてしまったため、急遽、現地で調べて伺った施設でした。
深雪温泉、情緒のあるネーミングですし、2つの自家源泉が豊富に湯殿に流れ込むという魅力的な湯と言うことでしたので、直感で「ここだ!」と思い、ネットで申し込みを行ってから、Google先生にナビを設定して向かいました。
ネット情報には「自家源泉【完熟の湯】を湯船に直接配管し循環・加熱・加水・塩素滅菌一切なしの真の源泉かけ流しを実現。豊富な湯量ならでは湯船からドバドバと流れる源泉は圧巻!アルカリ性の柔かな湯はシャワーにも利用。」と魅力的な記載。ユーザの温泉自体の評価も非常に高く、期待がさらに高まります。
直感を信じろ!
Google先生のナビは、ときに私の運転技術を試すかのような、非常にチャレンジングなルートを指し示します。草木の生い茂る暗い獣道や、道幅が狭く側道の水路ギリギリだったり。今回は通常走行が可能な道でしたが、宿の裏手からのアプローチとなりました。
そこで目にした建物(裏手)の外観が、なんともジブリ感!
良く言えば歴史ある佇まい。正直、全く何の情報もなくこの建物(裏手ですが)を見たら、スルーして他の施設を再検索してしまうかもしれません。(お宿の方ごめんなさい!)
個人的見解ですが、歴史あるお宿の多くは正面の玄関周りやロビー、客室はリニューアルしていても、裏手まで改修するのはコストもかかるので手が回らないんですよね、きっと。一方、温泉宿って結構川沿いに建っていたりすると、建物の裏手が見えることが多く、玄関の反対側(裏手)や側面の壁・屋根が目につきます。第一印象として「今度にあの宿に行ってみよう!」と思わせるためには、裏手のメンテナンスも結構大切なポイントかもしれません。
しかし、調べたときに感じた自分の直感を信じてみよう!と思い直し、宿の門を叩くことに。
宿から30秒程度離れた駐車場に車を駐め、正面玄関から伺いました。
↑立派な一枚板の看板が歴史を感じます。
先ほどは、裏手外観の印象で心配でしたが、玄関やロビーはとてもアットホーム、シンプルかつ清潔で好感があります。手指の消毒と検温を済ませ、日帰り温泉用のタオルを受け取りました。
90分1,500円にたじろぐ
ふだん、日帰り温泉ではタオルがつかないことが多いのですが、実は先ほど「ネットで申し込みをしてから」と記載した通り、フロントでの直接申し込みではなく、じゃらんnetの体験サイトからのネット申し込みとなり、タオル付きセットとなったのでした。
と言うのも、一般の日帰り申し込みが14時半までで終了してしまったと言われ、15時以降、じゃらんnet経由での申し込みしか選択肢がなかったのです。料金は1,500円、洗い用のタオルとバスタオルが付いてくるとはいえ、90分の時間制で日帰り1,500円は決して安いとはいえません。しかも先程の裏手の外観です。直感を信じるとは言いましたが、不安は拭えませんでした。
15時からのネット申込みのみ、かつ1,500円と言う強気の価格設定も相まって、1時間以上湯浴みをしましたが、内湯も外湯も貸切状態でした!そして結論として、完熟の湯に、良い意味でやられました。
脱衣場にはロッカーがないため、日帰り入浴の場合には、ロビーにある無料のロッカーが使用できます。
脱衣場は清潔、ゴミも見当たりません。カゴは15個。洗面台は2つと、こじんまりしています。
いざ実湯、完の湯&熟の湯
早速、お湯をいただきます。
男湯は内湯が1つ、露天が1つとシンプルな作りで、サウナや壺湯やジェットなどの嗜好はありません。
↑浴室には相田みつを的な看板
泉質はカルシウムとナトリウムを含んだアルカリ泉。お湯はトロッとした印象です。
こちらの温泉の特徴は、なんと言っても圧倒的な湯量です。1分間に1,415㍑(ドラム缶7本分!)の湯が惜しみなく湯船に流れ込みます。写真だと分かりにくいですが、湯船の縁から、溢れた湯が静かに滔々と洗い場に流れていきます。見ているだけで贅沢な気分になります。
温泉施設は当然人工建造物ですが、溢れ出るお湯を見ていると温泉水のみならず湯船すら自然の一部に見えてきます。
そしてさらに特徴的なのは、自然湧出の2本の自家源泉を直接湯船に引き込んでいるところです。完の湯(源泉温度50.8度)と熟の湯(源泉温度36度)と言う異なる温度の源泉の湧出口があり、湯船で混ぜることにより40度から42度くらいの適温にしているそうです。
なので、湯温の好みは熱い湯やぬるめの湯など個人差がありますが、この温泉は、湯船に流れ込む注ぎ口から好きな位置に自分の体をポジショニングすることで、適温を得ることができるのです。
露天風呂も同様に2本の自家源泉が引かれています。
当初は1,500円という料金に、果たしてその価値があるのだろうかと懐疑的だった私も、温泉に入っているうちにすっかりそのような思いは消え、むしろこの豊富な大地の幸であるお湯と空間を独り占めしている贅沢に酔いしれるのでありました。シャワーのお湯すらも温泉って素敵過ぎる。
↑洗い場の数は十分。カランもシャワーからも出るのは温泉水!
日本で「リーズナブル」を「安い(cheap)」という単語と同義で使う場面を目にします。しかし本来、リーズナブルとは「reasonable」と書くように「reason(理由)」があるもの、つまり値段が合理的であり適正であるものと言う意味です。粗悪なら100円でも高い場合もあるし、100万円でもリーズナブルであると価値を認めることもあります。
その意味で、深雪温泉で味わった温泉、時間、空間の満足感はまさに「リーズナブル」と言って間違いない、素晴らしいお湯と施設でした。
そして裏手の外観と温泉の満足度には相関がないことを知りました 笑。
また来ます、ご馳走さまでした。