JR妄想劇場 「TOW ROSES」 第5幕③<過去> | 松井玲奈に夢中になろう

松井玲奈に夢中になろう

「美しくもカワイイ」元SKE48のかすみ草 松井玲奈さんを応援するブログです。
松井玲奈さんが大好きでこんなブログを作ってしまいました。玲奈さんの動画や画像、素敵なエピソードなどを紹介していけたらと思います。「さあ貴方も今日から玲奈推しで!」

じゅりれな妄想劇場 「TWO ROSESクロ薔薇シロ薔薇

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う~ん
全然物語が進まない

今回ももう少し先まで書くつもりだったのに
長くなりすぎたから予定より手前で話を切っちゃったし

ゴチャゴチャ書きすぎなんだ

気が付けば「夏夢」の記事数を超えてしまった

あっ
それでひとつ記事の訂正を

このひとつ前の記事で
玲奈が「珠理奈はアタシの6つ年下」って言ってるんだけど
正しくは「つ年下」でした

記事はもう訂正してあるけど
訂正前にお読み頂いた方はそういうコトで宜しくね


間違ったの


うん

玲奈さんと珠理奈の実年齢6歳で書いちゃったけど
妄想劇場では違うんだった

妄想劇場設定は
5歳違いで珠理奈は早生まれだから
学年では4コ下に
なってるの

それでは訂正も入れてスッキリしたところで
そろそろ行くぞ


「じゅりれな」妄想劇場「TWO ROSESクロ薔薇シロ薔薇
第5幕 <<過去>> ③ 開幕で~す 


玲奈 「アタシたち姉妹の父親は
・・・医者で病院を経営してて」


ヒロキ 「ふ~ん
玲奈さんのお父さんはお医者さんなんだ」

「・・・はい」

松井病院か・・・

えっ

ヒロキはあることに思い当たる

「あ あのさ

「はい」

「病院ってまさか
あの松井総合病院

「・・・はい」

「・・・

ヒロキは絶句する

松井総合病院


この地域の医療を支える大総合病院

この地域に住む者であれば誰でも知っているし
家族の誰かしらは治療を受けたことがあるだろう

ヒロキの両親の事故の時も松井総合病院に搬送されていた
即死だったため治療を受けることはなかったが・・・

あの大病院の院長の娘・・・

「そ そうなんだ・・・
凄いんだな ふたりとも

ヒロキはやっとのことで言葉を捻り出す
ただ大した内容の発言でもなかったが

「いえ
そんな


そう言って玲奈はうなだれる


「んっ

その様子は決して謙遜という訳ではなさそうだ

「アタシは父の最初の子として生まれたんですけど
父は男の子が欲しかったみたいで
あまり可愛がってもらえませんでした」

「お父さんは男の子が欲しかったの

「はい
ウチの病院はアタシの曾祖父が設立したんですけど
代々長男が跡を継いでいて
アタシの父もどうしても男の子に跡を継がせたくて」

「・・・」
歴史のあるアレだけの大病院だ
そんなコトもあるのかもしれない

やや時代遅れの感覚だとヒロキも思ったが
父親の気持ちも分からないでもなかった

「それで父は2人目の子供を凄く欲しがって
やっと出来たんですけれど・・・」


そこまで言って玲奈は辛そうに唇を噛む

「それが珠理奈だったの

「・・・はい」

「また女の子で父も最初は凄く落胆してたんですが
"男の子に跡を"ということを諦めたのか
珠理奈が小学校に上がる頃には
"珠理奈に跡を継がせる"って凄く珠理奈を可愛がり始めて」


「えっ
なんで珠理奈なの
長女は玲奈さんなのに」

「いえ
それがアタシ数学がちょっと苦手で


「えっそうなの

「はい
特にマイナスが理解できなくて



「へっ
マイナスが

「はい
なにも無いはずのゼロからさらに何か引くなんて
全然意味が分からなくて


「そう
それじゃあ医者どころか税理士にもなれないね

「ホントですよね

「・・・
「・・・

「え えっと・・・だけど
アタシと違って珠理奈はホント天才的に勉強が出来たんです」


「そう
本当に100点ばかり取っていました
珠理奈は・・・」



・・・過去
玲奈 中2
珠理奈 小4

珠理奈 「ただいま~

珠理奈が帰宅しリビングのドアを開け中に入ってくる

リビングは30畳はあろうかという広さ

その真ん中に置かれたソファーに
中年の男性がゆったりと座っていた

父 「お帰り 珠理奈
塾はどうだった」



「うん お父さん
またテスト100点だったよ


珠理奈は自慢げに算数のテストを
カバンから取り出す

「よしよし
珠理奈はホントに利口だな~

お前は絶対医者になれよ
中学校は必ず桜蔭女子に行くんだぞ」


桜蔭学園
中高一貫の女子高だ 
全国随一の国立大医学部進学率を誇る

「おかえり
珠理奈」



自室から玲奈がリビングに降りてきた

「ただいま玲奈ちゃん

珠理奈は玲奈に飛びつく
典型的な甘えん坊の妹だ

そんな妹を玲奈は"はいはい"といった感じで引き離す
妹に対して少しドライな姉

そんな姉妹の様子を父親は横目で見ていたが

「玲奈もな~
お前ももう少し頭が良ければ


「・・・すみません
お父さん


玲奈は少しだけ不服そうな顔をしたが
そう言って素直に頭を下げる

「数学が苦手じゃあ医者にはなれないな~
桜蔭にも行けず結局慶応女子だし」


「お父さん
玲奈ちゃんを虐めないで


姉の様子を見かねてか珠理奈がクチを挟む
父親は珠理奈のそんな言葉を全く気に留めず話を続ける

「いいか 珠理奈
お前は絶対医者になるんだ

お父さんの病院を継ぐのはお前だぞ」


「うん

お父さん」


珠理奈はニッコリと応える

「玲奈はそうだな
病院の事務でもして珠理奈の手伝いをすればいい
いいな 玲奈
お前は珠理奈の手伝いだ


「えっ
玲奈ちゃんがお手伝いしてくれるの
アタシ嬉しい~


珠理奈はあどけなく喜んでいる

「・・・はい
分かりました

お父さん」



玲奈はふたりに気づかれないようそっと唇をかんだ


・・・現在

「そんな感じで
父は優秀な珠理奈を本当に可愛がって
デキの悪いアタシは相手にもしてもらえてなくて」


桜蔭女子に慶応女子
どちらもヒロキにとっては雲の上の学校だ

「いや
でも玲奈さんは確か慶応の独文卒業だったよね
それでデキが悪いなんてこと・・・

玲奈が慶応独文卒と言うことは
前に玲奈から聞いて知っていた

「いえ 珠理奈に比べたら全然・・・

「そんなことないって

しかし慶応でデキが悪いって
俺なんてどうなっちゃうんだよ
しかも珠理奈ってそんなに優秀なのかな
まさか東大の医学部とか

はあ
俺ってそんな娘に洗濯とか食事当番とかさせてたのか~
バカチンなオヤジギャグとかも言ってたし~

"コイツ馬鹿だな~"とか珠理奈に思われてたのかな

ヒロキは今になって色々と心配する

「でも今にして思えば
あの頃が一番幸せでした
アタシが父に何の期待をされてなくても
父がいて母がいて・・・そして珠理奈がいて・・・」



・・・過去
玲奈  高2
珠理奈 中1

珠理奈が元気よく学校から帰ってきた


「ただいま~

珠理奈は見事桜蔭女子に合格し
中学一年生となっていた

玄関から一直線にリビングに駆け込んでくる

「お父さ~ん
実力テストまた一番だったよ~


母 「・・・」

「あれ

お母さん いたの
黙ってるから分からなかった

ねえ お父さんは





「・・・」

母親はうな垂れていて返事は無い

「ねえ

お母さんってば」


そい言って珠理奈は母親の顔を覗き込む

「・・・

母親の表情に珠理奈は言葉を失う

魂の抜け切ったような
まさに死人のような顔

涙を流そうにも
それすらも乾き枯れ果てたという表情だ

そんな母の様子から只ならぬ事態を珠理奈も感じ取る

「お お母さん

震える声で珠理奈は呼びかけ
母の両肩を掴む手も小刻みに震えていた

「珠理奈
ごめんね」


「えっ

「もう
アタシは珠理奈のお母さんじゃないの」


「・・・なに言ってるの
お母さん」


「お母さんとお父さん・・・
別れたのよ」


「・・・わかれた

珠理奈は一瞬意味が分からない
それだけ動揺していた

「離婚したの」

「・・・り こん」

「お父さんから言われたの
・・・もう要らないんだって
お母さんは」


「な・・・
そんなこと・・・」


「ただいま・・・



そこに疲れた様子の玲奈が帰ってくる

だが特に学校で何か疲れることがあった訳ではない
自分の居場所が無いこの家に帰ってくると
玲奈は自然とこんな風になってしまっていた

「れ 玲奈ちゃん
お母さんがお母さんが


そんな玲奈の様子を
気にかけてる余裕は今の珠理奈には無い

玲奈に駆け寄り助けを求める

「玲奈ちゃん
お母さんがお父さんと別れるって

もうアタシのお母さんじゃないって」


「えっ・・・

玲奈も驚いた表情を見せるが
実は前々から感じ取ってはいた
父と母の中が冷え切ってしまっていることに

もはやこの家の中で
父の興味があるのは珠理奈だけ
そう
珠理奈が医者になることだけだと・・・

「お母さん
珠理奈の話は本当



コクッ
母親はもはや言葉を発する気力も無いのか
黙って力なく頷いた

「・・・そう

「そうって・・・
玲奈ちゃん それだけ

ねえ 玲奈ちゃん 何とかして
お母さん いなくなっちゃうよ


「・・・」

母親がいなくなる・・・
正直そんなこと玲奈にはどうでも良かった

小さい頃から父親に期待もされず
その為か母親にも興味を持たれた事はなかった

父が期待したのは珠理奈だけ
そして母が興味を持ったのも珠理奈だけだった

その母親が自分の母親ではなくなる

だからなに

今までと何か変わる



玲奈はそう思った

「お母さん
出て行っちゃうの


「そう・・・
もう行かなきゃ」


「えっ
もう


「・・・

玲奈は2人のそんなやり取りを冷静に見ている

「お父さんから言われてるの・・・
お父さんが帰ってくるまでに
出て行くようにって」


「そんな
もう行っちゃうなんて
アタシ 嫌だよ お母さん


母親は立ち上がりリビングから出て行こうとする

「ダメだって

お母さん」


珠理奈は母の手を掴み引きとめようとするが

「珠理奈
ごめんね」


母親はそう言って珠理奈の手を振り払った

「お母さん

珠理奈は尚も母親を引き止める
もはやその顔は涙でグチャグチャだ

母親はそんな娘の顔をジッと見つめ

「珠理奈・・・
新しいお母さんと仲良くね」


そう言って少しだけ微笑んだ

「えっ
新しいお母さん」


「・・・

静かに2人を見守っていた玲奈も
その言葉に少しだけ驚く

「じゃあね
珠理奈」


「お母さん

「玲奈も・・・
珠理奈をよろしくね」


最後まで珠理奈のことなんだ

そう思ったが母親の言葉に玲奈は

コクリ

と黙って頷いた


玲奈が頷いたのを見届けると母親は
ふたりに背を向けリビングのドアに向かった

「お母さん
行かないで

お母さん」


なおも母親を呼び止める珠理奈

そんな呼びかけに応えたのだろうか
母親が珠理奈に振り返る

「お母さん・・・

母親は珠理奈の顔を少しの間見つめていたが

「・・・
アナタが男の子だったら・・・」


そう言って母親は珠理奈に再び背を向けた

「えっ
お母さん
どう言うこと ねえ お母さんってば


「・・・」

バタン

そんな珠理奈の声には応えず
母親は2人の姉妹を置いて家から出て行った

・・・

母親が出て行ってから1時間
ずっと泣いている珠理奈を玲奈はそっと抱きしめていた

頭は天才的だけど
こんなところはホント子供・・・


でも仕方ないか
この子はアタシと違って
お父さんの期待と
お母さんの興味
その両方の全てを一身に受けて育ってきたんだから


・・・玲奈がそんなコトを考えていると
急にリビングのドアが開いた

「おおっ

2人ともいたのか
ちょうど良かった


そう言いながら父親がリビングに入ってきた

「お父さん

玲奈が父親の顔を見ながら呟く

それと同時に
玲奈の胸に顔を埋め泣いていた珠理奈が急に立ち上がり
父親に詰め寄った

「ねえっ

お父さん
どういうこと

お母さんが」


「静かにしなさい

姉妹が今まで聴いたことも無いような父親の怒号

一喝され珠理奈も言葉途中で色を失う

その様子を見て父親は満足げに"うんうん"と2回頷き
リビングの開いたままのドアの方を向き声をかけた

「ほら 入ってきなさい」

「えっ

玲奈も珠理奈も不思議そうにドアの方に注目する

こんな時に客
こんな時に客
玲奈も珠理奈ふたりともそう思ったが・・・

ゆっくりとリビングに入ってきたのは
歳若い女性
20代後半だろうか

??? 「はじめまして
玲奈さん
珠理奈さん」


女性はふたりの姉妹に挨拶をする

だれ
だれ
姉妹は同時に父親の顔に視線を注ぐ

「彼女は実絵子

お前たちの新しいお母さんだ」


「よろしく

そう言って実絵子と紹介された女は微笑んだ

あたらしいおかあさん
新しいお母さん

珠理奈はあまりの展開に事態が理解できない

「それと珠理奈」

「・・・なに

あまりのことに意識が朦朧とする珠理奈
父親の声に何とか応える

「もう
お前は医者にならなくていいぞ


医者になること
ある意味それが珠理奈のアイデンティティーだった

それなのに"ならなくていい"

「えっ
どういうこと・・・
今まで絶対医者になれって・・・」


「・・・」

「医者にはこの子がなってくれる

そう言って父親は実絵子のお腹に右の掌を置き
本当に愛おしそうにお腹をさする

「この子が・・・
「・・・

「ここにお前たちの弟がいるんだ


「・・・えっ おとうと
「・・・

「そう
だから珠理奈は好きなことしていいぞ
お前は女なんだから


父親は満面の笑みで笑う
実絵子は少し恥ずかしそうに微笑んでいた

この時が玲奈と珠理奈
ふたりの姉妹が共に両親を失った瞬間だった


第5幕 <<過去>> ③ 閉幕